松屋アールアンドディ、営業利益以下の各段階利益は大幅増益 積極的なM&A、業務提携で持続的成長を目指す

2021年5月21日に行われた、株式会社松屋アールアンドディ2021年3月期決算説明会の内容を書き起こしでお伝えします。

スピーカー:株式会社松屋アールアンドディ 代表取締役社長 CEO 後藤秀隆 氏
株式会社松屋アールアンドディ 常務取締役CFO 松川浩一 氏

2020年度実績:サマリー

後藤秀隆氏(以下、後藤):本日はお集まりいただきまして、ありがとうございます。ただいまより、株式会社松屋アールアンドディ、2020年度決算説明会を開催させていただきます。まず実績、次に2021年度の業績予想、最後に今後の成長戦略をお話しさせていただいた後、質疑応答に移りたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

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4ページは、2020年度実績サマリーです。売上高は創業以来初の100億円を達成しました。また、営業利益以下、各段階利益においては、前期比2.05倍から2.54倍と大幅な増益を達成することができました。売上総利益率は、前期比1.8ポイント増と改善しています。

売上高は104億100万円で、前期比120.5パーセントとなりました。売上総利益は16億4,400万円で、前期比136.3パーセントです。売上総利益率は15.8パーセントと、1.8ポイント増加しています。営業利益は8億3,700万円で前期比205.3パーセント、経常利益は8億2,900万円で前期比217.8パーセント、当期純利益は5億6,700万円で前期比254.3パーセントの伸長となっています。

2020年度実績:セグメント別売上⾼&利益

5ページはセグメント別売上高及び利益ということで、縫製品事業は血圧計腕帯の受注増加及び防護服関連事業に新たに進出し、売上高・セグメント利益が大幅に増加しています。

縫製自動機事業は、コロナ禍の状況においてアイソレーションガウンの営業にリソースを割いたほか、来年度のエアバッグ、カーシートの新規案件設備の準備に集中したことで減収となるものの、下半期より徐々に案件が増加しています。利益は、Matsuya Innovation Centerの開発費として3,000万円の負担をしていますが、出張旅費の抑制、リモート対応などにより損失を最小限に抑えることができました。

2020年度実績:売上⾼の増減要因

6ページは売上高の増減要因です。縫製自動機事業は先ほどご説明したとおり、アイソレーションガウンに多くの営業リソースを割いた結果、前期比減となっています。

血圧計腕帯は、健康志向の増加を背景に受注数が順調に増加しました。カーシートカバーについては、4月から6月、ちょうど新型コロナウイルスの影響が始まった時に減少となりましたが、7月以降は大幅に回復しました。3月まで前年度を上回る受注で、好調が継続しています。

エアバッグも4月から7月くらいまで減少しましたが、同じく8月以降は回復し、3月まで前年度を上回る受注となっています。その他、アイソレーションガウンが大幅に増加しました。

2020年度実績:営業利益の増減

7ページは営業利益の増減についてです。売上総利益は、アイソレーションガウン・血圧計腕帯が非常に順調に伸びました。

ただ、運賃については、コンテナ不足により年度後半になって運賃単価が上昇したこともあり、増加しています。また、MICの研究開発費は、ドローン用エアバッグの開発費約3,000万円の計上もあり、営業利益が押し下げられています。

一方で、旅費交通費は、リモート対応を中心に切り替えたことにより大幅に削減できました。その他についてはリモート対応になったことにより、縫製自動機の欧州・アメリカ方面での販売が減少したため、手数料が減少しました。

2020年度実績:経常利益の増減

8ページは経常利益の増減です。当年度の為替差益は3,400万円で、主にドル建て取引が多く、円安ドル高になったことが影響しています。支払利息についても借入金残高は減少していますが、期中の取引が増加していることによるものです。その他では、家賃補助金などが発生しています。

2020年度実績:親会社株主に帰属する当期純利益の増減

9ページは親会社株主に帰属する当期純利益の増減ですが、法人税等が増加しています。これはベトナムにおいて修正申告をしたため、法人税が増加したものです。

法人税等の調整額としては、連結での未実現利益にかかる法人税等調整額が増加しています。その他としては、設備購入にかかる補助金及び圧縮損の発生によるものがあります。

2020年度実績:連結キャッシュ・フロー計算書

連結キャッシュ・フローですが、スライド表のとおり、営業活動によるキャッシュ・フロー、利益が昨年度よりも大幅に増加したことで収入が増加しました。

なおかつ、投資活動によるキャッシュ・フロー、財務活動によるキャッシュ・フロー等、すべてを見込むとプラス3億4,700万円ということで、現金及び現金同等物の増減額が記載されています。

2020年度実績:連結貸借対照表

11ページは、連結の貸借対照表です。業績好調によりキャッシュ・フローが良化したことで、財務安全性は大幅に良化しました。借入金についても、2億円の減少となっています。

