2021年4月23日に開催された、株式会社鎌倉新書 第37期定時株主総会の内容を書き起こしでお伝えします。

スピーカー:株式会社鎌倉新書 代表取締役会長CEO 清水祐孝 氏
株式会社鎌倉新書 社外取締役 余語邦彦 氏

第37期定時株主総会

清水祐孝氏(以下、清水):おはようございます。代表取締役会長CEOの清水祐孝でございます。本日は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止にご協力をいただきまして、誠にありがとうございます。私を含め、代表の役員のマスク着用について、ご理解をいただけますようお願いいたします。

また、株主のみなさまには日頃より格別のご支援を賜り、厚く御礼いたします。これからも、さらに社業の発展に全力を尽くす所存ですので、引き続きご指導・ご鞭撻のほど、よろしくお願いいたします。

当社定款の定めにより、私が本総会の議長を務めますので、よろしくお願いいたします。事前にアナウンスをさせていただいたとおり、新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、本日の株主総会は、昨年同様、議事の時間を短縮して行います。

それでは、ただいまから、株式会社鎌倉新書第37期定時株主総会を開会します。本総会の目的事項として、お手元の招集ご通知1ページに記載のとおり提出します。

また、株主のみなさまからのご質問・ご意見・同意を含めた一切のご発言は、報告事項の報告および決議事項の議案の内容説明終了後に、議長である私の指名にしたがってお受けしたいと存じますので、よろしくお願いします。

それでは、まず本総会の議案の審議に必要な定足数を満たしていることを、ご報告します。

次に、第37期(2020年2月1日から2021年1月31日まで)の事業報告、連結計算書類、および監査結果についてご報告します。事業報告、連結計算書類および計算書類については、お手元の招集ご通知の8ページから39ページ、監査結果は、40ページから45ページまでに掲載のとおりです。

決議事項

清水:引き続き、ご審議いただくすべての決議事項の議案について、ご説明します。まず、第1号議案、剰余金処分の件です。当社は、株主のみなさまに対する利益還元を重要な経営指標の1つとして位置づけており、将来の事業成長と経営基盤の強化のための内部留保を確保し、株主のみなさまに継続的に配当を行うことを基本方針としています。

そこで、第37期の期末配当としては、お手元の招集ご通知の2ページに記載のとおり、当社普通株式1株につき金1円としたく、ご承認をお願いするものです。

次に第2号議案、取締役(監査等委員である取締役を除く)3名選任の件です。現在の監査等委員である取締役を除く取締役(4名)全員は、本総会終結の時をもって任期満了となります。そのため、お手元の招集ご通知の3ページから7ページに記載のとおり、より迅速な意思決定を行えるよう、1名減員して、監査等委員である取締役を除く取締役3名の選任をお願いするものです。

質疑応答:「終活」サービスの今後の展開について

質問者1:御社は今後、「終活」サービスに注力するという話でしたが、総花的に「終活」のサービスを立ち上げることは、あまりよろしくないと私は考えています。強いサービスがもう1個あった上で、それに付随するサービスを加えていくやり方のほうが効率がよいと考えているのですが、「終活」サービスに対して、今後どのような展開をお考えでしょうか?

おそらくフロー型の売上のほうが大きいと思いますが、ストック型の安定した収入としてサービスを提供できるほうが、御社としては合っていると思います。地銀も、そのような相続に関する問題をかなり持っていると思いますが、そのあたりとの連携や、「終活」のサービスをどのように展開していくのか教えてください。

清水:まず「『終活』のサービスを総花的に行うよりも、一つひとつのサービスを磨いていったほうがよいのでは?」という質問については、ご指摘のとおりです。

ただ、ユーザーの方々は、「終活」という言葉を思いついてサービスを受けに来られるというよりも、相続、葬儀、お墓など、自分にとって具体的に必要なものをトータルにイメージして、Webサイトやコールセンターにご連絡いただく流れとなっています。ですので、一つひとつのサービスを磨いていくことが大前提ということです。

結果的に、トータルとして「終活」という言葉から、すべてのくくりの中に入っていくイメージで、「終活」という言葉自体、現在はほとんどのみなさまにご理解いただいています。

現在のユーザーの方々は、自分が受けたいサービスと「終活」という言葉がまだ結びついていないのが課題としてありますが、今後、我々はこのような「終活」サービスの展開を考えています。

