60代世帯「ほんとうの貯蓄額」の平均は？

では、60代の「金融資産保有額」から「借入額」を差し引いた、「純貯蓄額」つまり「ほんとうの貯蓄額」をみていきましょう。

60代の金融資産保有額から借入額を差し引いた、「純貯蓄額＝ほんとうの貯蓄額」の平均は、

1745万円－205万円＝1540万円

となりました。

ちなみに、同調査のデータから算出した純貯蓄額の平均は、

30代･･･マイナス869万円
40代･･･マイナス313万円
50代･･･955万円

と推移しています。

住宅ローンや教育費などの目前の支出が落ち着き始め、50代ごろから貯蓄の成果を感じ始める世帯が増えてくる、といったイメージでしょうか。

そして、60代でさらに純貯蓄額が増える背景の一つとして、退職金としてまとまった金額を受けとる人が増える世代である、ということが考えられそうですね。

さいごに

60代は、貯蓄額から負債額を差し引いた「純貯蓄額（ほんとうの貯蓄額）」の平均が大幅に上がる時期であることが分かりました。その一方で、同じ60代のなかでも、世帯により大きな貯蓄格差がある点は着目すべきであるといえるでしょう。

60代時点での貯蓄額は、現役時代の収入や退職金の有無などの影響を受けます。さらに既に年金受給中であれば、その受給額にも左右されるといってよいでしょう。

厚生労働省年金局が公表する「令和元年度（2019年度）　厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、65歳から69歳の平均年金受給額は、厚生年金保険（第1号）の平均年金月額（※含：基礎年金月額）は14万2972円、国民年金の平均年金月額は5万7108円です。

公的年金だけを頼りにする老後はだいぶ心もとないと感じる方がほとんどではないでしょうか。

「人生100年時代」はもうそこまで来ています。私たち現役世代のセカンドライフは思いのほかに長くなることが予想されますね。

老後を見据えたお金の準備はできるだけ早めのスタートがポイントです。

資産運用は、じっくり時間をかければかけるほどリスクが軽減し、リターンが安定してきます。「利子に利子がつく」複利の効果で、雪だるま式にお金を増やしていくことに繋がるのです。

お金にまつわる困りごとは、親しい友人どうしでも話題に出しづらいもの。

「預貯金以外の金融商品は難しそうでハードルが高い」
「我が家の今の資産状況で、夫婦の老後は乗り切れそうか」

そんなお悩みや疑問を持たれている方は、「お金のプロ」のアドバイスを受けてみるとよいかもしれませんね。ご自身とご家族のライフスタイルに合う「お金の育て方」が見つかるきっかけになるかもしれません。

ご参考【貯蓄とは】

総務省の家計調査報告（貯蓄・負債編）の用語の解説によると、貯蓄とは、ゆうちょ銀行，郵便貯金簡易生命保険管理・郵便局ネットワーク支援機構，銀行及びその他の金融機関（普通銀行等）への預貯金，生命保険及び積立型損害保険の掛金（加入してからの掛金の払込総額）並びに株式，債券，投資信託，金銭信託等の有価証券（株式及び投資信託については調査時点の時価，債券及び貸付信託・金銭信託については額面）といった金融機関への貯蓄と，社内預金，勤め先の共済組合などの金融機関外への貯蓄の合計をいう。 なお，貯蓄は世帯全体の貯蓄であり，また，個人営業世帯などの貯蓄には家計用のほか事業用も含めます。

参考資料