2021年4月30日に行われた、日本たばこ産業株式会社2021年12月期第1四半期決算説明会の内容を書き起こしでお伝えします。
スピーカー:日本たばこ産業株式会社 代表取締役副社長 最高財務責任者 コミュニケーション担当 見浪直博 氏
2021年度 第1四半期:全社実績
見浪直博氏:JT Group CFOの見浪でございます。2021年度、第1四半期決算説明にご参加をいただきましてありがとうございます。
それではまず、全社の1月から3月の実績のご説明をいたします。スライドの3でございます。全社利益指標である為替一定ベースの調整後営業利益については、たばこ事業の好調なモメンタムが牽引し、前年同期比27.2パーセントの成長となりました。
通期予想を大幅に上回る実績となっている背景といたしましては、堅調なモメンタムに加えて、海外たばこ事業におけるコロナ禍に伴う移動制限に端を発する一部の高単価市場での総需要の増加といったポジティブな影響につき、前年同期においては1ヶ月間の影響であったことも要因と見ております。
売上収益は、国内たばこ、医薬、加工食品事業での減収はあったものの、海外たばこ事業の増収により対前年同期で増収となりました。調整後営業利益、営業利益については、海外たばこ事業におけるネガティブな為替影響はあったものの、財務報告ベースにおいても増益となっております。
四半期利益につきましては、営業利益の増益に加えて金融損益の改善により増益となりました。なお、コロナ禍の影響については、各事業において2020年下期以降のトレンドが継続しております。ただし、旅客者数の回復の遅れに伴って、免税ビジネスの回復については引き続き時間を要するものと見ております。
国内たばこ事業:数量/財務実績
続いて、事業別の実績をご説明いたします。スライドの4をご覧ください。まずは国内たばこ事業の数量実績です。RMC総需要については趨勢減に加え、RRPカテゴリの拡大影響、昨年10月の定価改定、コロナ禍などの要因により、引き続き対前年で減少しております。
RRP市場占有率につきましては、昨年来継続しているコロナ禍による消費者動向の変化の影響を受け、本第1四半期においては29.7パーセントとなっております。
JT販売数量については、RMC販売数量はRMC総需要の減少に加え、お客さまがRMCからRRPへ移行していること、ダウントレードによる低価格帯での競争激化を受けて我々のシェアが減少したことにより減少いたしました。
RRP販売数量については、市場そのものの拡大に加え、昨年7月に上市した「Ploom S 2.0」、今年2月に全国拡販した「Ploom S/PT+with」の寄与もあり、販売数量及びシェア共に対前年同期で着実に伸長いたしました。
なお、当第1四半期のたばこトータル及びRMCの総需要、JT販売数量は、2月にお示しした通期の前提と比較すると弱含んでおりますが、これは昨年と本年でコロナ禍の影響を受けている期間が異なるためでございます。
2020年において、コロナ禍が国内の消費動向にネガティブに影響し始めたのは3月以降と見ておりますが、本年は期初よりその影響を受けているためです。
なお、第2四半期以降については、4月、5月は昨年の緊急事態宣言に伴う需要減との比較において強めとなり、6月以降はコロナ禍影響は一巡するものと見ております。
次に、財務実績についてご説明をいたします。RMCにおいては、昨年10月の定価改定によるプライシング効果が数量の減少影響を相殺いたしました。また、免税販売の減少影響はあるものの、RRPにおいてはリフィルの販売数量の増加により、調整後営業利益は対前年同期で11.1パーセントの成長となりました。
なお、デジタルマーケティングや「Ploom S/PT+with」を中心としたRRP全体への必要な投資を着実に行いつつ、試作実施タイミングのズレなどにより販促費は対前年同期では減少しており、こちらも利益に対してポジティブに作用をしております。
一方で、本年下期にはHeated tabacco stickの新デバイス「Ploom X」のローンチもございますため、当初より下期に重点的に投資を行う計画となっており、計画に沿ってしっかりと実行してまいりたいと考えております。
海外たばこ事業:数量/財務実績
続いて、海外たばこ事業についてご説明をいたします。スライドの5をご覧ください。総販売数量につきましては、我々の主要市場におけるシェアモメンタムが牽引し、対前年同期で5.8パーセントの増加となりました。
好調なモメンタムに加えて、冒頭に申し上げましたとおり渡航制限に伴う影響で、台湾、UKなど一部の高単価市場を中心に総需要が堅調に推移したこと、また、その影響を受けた期間が昨年同期と当第1四半期で差異があることからも高い成長率となっております。
