2021年3月17日に行われた、イオンリート投資法人 2021年1月期決算説明会の内容を書き起こしでお伝えします。

スピーカー:イオン・リートマネジメント株式会社 代表取締役社長 関延明 氏

Executive Summary

関延明氏:イオンリート投資法人第16期決算説明動画をご視聴いただき、ありがとうございます。イオン・リートマネジメントの関でございます。さっそくではございますが、今期決算説明資料に沿って説明させていただきます。

第16期の分配金は3,184円と、前回の決算発表にて公表した予想分配金3,130円から、プラス1.7パーセントとなっており、安定収益の継続に加え、「イオン上田ショッピングセンター」取得による押し上げ効果もあって、着実に分配金を成長させています。第17期・第18期の予想分配金はともに3,200円で、引き続き、安定した分配金を見込んでいます。

新型コロナウイルス感染拡大に伴い、今年に入って一部地域で緊急事態宣言が再発出されていますが、生活インフラ資産として営業を継続しており、店舗売上は月によって波はあるものの、前年比9割程度まで戻ってまいりました。

第16期(2021年1月期)決算概要

それでは、詳細について説明させていただきます。今期の決算概要となります。1口当たりの分配金は3,184円となりました。

「イオン上田ショッピングセンター」の取得により、当初予想の3,130円から3,175円と、10月に45円上方修正いたしましたが、そこからさらにファンドコストなどのコントロールに努め、合計54円の上積みを実現することができました。

第17期(2021年7月期)業績予想

続いて、第17期の業績予想となります。分配金は3,200円を見込んでいます。前回の決算発表では3,130円でしたので、70円の増額となります。なお、「イオンモール利府」のリニューアルオープンに向けていったん営業を休止し、大規模工事を行っています。

そのため、3月から6月の4ヶ月間、一時的に賃料変更を行いますので、営業収益は減少する見込みであります。この減少分は配当準備積立金を活用し、カバーする方針でございます。

また、2月13日に発生した福島県沖地震による被害額の算定や復旧工事については、精査中でございますが、本地震による影響についても、地震保険や配当準備積立金の活用などを含め、公表させていただいている分配金について、最大限配慮して対応してまいりたいと考えています。

第18期(2022年1月期)業績予想

続いて、第18期の業績予想ですが、第17期と同じく、分配金は3,200円を見込んでいます。この期は「イオンモール利府」の影響がなくなり、営業収益が本来の水準に戻る見込みとなっています。

第16期運用状況 ~国内商業施設 営業状況~

この1年間の国内商業施設の営業状況でございますが、本年1月に緊急事態宣言が一部地域で再発出されていますが、第16期において全館営業を継続しています。一部飲食店やフードコートなど、時短営業をしていますが、GMSや食品スーパーは通常営業を継続し、地域の生活インフラ資産として役割を担い続けています。

第16期運用状況 ~国内38商業施設 店舗業績~

賃料収入および売上高の状況となります。第16期を通じて、イオンリートの賃料収入は計画どおり100パーセントで推移し、エンドテナントの売上高も前期と比較し、回復傾向にあります。

2019年10月に消費増税があったことから、駆け込み需要による売上の増加やその反動があり、9月・10月の売上高(前年比)がその影響を受けています。そのため、より状況をわかりやすくご理解いただけるよう、参考に一昨年対比の数字も記載しています。

年初から緊急事態宣言が発出され、厳しい小売環境が続きましたが、それでもエンドテナント売上高は前年比、第16期平均では約90パーセント程度まで戻ってきました。生活インフラ資産としての底堅さ、安定性の高さが、数値としても表れています。

Withコロナにおけるイオングループの取組み

コロナ禍に対応したイオングループの取組みについて、簡単に紹介させていただきます。イオングループは、グループを挙げて防疫対策を徹底しながら、安心・安全な環境をお客さまに提供することを目指し、対策を日々アップデートしています。

人と人の接触を避ける取組みとして、「ドライブピックアップ!」「レジゴー」「ドライブインシアター」など、さまざまな取組みを進めています。これらはコロナ対策であるとともに、将来的な新しいライフスタイル、新しい買い物スタイルの提案でもあります。

このような将来を見据えた取組みの一つひとつが、Withコロナ・Afterコロナ時代の新しい商業施設、新しい時代の生活インフラ資産として、価値を高めることになると考えています。

コロナ禍におけるフリーキャッシュ活用事例 ①

イオンリートは、潤沢なキャッシュフローと豊富なパイプラインを背景に、厳選して投資し、着実に分配金を成長させています。

具体的には、第16期に「イオン上田ショッピングセンター」、第17期に「イオンモール直方」の底地を取得いたしました。表の下、「巡航期の償却後NOIへの寄与」にあるように、「イオン上田ショッピングセンター」で1億2,300万円、「イオンモール直方」で2,700万円、収益を増加させています。

コロナ禍におけるフリーキャッシュ活用事例 ②

スライド左側のグラフのとおり、「イオン上田ショッピングセンター」取得で60円、「イオンモール直方」底地取得で10円、分配金を押し上げています。さらに「イオン上田ショッピングセンター」については、今後の内部成長も見込まれています。