清水:そして、ユーザーの方は「相続の申告をしなければならない」「お墓を買わなければならない」ということで、一つひとつのサービスをもって我々にアクセスしますが、今後は高齢化が進むため、このようなニーズは非常に大きくなります。そして、5年・10年先になるかわかりませんが、ユーザーが自分たちのニーズと「終活」の全体像を理解する時代がやってくるだろうと思っています。

今、我々は葬儀のサービスを受けていただいた方々に「今度は相続が必要ですよ」と情報をお届けし、そちらのサービスを受けていただく活動をしているわけですが、5年・10年後は、ユーザーが「次にこういうことが必要」ということ、「終活」の意味や中身を自分で理解する時代になると考えています。そのときに初めて、トータルとしての「終活」に大きな意味が生まれてくる、そのような時代がやってくるということです。

清水:回答をまとめると、一つひとつのサービスを磨いていくことを前提にしつつ、「終活」の全体像を、国民やシニアの方々、そのご家族が見る時代が来ると予想します。

その時に、「終活」全体をサポートする会社として今から認知を高める活動を行い、ブランド力を磨き、そのような方々に適切なサービスをシームレスに提供していくかたちで、会社を成功させていきたいと考えています。

清水:また、地銀のお話がありました。先般からご報告しているとおり、日本郵便や第一生命、SMBC三井住友銀行等々の企業との提携が進んでおり、その中で、ご指摘いただいた地銀との取り組みも、将来的には考えていくべきと思っています。

もう1つ、フロー型とストック型のサービスについてです。おっしゃるとおり、フロー型はお客さまが我々のサービスを蓄積して使っていただけるかたちです。例えば会員になっていただき、最近のサブスクリプションモデルのような、積み上げ型のかたちにすることも計画しています。

そこに至るまでは少しお時間を頂戴することになると思いますが、これからも、さまざまな「終活」に関するサービスをたくさんローンチしていき、フロー型も大事ですが、ストック型の部分を増やしていきたいと考えています。

質疑応答:葬儀の形式と社外取締役について

質問者2:コロナ禍ということで、せっかくの株主総会でも、1年間の実績を確認するとおおよそ30分で終わってしまうかたちで、非常に寂しく思っています。

その中でお伺いしたいのが、現在は葬儀の縮小により家族葬がかなり増えて、昔のように何が何でも行うといった葬儀が少なくなっていると感じますが、これについて、今後の戦略的にどのようにしていくのかということを、まずお聞きしたいと思います。

また、それを含めて、せっかくの機会ですから社外取締役についてお伺いします。2号議案と関係がありますが、今回、余語さまが社外取締役の再任ということで、そのほかに、監査等委員で社外取締役の方が3名いらっしゃいます。今回の議案には載っていませんが、余語さまは役所を経て主に経営を行っている経歴をお持ちの方で、残りのお三方はサムライ(士業)です。

弁護士・公認会計士・税理士というサムライ(士業)の方を社外取締役に選ばれていますが、御社は取締役会も会長の独断専行で行っているのでしょうか? 株主からすると、そのようなことを防ぐ、大所高所から意見を言っていただくのが社外取締役の責任と思います。

余語さまは再任というかたちで、すでに1年間社外取締役をされています。せっかくの株主総会ですから、社外取締役の立場から見た取締役会の雰囲気や、社外取締役としてこのような提案が通ったなどの実績を、可能でしたらお聞かせ願えればと思います。

清水:葬儀のご質問については、私からご回答します。ご承知のとおり、昨今の新型コロナウイルスの影響があります。これは、葬儀は人が集まる大きなイベントという性格のため、なかなか難しくなっているという、一時的な要因です。また、このような新型コロナウイルスの影響がなかったとしても、高齢化や人間関係の変化等々により、葬儀の規模は少しずつ縮小傾向にあります。

このようなことから、「我々の事業も厳しいのではないか」といったご質問をいただくこともありますが、一方で、これからの日本は高齢化社会がますます進展していきます。人口推計によると、30年くらいは死亡者数が増えていくとされています。単価は少しずつ下がっていきますが、それを補うようなかたちで数量が伸びていくというマーケットの様相です。

そのような中で、全国の葬儀に対する我々のシェアもまだまだ小さく、ホワイトスペースのように伸ばしていく余地はかなりあると認識しており、今後も成長していきたいと考えています。また葬儀以外でも、先ほどから申し上げている「終活」のさまざまなサービスを提供していくことにより、「終活」サービスを展開して行く、このように考えています。

