「老後のお金」を考える
では、さきほどの「毎月7万5000円」の赤字分を、貯蓄の取り崩しで補っていくことを想定して、必要な額を単純計算してみましょう。
1年間に必要な額は…7万5000円×12カ月=90万円
となります。
この計算で、仮に100歳まで生きた場合に必要となるお金は3000万円を軽く超えます。
それまでのライフスタイルや家族構成、健康状態などには個人差がありますので、ひと月の生活に必要な金額も、世帯ごとに違います。とはいえ、数千万円という金額を簡単に準備できる家庭はごくごくわずかな存在でしょう。
紋切り型の表現にはなりますが「若い頃からの貯蓄の積み重ね」がモノをいう訳ですね。
60歳以降も、「貯めて・増やす」意識を
若い世代のみなさんが「老後のお金」と聞いても、すぐにピンと来ないかもしれませんね。「年金と定年退職金があればどうにかなるのでは?」と構えている人もいるでしょう。
私たちの老後は、祖父母や親の世代のそれよりも長くなる可能性が高いといえるでしょう。よってこれからの時代は、老後もお金を「育てながら切り崩していく」という発想が必要になりそうです。
そして、その準備は、できるだけ早い段階でスタートされることをお勧めします。なぜなら・・・
資産運用は、運用期間が長くなればなるほどリスクが軽減し、リターンが安定してくるためです。利子が利子を生む「複利の効果」で、雪だるま式に資産を増やしていくことに繋がります。若い頃から「少額でもコツコツ積み立てていく」ことには、とても大きな意味があります。
とはいえ、なかには、還暦を過ぎてから「定年退職金をじょうずに運用していきたい」などと考えるご家庭もあるでしょう。そんな場合は、まずはお金のプロフェッショナルに相談されることをお勧めします。
「老後のお金」の悩みごとには、信頼できるアドバイザーとともに二人三脚で取り組まれると心強いでしょう。老後の資産運用の「最善手」を見つけるきっかけとなるかもしれません。
【ご参考】貯蓄とは
総務省の「家計調査報告」[貯蓄・負債編]によると、貯蓄とは、ゆうちょ銀行、郵便貯金・簡易生命保険管理機構(旧郵政公社)、銀行及びその他の金融機関(普通銀行等)への預貯金、生命保険及び積立型損害保険の掛金(加入してからの掛金の払込総額)並びに株式、債券、投資信託、金銭信託などの有価証券(株式及び投資信託については調査時点の時価、債券及び貸付信託・金銭信託については額面)といった金融機関への貯蓄と、社内預金、勤め先の共済組合などの金融機関外への貯蓄の合計をいいます。
参考資料
- 金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査] 令和2年(2020)調査結果」
- 厚生労働省「令和元年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 総務省統計局「家計調査報告(家計収支編)―2020年(令和2年)平均―(二人以上の世帯)」