「年金格差」を縮めるためにできること
ここまでは、国民年金・厚生年金の受給額分布を男女別に見てきました。
平均年金月額は、厚生年金は男女ともに10万円以上、国民年金は男女ともに5万円台です。
この平均年金月額を単純比較すると、厚生年金のほうが約9万円多くなっています。さらに「男性だけ」を比較すると、国民年金と厚生年金の間には10万円以上の差があります。
国民年金だけを受給する場合
老後に国民年金のみを受給される人の場合、「繰下げ受給」や「国民年金基金加入」など、公的年金の受給額を増やす工夫を視野に入れておくとよいかもしれません。
厚生年金を受給する場合
厚生年金に加入されている場合は、国民年金よりも受給額は手厚くなります。しかし、現役時代の収入には及ばない額であることは忘れないでおきたいところです。
老後資金は「自助努力」で準備する
国民年金・厚生年金、いずれの加入者も、老後資金を「自助努力」で準備していく必要がありそうですね。つみたてNISA、iDeCo(イデコ:個人型確定拠出年金)、民間の個人年金保険などを組み合わせて活用していくことも検討してみるとよさそうです。
老後の生活費ってどのくらいかかりそう?
話は少しそれますが、みなさんは「老後の生活費」がどのくらいかかりそうかイメージされたことはありますか?ここでちょっと参考になりそうな調査結果をご紹介します。
金融広報中央委員会が公表した「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査] 令和2年(2020年)調査結果」によると、シルバー世代が実感する「最低限必要な生活費」は、世帯主が60歳代の世帯で月28万円、世帯主が70歳以上の世帯で月31万円です。
この調査によると、ざっくり「ひと月30万円」といったところでしょうか。
公的年金だけでこの金額を準備できるご家庭は、そう多くはないといえそうです。そこで自助努力で準備してきた「老後資金」の出番となるわけです。
長寿時代を見据えた資金形成のスタートは、できるだけ若い頃からスタートされることをオススメします。
資産運用は、運用期間が長ければ長いほどリスクが軽減し、リターンが安定してきます。利子が利子を生む「複利の効果」で、より着実にお金を増やすことに繋がります。
「年金受給額が思ったより少ないかも・・・。老後は大丈夫?」
「お金の悩みごとって、きょうだいや親友にも相談できないから、1人で悶々と悩んでしまう・・・」
そんなお金のお困りごとや疑問は、お金のプロに遠慮なくぶつけてみましょう。信頼できるアドバイザーと二人三脚であれば、解決につながるヒントを見つけることができるかもしれません。
参考資料
- 厚生労働省年金局「令和元年度厚生年金保険・国民年金事業の概況(令和2年12月)」
- 金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査] 令和2年調査結果」
- 谷口 裕梨(LIMO)「老後の年金格差と貯金格差、実際いくらか」