老後に向けた「資産形成」のスタイル

前項では、金融資産のバランス配分のたいせつさについてお伝えしました。

「人生100年時代」が近づく今。これからは老後もお金を「貯めて・増やす」時代かもしれませんね。現役世代のみなさんが老後資金を準備する際も、ぜひ、この「バランス配分」を意識してみてください。

超低金利政策が続いています。銀行などに漠然とお金を預けたままでは、なかなかお金は増やせない、というのが実情です。

タンス預金など、まったく金利が付かない前提で、2000万円ものお金を貯めるとすれば、毎月約5万5000円の積立を、30年ほど続けていく必要があります。

住宅ローンや教育費が家計を圧迫する時期や、事情があって働けなくなったり、思うように給与上がらないケースもあるでしょう。

30年間毎月欠かさずに5万円を貯め続けることが難しい、という方がいらしても不思議ではありません。

そこで、「資産運用」を視野に入れることをお勧めします。国の税制優遇制度であるiDeCo(イデコ:個人型確定拠出年金)やつみたてNISAなどの活用を検討されてもよいでしょう。

これから「資産運用」デビューされるみなさんへ

さいごに、これから資産運用デビューをされるみなさんにお伝えしておきたいことがあります。

それは、「目標を、はっきりと定めること」です。つまり、何のためにお金を育てるのか、というポリシーが大切なのです。

資産運用は預貯金とは異なり、元本が保証されません。相場が上がったり下がったりすることで、ときには元本割れも起こるでしょう。

目標がぼんやりしていると、運用成績がふるわないときに「リスクが怖い」と、途中で運用をやめてしまいがちです。

運用期間が長ければ長いほど、リスクは軽減され、リターンは安定してきます。まとまったお金を作るには、コツコツと積立を続けていく根気が必要です。

「自分は何のためにお金を増やしたいのか」

この目的意識が、資産形成に対するモチベーションにつながります。資産運用を長く続けていく「ツボ」は、ここにあるのかもしれませんね。

お金の不安や悩みごとは、信頼できるマネーの専門家に相談してみると、安心感がぐっと増すでしょう。

【ご参考】貯蓄とは

総務省の「家計調査報告」[貯蓄・負債編]によると、貯蓄とは、ゆうちょ銀行、郵便貯金・簡易生命保険管理機構(旧郵政公社)、銀行及びその他の金融機関(普通銀行等)への預貯金、生命保険及び積立型損害保険の掛金(加入してからの掛金の払込総額)並びに株式、債券、投資信託、金銭信託などの有価証券(株式及び投資信託については調査時点の時価、債券及び貸付信託・金銭信託については額面)といった金融機関への貯蓄と、社内預金、勤め先の共済組合などの金融機関外への貯蓄の合計をいいます。

参考資料

鶴田 綾