続きまして、取締役についてのご質問ですが、こちらについては余語取締役からご説明します。

余語邦彦氏(以下、余語):昨年、取締役に就任しました。新型コロナウイルスの真っ最中ということで、「Zoom」「Google Meet」などの電話会議の出席が非常に多く困っていましたが、新型コロナウイルスが落ち着いた頃からは、現場の方々と直接お話しする機会をできるだけ持ち、この1年間を過ごしてきました。

清水会長のところ、ベンチャーから上場を経てということで、この会社は基本的にはそれほど大きくなく、そのような意味では、まだ大企業病のようなことは見られません。ただ、今はちょうど移り変わり期ですので、小型の会社から中規模の企業、大企業へと成長していく過程にいます。

余語:私はかつて化粧品の会社で、規模の大きな会社の再建を手掛けていたこともあります。これまでのクロス販売のコミュニケーションの仕方など、私の過去の経験がちょうど役に立つフェーズと思い、ミッション、ビジョン、バリューの構築などのお手伝いをさせていただきました。引き続き、このような私の過去の経験がみなさまの役に立つように、しっかり務めていきたいと思います。よろしくお願いします。

質疑応答:第2四半期のトレンドとコンプライアンスについて

質問者3:実は、鎌倉新書さまの株主になったり、外れたりしている者です。マーケットのニーズをマネタイズと言いますか、私としては利益や成長にまだまだ不安がある状況ですが、非常にオンリーワンのサービスをされているため、期待しています。

まず1つお聞きしたいのは、報告されているトレンドのとおり、第2四半期でかなり「戻ってきた」と評価していますが、また長期で緊急事態宣言等が発出される見込みの中で、今年度は、第2四半期のトレンドが続きそうなのかということです。社長から言えるかわかりませんが、肌感を教えてください。

また、コンプライアンス委員会を行っているとの記載がありますが、「どの程度行っていて、どのような議題を話しているか」というところを教えていただきたいと思います。特に、御社はWebを活用して、お客さまのポータルサイトのような活動をされていますが、個人情報をどのように保管して、どこの国のサーバーに置いてあるのでしょうか? そのような部分は法令に反していなくても、社会通念上、疑問に思われたり、世間に取り上げられるなどのリスクは、徹底して抑えなければいけないと思います。

そのあたりについてどのように管理されているのか、取締役会としてどのように課題視しているのか教えてください。

清水:1つ目が、昨期の第4四半期からのトレンドについてのご質問で、もう1つが、コンプライアンスについてと理解しています。1つ目については、私からご説明させていただきます。今年の1月に緊急事態宣言の再発出がありましたが、我々は決算期が1月末のため、1ヶ月弱は緊急事態宣言下にいました。しかしながら、多くのみなさまと同じく緊急事態に対する受け止め方は、昨年度のように恐怖心が先に立っていた時とは少し異なっていたと思います。

その結果として、1月の最初に緊急事態となりましたが、そこでの影響は本当に小さなものでした。今期については詳しいことは申し上げられませんが、トレンドは維持しています。

続きまして、2番目のコンプライアンスについて、詳細はお伝えできませんが、上場企業として適切に管理しているということです。

質疑応答:取締役の選任方法について

質問者4:取締役の選任方法について、少し心配な面があり質問させていただきます。今回、須藤さまが共同代表取締役を降りるということですが、最近、毎年のように取締役の方が退任されています。例えば、去年であれば川辺さまが辞めて、その前は社長が会長に代わりました。その前の年は上村さまが辞めています。

大企業であれば取締役が10人以上いるため、高齢で毎年1人くらい辞めるのは当然ですが、御社の場合、数少ない取締役です。しかも須藤さま、川辺さま、相木さまは40代という働き盛りにもかかわらず、退任しています。

取締役の選任について、今の流れから来年は小林さまが退任することを心配していますが、取締役の選定方法ついて、どのように行っているのでしょうか? また、取締役の選任について、監査等委員会の方々がどのようなかたちでチェックされているのかについてお願いします。

清水:1つ目が「取締役がコロコロ変わっているのではないか」、次に「選任はどのようなかたちで行われているか」について、ご説明します。取締役の候補者については、当社を取り巻く経営環境の中で、企業体質の向上のために貢献、高い認識、豊富な経験、高度な専門性を有する者を指名しており、これが取締役の選任についての考えです。