2021年度予想①

続きまして、2021年度(2022年3月期)の業績予想に移らせていただきます。当社を取り巻く環境として、縫製品事業において、コロナ禍でも経済成長を見せているベトナムでの生産委託需要は、カーシート・エアバッグを中心として、引き続き非常に多くなっています。血圧計腕帯は健康志向の高まりを受け、ここ1、2年は大幅に成長する見込みです。また、先ほどお伝えしましたが、自動車関連の生産も増加するかたちになってくると思っています。

ミャンマーでは、軍によるクーデターの混乱はあるものの、現状は通常生産を継続できている状態です。そして、万が一生産が止まっても、すでにベトナムでのバックアップ体制が敷かれています。ワクチンの接種状況にもよりますが、アイソレーションガウン等の受注は激減すると見ており、状況にもよりますが、売上は大幅に落ちると見ています。

縫製自動機事業について、新型コロナウイルスの感染拡大は続いていますが、特にヨーロッパ、ルーマニア・ポーランド・チュニジアあたりからの受注が活発化しており、メキシコについては、バイデン大統領に代わってから設備投資需要が大幅に増えています。日本国内でも自動化のニーズは多く、最近では食品業界、あるいはリハビリ、寝具、家具などで、いろいろなお問い合わせをいただいています。

その他についてはドローン市場の高まりということで、弊社の場合は、特に配達用ドローン、空モビリティがそれにあたります。2023年度に国が一定の基準を設けるかたちになりますが、このあたりの新技術の集積とともに、弊社のエアバッグなどに対する関心も増えてくると思っています。

加えて、ヘルスケア分野での大幅な需要拡大を見込んでいます。サプライチェーンの変更によるベトナムの生産移管が進んでおり、以前、開示した新しいエアバッグメーカーとの取り組みもすでに開始しました。また、中国・タイ・日本からの生産移管が遅れて来る予定です。

また、さまざまな業種でのM&A需要が拡大しており、お問い合わせをいただいています。新しい分野でのウェアラブルセンサーの多様化ということで、いろいろなかたちでのウェアラブルセンサー、あるいはVR関係等も含めて、センサーの多様化への新規開発を行っています。

収益認識会計基準の適用については、縫製品事業の中で、材料の有償支給を受けていた分は売上がネット表示される形で適用されます。

2021年度予想②

2021年度の予想です。コロナ禍がまだ収まっていないということもあり、我々としてもこのあたりの不確定要素があるため、慎重、かつ、非常に保守的に見込んでいます。

既存事業においては、血圧計腕帯、あるいはカーシート、エアバッグ事業は非常に好調に推移しています。目先の6月まで、向こう3ヶ月分は順調に推移すると予想しているところです。

また収益認識会計基準の適用により、売上高の金額が減少しているように見えますが、2020年度と同様の基準で集計した場合、増収になります。保守的に見ても、8パーセント強は増収になると思っています。

ドローン用のエアバッグ、メディカル関連の新規事業、前回のIRで開示したリハビリ用、あるいはトレーニング用の新規事業の売上は見込んでいません。今後の成長については、今年の後半くらいから大きく期待できるということです。

事業内容

今後の成長戦略については、16ページをご覧ください。従来からお伝えしていますが、弊社はミシンメーカー、あるいは、単純な部品メーカーでもありません。

昨年3月のロードショー以来ずっとお伝えしていますが、1年以上経っても、まだまだ認知されていません。違う内容で記載されていることもあり、もう少し努力をしないといけないと思っています。

弊社の場合、核となるノウハウである工程の自動化を、独自技術をもって製造受託を行っているのがソーイングプロダクト事業となります。

縫製自動機事業、ソーイングオートメーションに関しては、ロボット、AIソーイングシステムの開発等を含めた、さまざまな自動機事業を展開しているものとご認識いただければと思います。

当社を取り巻く業界の変化予想及び今後の取組①

当社を取り巻く業界の変化予想及び今後の取り組みですが、ソーイングオートメーションの新しい変化として、食品業界などの異業種からの依頼が増加しています。食品のパッキングや配達関係を含めて、ロボットの需要も見込まれているところです。

これ以外では看護、あるいはベッド関係からも、いろいろなお問い合わせをいただいており、リハビリ関係も同様です。

もう1つの新しいお話は、自動車用エアバッグのドライバー席用の自動機です。これは独自開発の画像処理装置を付けた自動機をベトナムMICにて開発を行い、7月より発売を開始する予定です。

当社を取り巻く業界の変化予想及び今後の取組②

ソーイングオートメーションではメディカルヘルスケアの分野を拡大ということで、すでにスタートをしています。先般、開示しましたが、メディカル部門では、前田工繊株式会社と資本業務提携を締結しました。

新型コロナウイルス収束後を見据えた設備投資と回復の兆候というところでは、メキシコやヨーロッパの企業に関しても、設備投資が非常に活発化しています。新しいところでは、販促の強化、あるいは人材の多様化により営業力を強化していく予定です。すでに海外の人材も入社しています。

また、もう1つの新しい話として、ポーランド等、東ヨーロッパへの進出を予定しています。

当社を取り巻く業界の変化予想及び今後の取組③

当社を取り巻く業界の変化予想及び今後の取り組みですが、ソーイングプロダクトでは、カーシート、エアバッグで新規事業をスタートしています。これは先月からスタートしたものです。また、大きな業界再編、大手企業のファブレス化ということで、積極的なM&A、業務提携の活用をしていきたいと思っています。

