「老後資金」はどのくらい必要なのか?
先述の「毎月4万3000円」の赤字分を、貯蓄の取り崩しで補っていくことを想定してみます。
必要な額を単純計算すると、
1年間で4万3000円×12カ月=51万6000円
20年間で1032万円
です。
この計算で、仮に「60歳で退職した無職の夫婦が100歳まで生きる」ことを想定した場合、必要な老後資金は約2000万円、という計算になりますね。
厚生労働省が公表した「令和2年(2020年)版 厚生労働白書」では、収入を公的年金や恩給だけに頼る世帯の割合は2018年時点で5割を切っています。
逆にいうと、就労による収入や財産収入(家賃所得や配当など)のような公的年金以外の方法でも収入を得ている世帯が過半数を超えている、というが考えられます。
先にご紹介した70歳代以上の金融資産保有額の内訳をみても、預貯金以外の金融資産が約半分を占めていることが分かります。
さいごに
前出の「厚生労働白書」によると、2040年の日本では65歳男性の約4割が90歳まで、65歳女性の2割が100歳まで生きると考えられているようです。
2021年4月1日「改正高年齢者雇用安定法」が施行され、働く側が希望する場合には70歳までの就業機会を確保することが各企業に努力義務として課されるようになりました。
そんな今、70歳は老後のほんの入り口となりつつあるのかもしれませんね。
元気で長寿を全うすることを考えたとき、70代以降も「お金を貯めて・増やす」意識が求められてきそうです。
資産運用は、一般的に、時間を掛けて長く運用するほどリスクが軽減し、リターンが安定する傾向があるといわれています。
「人生100年時代」を見据えたお金の準備は、できるだけ若い頃にスタートされることをおすすめします。
【ご参考】貯蓄とは
総務省の「家計調査報告」[貯蓄・負債編]によると、貯蓄とは、ゆうちょ銀行、郵便貯金・簡易生命保険管理機構(旧郵政公社)、銀行及びその他の金融機関(普通銀行等)への預貯金、生命保険及び積立型損害保険の掛金(加入してからの掛金の払込総額)並びに株式、債券、投資信託、金銭信託などの有価証券(株式及び投資信託については調査時点の時価、債券及び貸付信託・金銭信託については額面)といった金融機関への貯蓄と、社内預金、勤め先の共済組合などの金融機関外への貯蓄の合計をいいます。
参考資料
- 日本経済新聞「コロナ解雇10万人超える 厚労省集計 製造業が最多」2021年4月8日
- 金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査] 令和2年(2020)調査結果」
- 厚生労働省「令和元年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 総務省統計局「家計調査報告(家計収支編)―2020年(令和2年)平均―(二人以上の世帯)」
- 厚生労働省「令和2年版厚生労働白書」
- 厚生労働省「高年齢者雇用安定法の改正~70歳までの就業機会確保~」