よって、外務省が発信する情報などを入手し、十分に注意する必要があるのは言うまでもないが、今後のインドネシアへの進出・展開計画を大きく変更したり、現地での経済活動や日常生活を制限したりする必要はない。

懸念されるイスラム過激派の再生

ただし、今後のインドネシアのテロ情勢を巡っては以下のような注意は必要だろう。

上述のように、近年、インドネシアではJADなどイスラム国を支持する地元イスラム過激派によるテロが報告されるが、インドネシアのテロ特殊部隊の掃討・摘発作戦が功を奏し、JADなどは組織的に弱体化し、その脅威も限定的なものといえる。

だが、最近はジェマー・イスラミア(JI)というイスラム過激派の再生が大きな懸念事項になっている。

21世紀に入り、JIはバリ島やジャカルタで度々欧米権益を狙ったテロを繰り返し、2002年10月のバリ島テロでは日本人2人も犠牲となった。

2009年7月に起きたジャカルタのマリオットとリッツカールトンでのテロ以降、JIは組織的に弱体化したが、最近はインドネシア国内でJIメンバーの逮捕が度々報告され、今年1月にはJIの創設者が刑期を終え出所した。

現在、インドネシア国内で差し迫ったテロの脅威があるわけではない。だが、JAやJIにしろイスラム過激派のメンバーが依然として国内で活動し、ジャカルタやバリ島で再びテロを実行する可能性もある。

今後のインドネシアのテロ情勢を注視していく必要がある。

参考資料

インドネシア過激派創設者が出所(共同通信)

和田 大樹