本年、外壁塗装工事を計画しており、加えて、2025年2月までに活性化工事・リニューアル投資を行う旨の、基本合意書を締結しました。これらの投資による賃料増額を予定しています。

イオンモール利府 リニューアル

「イオンモール利府」については、新棟が3月5日にグランドオープンしています。県道を挟み、既存棟と新棟が並び立ち、両棟を上空通路でつなぐ大規模な開発となっています。

2つの棟を合わせると、東北でNo.1の面積を誇るショッピングセンターとなります。保有している既存棟は、マスターレッシーがイオンリテールからイオンモールに変わり、新棟と合わせ一体的に運営されることになります。

今年夏のリニューアルに向け現在工事中であり、時期がまいりましたら、あらためて詳細についてお知らせいたします。

資金調達(2020年リファイナンス)

2020年のリファイナンスにおいては、J-REIT初のサステナビリティリテールボンドをリテール債として、過去最大の規模で起債いたしました。本調達によって調達コストを低減しつつ、残存期間の長期化を実現しています。

イオンリートの保有する生活インフラ資産は、環境や社会的課題へ配慮した設備を備え、運営されており、その特徴を活かし調達手段の多様化につなげています。

第16期末ポートフォリオ指標

第16期末のポートフォリオ指標となります。資産規模は第16期末で3,955億円です。含み益・NAVも着実に伸ばしています。

着実な巡航分配金の成長

分配金の推移でありますが、中期目標として巡航分配金3,300円をお示ししてから、新型コロナウイルス感染症の影響もありますが、着実に成長させてまいりました。また、「イオンモール直方」底地取得後の、現時点の巡航分配金は3,198円となっています。

今後の成長目標達成に向けた分配金向上施策

今後の成長目標でありますが、引き続き巡航分配金3,300円をターゲットに、3年以内に達成させたいと考えています。また、時期は定めていませんが、資産規模5,000億円を目指しています。

イオンリートの強みは、潤沢なキャッシュフローと豊富なパイプラインにあります。シミュレーションにありますように、長期的に最も投資主価値の向上につながる物件取得を第一としながら、マーケット状況に応じて、機動的かつ柔軟に活用を検討してまいります。

イオンリートの強み

ここからは、他にはないイオンリートの独自の強み・特徴を説明いたします。このページではサマリーを記載していますが、主な内容について説明させていただきます。

地域社会に支持され、進化を続ける「生活インフラ資産」

イオンリートは、投資対象の不動産のことを「生活インフラ資産」と呼んでいます。これは地域のお客さまに支持され、日々の暮らしにおいてあてにされる商業施設のことであると考えています。

イラストの周りに事例を紹介していますが、物の販売だけでなく、さまざまなサービスを提供し、地域の大切な役割を担っています。そして何より重要なことは、生活スタイルの変化・テクノロジーの進歩に応じ変わり続け、地域社会に支持され続ける施設であるという点です。

先ほどお話ししたとおり、イオングループでは次々と新しい取組みを続け、コロナ禍においても安心・安全を確保しながら、さまざまなサービスを提供しています。また、これから始まるワクチンの接種会場としても、一部のモールが利用されると聞いています。

「地域社会の生活インフラ資産」への目利き力

「生活インフラ資産」とは何か。イオンリートの考え方についてお話しします。具体的には、立地・建物設備・運営力という3つの視点で、物件を評価しています。

立地については、土地そのものの力を見ています。例えば、人口動態、商圏、交通アクセスや競合環境、将来の開発計画などを見ます。

建物設備としては、利便性のポイントとなる駐車場や建物構造などを見ます。また、緊急時での地域の防災拠点としての機能や対応能力、堅固さなどについても確認します。

運営力については、地域に合った魅力的なテナントがそろっているか、郵便局・保育施設といった公共的な機能をそろえているかなど、集客力の源泉となる来店動機の要素を見ていきます。

こうした視点で個々の物件を総合的に判断、イオンリートならではの目利き力を発揮し、投資主価値の向上に資する物件を厳選し、取得してまいります。

生活インフラ資産の安定性 及び 賃料の安定性

スライドの左側、リースストラクチャーをご覧ください。イオンリートは、グループ各社と固定賃料を基本としたマスターリース契約、つまり一棟貸しの契約を締結しています。

ですから、お客さまが買い物をする専門店であるエンドテナントの営業リスクは、マスターリースの会社が負っていることになります。

つまり、イオンリートは景気の変化、ショッピングセンターの売上変動の影響を直接受けることなく、安定した賃料収入を見込むことができます。これは、現在のコロナ禍においても安定した分配金を実現していることから、ご理解いただけると思います。

外部成長 ~パイプラインサポートを通じた厳選投資~

パイプラインについて説明いたします。イオンリートの強みは、パイプラインサポートを通じた厳選投資、情報提供を受けて物件を見極め、適正な条件で物件取得ができる外部成長力にあります。

ページ左にこれまでの実績を示していますが、実際に取得したのは検討した物件の約3割となっており、数値としても厳選投資であることが表れています。また、すべての取得が相対取引であり、適正な条件、優位な価格での取得ができています。