当社を取り巻く業界の変化予想及び今後の取組④

新規事業としては、ドローン市場の拡大ということで、以前よりさまざまなかたちでニュース等にも出ていますが、来月ドローン展に出展します。今回のドローン展への出展は、これまでのエアバッグの部分だけでなく、10キロくらいまで配送できるドローンに搭載した最終型を展示し、受注を開始します。

次に、空モビリティ用のエアバッグの実証実験を、今年度中に予定しています。これは新しいかたちのエアバッグになると思います。加えて、メディカル分野の需要拡大ということで、エムハートとコンサルティング契約を締結し、リハビリ関連、高齢者向けのトレーニングセンター等への進出を検討しています。

今後の成⻑戦略

今後の成長戦略についてです。これまでと同様、持続的に成長できる非常に大きな市場環境に恵まれています。ベトナムを中心とする豊富な人材環境がありますし、現時点でヨーロッパ、メキシコについても、十分かたちが整いつつあると思っています。また、当社製の自動機による工程の自動化ということで、国内回帰も見据えています。

従来どおり、AIのソーイングロボットの開発・製造・販売からドローン用のエアバッグ、リハビリ関係、ウェアラブル関係ということで、今後さまざまな分野での発表、活躍をぜひご期待いただきたいと思います。

次世代縫製自動機の開発

次世代縫製自動機の開発ということで、今年末にはMatsuya Innovation Centerを30名から40名くらいに増やし、日本への派遣、またヨーロッパ、北米への派遣も検討しています。

こちらに関して、画像認識カメラは従来のものではありません。新しくMICで開発したエアドライバー用のエアバッグだけでなく、さまざまな検査装置にも応用できる画像認識カメラを独自開発し、7月から発売を開始していきます。

成長戦略も含めて、端折ってのご説明となりました。ご参考に、従来どおりの会社概要等も付けていますので、ご一読いただければと思います。

質疑応答:ポーランドでの事業展開について

質問1:ポーランドの事業は、いつ頃からどのように展開する予定でしょうか? 

後藤:ポーランドに関しては、今のところ8月に事務所開設を予定しています。すでに人材も決まっており、新しくオートメーション化した設備関係の販売、アフターサービス等、エクゾシステムとの関係も含めて、8月くらいから開設する予定です。

質疑応答:前田工繊との業務提携について

質問2:前田工繊との業務提携についてのリリースを読みました。単独でもできるように思えるのですが、両社でどのような役割分担がありますか?

後藤:基本的にメディカル分野ということで、新しい分野で締結したプロジェクトになります。現時点では、前田工繊はどちらかと言いますと素材メーカーであり、例えば原発用、災害用のものを開発されている企業です。

我々としてはその後の裁断・縫製などの自動化、あるいは半自動化を行います。今後いろいろなかたちで、サージカル部門も手掛けていこうというところです。

また、前田工繊はベトナム北部、ハノイ近郊に工場を持っており、我々はホーチミンに持っています。お互い非常に恵まれたところですので、このあたりの開発、あるいは販売も含め、今後いろいろなかたちで事業を展開していけると思っています。

質疑応答:ウェアラブルセンサーの可能性について

質問3:ウェアラブルセンサーが対応可能となる方向性を教えていただけますか?

後藤:基本的には心電図・心拍数・体温計を主体として、いろいろなかたちのウェアラブルセンサーを考えています。

すでに一部は着手しており、リハビリ用、あるいはトレーニング用にも使えます。患者さま、あるいは基礎疾患をお持ちの方、健康を留意される方に対して、市販のTシャツ程度の感覚である程度密着度が高く、心拍数、心電図の正確なものを医療用機器として使えるかたちに持っていこうと思っています。

単なる腕時計型で、医療用機器と認定されないものとは違ったかたちで作っていきますが、一部では実験が始まったものもあります。このように従来の繊維メーカーとは違ったものにしていきたいと思っています。

質疑応答:介護、デジタル分野での提携について

質問4:介護やデジタル分野で、提携またはM&Aを検討されていますか?

後藤:現在、検討しています。このあたりについては、開示できるようになりましたら開示させていただきたいと思っています。

質疑応答:収益認識基準の変更で対象になった案件について

質問5:収益認識基準の変更で対象になった案件について教えてください。

松川浩一氏:エアバッグとカーシートの縫製加工がそれにあたります。材料費を有償で受給するものですので、売上高における材料費相当分についてはネット表示するようにということで、適用されています。

説明会開催後の後藤氏からの補足説明

後藤:今回、会社全体としては増収減益の見込みとなりましたが、既存の事業においては増収増益を見込んでおります。また、配当についても10円減となっていますが、これは特別配当によるもので、当社としては実質的に減配とは捉えておりません。現状としては上場当初よりも業績の進捗は良好なほか、新事業にも取り組んでいくことから、状況を見ながら増配も検討してまいります。

記事提供:ログミーファイナンス

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