また、当第1四半期においてはロシアにおけるポジティブな流通在庫調整も影響しておりますが、この影響を除いた場合においても5.2パーセントの増加となりました。この結果、ロシアを筆頭に高単価市場である台湾やUKにおける数量増加影響にフィリピンの数量成長も加わり、ポジティブな数量差影響が発現しております。
また、イラン、フィリピン、ロシアなどにおいてプライシング効果が発現したことにより、自社たばこ製品売上収益についてはご覧のとおり高い成長率となっております。
調整後営業利益につきましてはトップライン成長が牽引し、為替一定ベースでも円ベースにおいても成長いたしました。
コストの増減につきましてはコロナ禍の影響で販促費が減少し、経費の第2四半期以降へのズレなどの影響もあり全体では減少しているものの、RRP、特にHeated tabacco stickを中心とした販促を強化しているところでございます。
また、トランスフォーメーションによるコスト削減効果も着実に発現しております。なお、為替影響は現地通貨対米ドル、米ドル対円のいずれもネガティブに作用をいたしました。
当第1四半期は一部市場の総需要の増加影響は顕著に発現し、通期見込みと比較して非常に強い実績となりましたが、多くの市場において4月でコロナ禍影響は一巡するものと見ております。ただし、事業環境は市場によってそれぞれ異なるため、引き続き各市場の動向を注視してまいります。
医薬事業・加工食品事業:財務実績
続いて、医薬事業及び加工食品事業についてご説明をいたします。スライドの6をご覧ください。医薬事業の売上収益は、海外ロイヤリティ収入の減少を主因に減収となりました。調整後営業利益は売上収益の減少に加えて、当社の連結子会社である鳥居薬品の減益などにより減益となりました。
参考情報といたしまして、当第1四半期に承認を取得した医薬品についてアップデートをさせていただいております。スライドでお示ししているとおり、今期新たに2つの承認を取得しており、着実に開発が進展しております。
次に、加工食品事業については、冷食・常温製品の販売減少を主因に減収減益となっております。コロナ禍の長期化を受け、外食向け製品は対前年同期で販売が減少しており、家庭用製品につきましても、コロナ禍による需要の増加影響を大きく受けていた前年同期との比較により、対前年同期で販売は減少しております。
また、調味料事業の外食向け製品、ベーカリーの店舗事業につきましてもコロナ禍による需要減が継続しており、対前年同期で販売が減少しております。これらのネガティブなトップライン影響に加えて物流費の悪化もあり、コスト低減によってその影響を一部緩和したものの減益となっております。
Closing remarks
最後に、スライドの7をご覧ください。ここまでご説明してまいりましたとおり、たばこ事業の堅調なモメンタムが牽引し、2021年第1四半期は力強いパフォーマンスとなりました。
RMCについては引き続き各国でシェアが拡大、RRPはHeated tabacco stickの最大市場の日本において着実に数量が増加しています。さらに、コロナ禍による一時的な影響も加わり非常に強い実績となりました。
2月にご案内いたしましたHeated tabacco stickの次世代デバイス「Ploom X」につきましては、2021年下期の早い段階でのローンチを予定しております。
また、Heated tabacco用のスティックスについては、先日、当社ウェブサイトでお知らせいたしましたとおり、味・香りを最大限に引き出せるよう改良した製品を6月に投入する予定でございます。
一方で、昨今の半導体受給の逼迫を受け、次世代デバイスの供給量については一定の制限が発生する可能性がございます。現時点においては、日本の今期のRRP販売数量は変更はいたしておりません。当該影響の極小化に向けて取り組んでまいります。
また、先に述べましたとおり第1四半期は非常に強い実績となりましたが、引き続きボラティリティの高い状況が想定されることから、今後、事業及び財務へのインパクトを精査する必要があると考えております。したがって、現時点においての通期見込みは変更いたしてございません。
また、為替については足元では期初前提との比較でポジティブに推移しており、仮に現在の為替水準が継続した場合の調整後営業利益のアップサイドということでガイダンスをいたしますと、200億円強と想定をいたしております。
最後に、先般ご案内いたしましたたばこ事業の一本化については、プランどおり順調に進展をしてございます。私からの説明は以上でございます。ありがとうございました。