外部成長 ~パイプラインサポートによる更なる成長~

先ほど申し上げたパイプラインですが、2,500億円程度あります。イオングループ11社とサポート契約を締結。いち早くグループが運営する物件の情報を得ることができ、優先的に物件取得の検討ができることが強みとなっています。

内部成長 ~運用物件の価値向上のための活性化投資~

物件の価値向上のための改装投資を、イオンリートでは「活性化投資」と呼んでいます。これには2つの側面があります。1つは、増床や大規模なリニューアルといった物件の競争力強化のための投資であり、もう1つは、物件の機能維持・向上のための投資であります。

いずれも商業施設にとって非常に重要な投資であり、イオングループ各社と協議しながら、物件の競争力を高め、賃料増額による内部成長を実現してまいりました。特に、物件の機能維持・向上のための投資は、単なる設備更新だけでなく、防災・減災に対する投資も含まれています。

この投資は、直接集客力が向上する投資ではありません。しかし、お客さまの安全確保はもちろんのこと、災害時の早期営業再開にもつながる、地域の生活インフラとして非常に重要な投資と考えています。

防災・減災投資の一例として、防煙垂れ壁の改修工事を進めており、国内商業施設のうち37物件、約97パーセントで改修済みとなっています。この活性化投資の累計額は50億円を超え、投資により増加した賃料は、年間ベースで3億4,000万円を超えます。

財務方針 ~安定調達~

続いて、財務方針について説明いたします。今後のどのような環境変化にも対応できるよう、長期的な視点で財務戦略を考えています。

財務方針 ~財務運営~

LTVは第16期末で44.8パーセントを維持しており、引き続き、44パーセントから47パーセントを目安にコントロールしてまいります。

リスクマネジメント ~自然災害への対応~

イオンリートは、自然災害への耐性が強いリートでもあります。そのポイントは4点あります。25都道府県に広がる地域分散投資、年間約79億円の潤沢なキャッシュフロー、火災保険に加えて、J-REITでは数少ない地震保険の付保、そして、4億7,400万円の配当準備積立金であります。これらの強みが、分配金の安定性を支えています。

成長の原動力となるキャッシュフロー創出力

強みの1つである、キャッシュフロー創出力について説明いたします。年間のフリーキャッシュフローは79億円に上ります。この豊富なキャッシュを活用し、物件取得や保有物件の活性化投資を行い、公募増資や借入によらず、収益力向上を実現できます。

これまで「イオンモール甲府昭和」の増築棟取得、「イオンモール盛岡」の増床リニューアルなどに活用してきました。直近では「イオン上田ショッピングセンター」や「イオンモール直方」の土地を、手元資金で取得しています。今後も豊富なキャッシュを活用し、着実に分配金を伸ばしてまいります。

サステナビリティ ~イオンリート~

イオンリートは2020年のGRESBにて、「5 Star(最上位評価)」を取得いたしました。サステナビリティという言葉が広がる前から、イオングループ・イオンリートはサステナビリティについて、多くのステークホルダーとともに積極的に取り組んでまいりました。

今後、一層サステナビリティ(長期的な環境・社会の持続性)を守り、事業をどう成長させていくかが問われます。この面においても、イオンリートはこれまで以上に注力し、推進してまいります。

サステナビリティ ~環境への取組み~

環境への取組みとして、環境評価の認証取得を積極的に進めており、認証取得物件は27物件となりました。

また、エネルギー消費量・CO2排出量の低減、効率化の取組みも進めています。例えば、太陽光パネル、植樹、壁面緑化やガーデンミストなど、環境に配慮した多くの取組みを行い、エネルギーの効率化を進めています。

サステナビリティ ~社会的課題解決への取組み~

社会的課題解決への取組みです。イオンの商業施設は、ふだんから地域交流やコミュニティの場となっており、商業施設という枠を超え、まさに生活インフラ資産として、地域のみなさまに頼られる存在となっています。

ワクチン接種会場としての利用についても、その一例となります。また、運用会社として働きやすい環境の整備をはじめ、さまざまな取組みを推進し、経済産業省さまより「健康経営優良法人」に認定されています。

サステナビリティ ~ガバナンス・その他の取組み~

ガバナンスという点では、透明性のある意思決定プロセスや、投資主価値と連動した運用報酬体系、イオングループによるセイムボート出資など、投資主価値を強く意識した仕組み・体制を整えています。

また、ファイナンスという点では、保有物件が、環境や社会的課題に応えた物件であるという特徴を生かし、J-REIT初のサステナビリティリテールボンドを発行しています。

サステナビリティ ~イオングループ~

最後に、イオングループのサステナビリティ基本方針と取組み事例です。今でこそ、サステナビリティという考え方が注目を集めていますが、イオングループは30年前から植樹活動をはじめ、さまざまな地域社会に貢献する取組みを推進してまいりました。

これからも先進的な取組みを通じ、持続可能な社会の実現と、グループの成長の両立を目指してまいります。

引き続き、投資家のみなさまに評価され、選ばれるリートを目指し、運営を続けてまいりたいと思います。以上で、私からの説明を終わります。ありがとうございました。

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