さいごに
年金受給額が割り増しとなる「繰下げ受給」は、長生きするほどメリットを享受しやすいといえます。
とはいえ、直前の受給状況を見ると、もろ手を挙げて繰上げ支給を選ぶ人はかなり少ないであろうことが窺えます。
そこには、
「繰下げ受給年齢までの生活費をどうまかなうか」「いくら受給額が増えても、長生きするかどうかが分からない…」
そんな本音が隠されていることは確かであるといえそうです。
なお、一度繰下げ請求を行ったあとは取り消しや変更ができません。ご自身の貯蓄状況や健康状態をよく考えたうえで、慎重に検討していくことが必要となりそうです。
「公的年金だけでは不安…」
これは私たち現役世代の大多数が感じていることではないでしょうか。そんな場合は、個人年金保険、iDeCo、つみたてNISAなどの活用を検討しながら、自助努力による資産形成をされていかれることをお勧めします。
貯蓄状況や老後に必要となる金額は人それぞれといえます。ただ、2000万円ともそれ以上ともいわれる老後資金を準備するには、やはりしかるべき時間が必要といえるでしょう。
「定年直前、年金受給開始まであと数年!」といった時期から慌てて準備を始めたとしても、運用方法や運用期間が限られてしまいます。
若いうちに始めることで、利子が利子を生む「複利の力」を借りながら、時間をかけてコツコツとお金を育てていくことに繋がるのです。
貯蓄や資産運用の不安ごとやご心配があるご家庭は、いちど「お金のプロフェッショナル」に相談されてみてもよいですね。
あなたとご家族に合った「お金の守り方・増やし方」が見つかるきっかけが見つかるかもしれません。
参考資料
- 厚生労働省「年金制度改正法(令和2年法律第40号)が成立しました」(「(4)受給開始時期の選択肢の拡大」より)
- 日本年金機構「老齢基礎年金の繰下げ受給」
- 日本年金機構「66歳以後に老齢年金の受給を繰下げたいとき」
- 厚生労働省年金局「令和元年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」(令和2年12月)