たまたま、今期、前期、前々期は1人ずつ取締役の退任が続いています。すべて一身上の都合ということですが、適切に取締役の選任を行い、そして、安定的に経営を行っていけるよう、今後も努力を続けていきたいと思っています。ご理解のほど、お願いいたします。

質問者4:御社は中長期的にとても優良な成長企業だと確信していますが、優良な成長企業の中枢にいる40代の取締役が毎年辞めているというのは、一身上の都合だけではないと思う面もあります。もしかすると、関連会社で働いていたりということはあるかもしれませんが、現在、この方々と取引されていませんか?

私も小林さまはとても評価していることもあり、ぜひ、来年も小林さまに続けていきたいと思っています。よろしくお願いします。

清水:今回、須藤が退任することは開示されていますが、この点についても適切に対応していきます。あるいは、そもそもの管理体制について、その他議案によってもきちんとできる体制にはなっていますので、そのあたりはご安心いただきたいと思います。

また、須藤についても、退任後は会社の相談役のかたちでサポートしていただくことをご報告します。

質疑応答:顧客データとAIについて

質問者5:中長期的な取り組みと、顧客のデータ、AIの活用についてお伺いします。具体的にデータやAIをどのように使用するなど、すでに行っている取り組みがあれば、教えてください。

清水:データをどのように活用しているのか、あるいはAIの取り組みについてご説明します。1つは、データを適切に管理するということです。その上で、これからの中長期的なお話をすると、サービスについてまだまだ「終活」に対するニーズはたくさんあるため、そのような領域でのサービスを拡充していくというのが1番目です。

2番目は、そのようなニーズをお持ちのユーザーの方々を広くから集めて、我々にアクセスしていただけるような体制を作ります。これは先ほども申し上げたように、Webだけではなく、郵便局などのリアルな企業とのアライアンス等を通して、我々にアクセスしていただくお客さまを増やしていくということです。

3番目は、お客さまに1つのサービスだけではなく複数のサービスを受けていただくことが非常に重要なポイントだと考えており、前期までにシステムの導入をほぼ終えています。これにより、お客さまに適切なタイミングで適切なサービスを行うことができます。例えば、お葬式が終わったお客さまに、相続の手続きのご案内を適切なタイミングで行ったり、あるいはそのような方々でお墓や仏壇等の購入のご案内を行うことができます。

そのようなかたちで、1つのユーザーが複数のサービスをご利用いただく体制作りを強化していこうと考えています。そのためには、データがしっかり整理された状態であるということが、まず大事なことです。先ほども申し上げたような、一元整理、一元管理の手立てを打ち、今後有効に活用していこうと思っているところです。

AIについても取り組みはまだ始まったところですが、おそらく毎年十数万人の方々にアクセスをいただくわけですので、これが増えていくと、最近の言葉で言われているビッグデータという部分になると思います。

一人ひとりのお客様、ユーザーの方々は、それぞれいろいろな立ち位置で「このようなものが必要です」とおっしゃるのですが、それらを集積すると、いわゆるビッグデータになっていきます。バラバラに言っていることも、我々から見ると「この人は次にこのようなサービスが必要だよ」と、AIの活用によりなされていくと考え、そちらに対しても適切な投資を行っていこうと考えています。

採決

清水:他に発言がないようですので、これをもってご質問および同意の提出を含めたすべての審議を終了し、議案の採決に移りたいと存じます。ご賛成いただける株主さまは、拍手をお願いします。

(会場拍手)

清水:ありがとうございます。賛成過半数を認めます。それでは、決議事項の採決に入らせていただきます。まず第1号議案、剰余金の処分の件の採決をします。原案にご賛成の株主さまは、拍手をお願いします。

(会場拍手)

清水:ありがとうございました。議決権行使書によるものも含め、過半数のご賛同を得たため、本議案は原案どおり承認・可決されました。

次に第2号議案、取締役(監査等委員である取締役を除く)3名選任の件の採決をします。原案にご賛成の株主さまは、拍手をお願いします。

(会場拍手)

清水:ありがとうございました。議決権行使書によるものも含め、過半数のご賛同を得たため、本議案は原案どおり承認・可決されました。

以上をもちまして、本総会の決議事項はすべて終了しました。本総会を閉会とします。

記事提供: