フリーランスの備えとは
起業やフリーランスによって、会社員から自営業者になった場合に、社会保険の負担増以外にも懸念されることが二つあります。
一つは健康保険の傷病手当金や出産手当金がなくなることです。
傷病手当金であれば、病気やケガで会社を休んだ場合に、休んだ日から4日目以降、それまでもらっていた給与の「およそ3分の2」が、休んだ日数分支給されます。同一の傷病で最長1年半支給できます。
国民健康保険にはこれらの制度がありません。そのため、病気やケガで働けなくなった場合は、貯金を切り崩したり、民間の保険に加入して備えたりする必要があります。
こうしたケースに対応するの民間保険として「就業不能保険」や「所得補償保険」があります。充分な貯蓄ができていないフリーランスや自営業者は、これらの保険を検討してみるといいでしょう。
もう一つは、退職金がなくなることです。これは仕方のないことですが、自助努力が必要となります。
国民年金の付加年金やiDeCoなどで備えることを検討するとよいでしょう。
付加年金とは国民年金の保険料に400円上乗せすることで、将来もらえる年金に、200円×納付した月数分が付加されるというものです。
iDeCoは自営業者であれば、掛金の上限が月額6万8000円(※)となり、全額所得控除となるので、節税効果を期待しながら、「自分で作る退職金」を準備していくことができます。
※付加保険料、または国民年金基金の掛金との合算
「人生100年」時代を見据えた働き方
ここまでの内容では、会社員のメリットばかりが浮き彫りになりましたが、起業やフリーランスとして仕事をすることにも大きなメリットがあります。一番のメリットは定年がないことです。
人生100年時代、働ける年齢まで働き続けることは今後さらに重要になってくるでしょう。
年金が少なくても他に収入があれば、豊かな老後を過ごすこともできるのです。
これからますます働き方が多様化してくる時代、会社員と起業家の二足のわらじも可能かもしれませんね。
参考資料
- 全国健康保険協会(協会けんぽ)「 令和3年度保険料額表(令和3年3月分から) 」
- 江戸川区ホームページ「国民健康保険料の計算方法」
- 江戸川区国民健康保険料シミュレーション 江戸川区公式ホームページ
- 日本年金機構「国民年金保険料の額は、どのようにして決まるのか?」
- 厚生労働省年金局「令和元年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 厚生労働省「雇用保険料率について」
石倉 博子