2021年3月22日、午前0時。

昨年に続く2度目の「緊急事態宣言」が全面解除となりました。

いまだ収束への見通しが立たないコロナ禍。感染防止対策は当面継続されることになります。

働き盛りの現役世代の中には、仕事やお金に関する不安を抱えたまま2度目の新年度を迎える方も多いでしょう。

一方、年功序列・終身雇用制度が一般的で、景気がよい時期に現役世代を送られた人が多い日本のシルバーエイジ。

若い頃の貯蓄や定年退職金、そして年金収入などの面で、いまどきの現役世代よりも「ゆとりがありそう」というイメージを持たれることもあるかと思います。

そこで今回は『70代以上「貯蓄100万円未満世帯」の割合はどの程度か』と題し、この世代の平均貯蓄額と中央値を確認しながら、シルバーエイジの貯蓄事情についてながめていきます。

70代以上世帯はどのくらい貯蓄を持っている?

さいしょに70代以上の平均貯蓄額と中央値を見ていきましょう。

*ちょっと解説*「中央値」と「平均値」

ここでいう「中央値」とは、貯蓄額を少ない順に並べた時、全体の真ん中に位置する値(貯蓄額)のこと。

一方、平均値は一部の極端に貯蓄が多い人の貯蓄額に影響されるので、値が大きくなりがちです。

中央値は平均値のように、他の値によって数値が影響されることがないため、より実勢に近い値といえます。

そこで今回は、平均貯蓄額と中央値の両方を見てみたいと思います。


金融広報中央委員会実施の「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査]令和2年(2020年)」の結果によると、金融資産保有世帯における70代以上世帯の平均貯蓄額と中央値は以下の通りです。

※ ( )内は令和元年(2019年)調査の結果です。

  • 平均貯蓄額:2208万円(1978万円)
  • 中央値:1394万円(1100万円)

一方で、金融資産を保有していない世帯を含む70代以上の平均貯蓄額と中央値は以下の通りです。

  • 平均貯蓄額:1786万円(1314万円)
  • 中央値:1000万円(460万円)

貯蓄額で見てみると、金融資産保有世帯においては、平均貯蓄額は2000万円、中央値は1000万円をそれぞれ超えています。

そして、金融資産を保有していない世帯を含む70代の中央値は1000万円です。中央値では金融資産を保有している世帯と保有していない世帯ではさほど変わらないことが分かりました。

ちなみにこの調査は、令和2年8月から9月にかけて実施されたもの。いずれの金額も、「コロナ前(2019年)」より大きく増えていることが分かります。