新型コロナウイルス感染はいまだ収束の見通しが立たず、これまで何とか耐えてきた企業や家庭も限界に達しつつあると言われています。

そんな中、生活が困窮していることを役所に相談に行ったものの、理不尽な対応を受けて思い詰めてしまうケースも少なくないようです。以下、行政相談したときに非情な態度を取られた実例や対処方法について見ていきましょう。

現在の状況と今後

明治安田生命が4月26日に発表した「家計」に関するアンケート調査では、「年収がダウンした」(17.7%)と「将来ダウンする(と感じる)」(19.6%)の2つの回答を合わせて約4割(37.3%)の人が年収ダウンを実感しています。

また、野村総合研究所の試算によると、5月に入って延長された緊急事態宣言による経済損失は約1兆円。先月25日から今月31日までの合計でみると、経済損失は1兆7600億円にのぼり、失業者は約7万人増加すると報じられています。

こうした中では「生活困窮者」となってしまうのは特別なことではなく、”明日は我が身”と言ってもいい状況です。

「生活に困って相談する」までのハードルが高い

しかし日本では、「お金に困っていることは誰にも知られたくない」という意識が強いからか、早い段階で生活難について相談をしようとする人は少ないようです。

生活保護を例に挙げてみると、家族に連絡されたくないという気持ちや、扶養照会などで迷惑をかけるのではないか?という思い、または親や配偶者などの親族がDVや虐待の加害者であることから、生活保護の申請をためらうケースもあります。

この問題は、新型コロナウイルス感染拡大の影響で生活困窮者となった人が生活保護を申請するときにも問題となり、田村憲久厚労相が扶養照会については「義務ではない」と答弁。

また今年2月には、扶養照会が不要になる「扶養親族との音信不通の期間」について、20年から10年に引き下げられています。さらに、DVや虐待の加害者が扶養義務者である場合には照会を控えるよう、全国の自治体に通知されました。