2021年2月16日に行われた、フロンティア不動産投資法人2020年12月期決算説明会の内容を書き起こしでお伝えします。

スピーカー:三井不動産フロンティアリートマネジメント株式会社 代表取締役社長 小野伸太郎 氏

サマリー

小野伸太郎氏:みなさま、こんにちは。三井不動産フロンティアリートマネジメントの小野でございます。フロンティア不動産投資法人2020年12月期(第33期)の決算の概要につきまして、ご説明を始めてまいります。どうぞよろしくお願いいたします。

それでは、まず本日のご報告のハイライトでございます。決算説明資料の10ページをご覧ください。こちらに、今回の決算のサマリーをまとめてございます。

まず、一番上の箱に、分配金を4つ並べて記載してございます。新型コロナウイルスの影響がございましたが、左から2つ目、終わりました2020年12月期(第33期)の1口当たり分配金につきましては、1万448円とさせていただいています。

前期(第32期)に比べますと318円の減配でございますが、昨年8月に公表いたしていました業績予想1万110円に対しましては338円上回っています。

また、その右に、第34期・第35期の分配金予想を記載してございます。現在始まっています2021年6月期(第34期)の分配金につきましては1万540円、また、2021年12月期(第35期)の分配金につきましては1万550円という予想を、それぞれ公表させていただいています。

次に、2番目の箱、ポートフォリオ強化への取り組みでございます。2施設におきまして、賃料を増額して新契約を締結することができています。第33期におきましては、契約満了の機会を捉えまして内部成長を実現しています。

昨年11月に、東京都板橋区の「志村ショッピングセンター」におきまして、サミット株式会社と、賃料を9.5パーセント増額しまして、新たに10年の契約を締結しました。

また、東京都大田区の「上池台東急ストア」におきましても、契約開始日は現在の契約が満了いたします約1年後の2022年3月ではございますが、株式会社東急ストアとの間で、賃料を75.4パーセント増額しまして、さらに20年の契約を締結しました。

その下の箱は、財務面でございますけれども、昨年12月末日時点におきますLTVにつきましては、記載のとおりブックバリューベースで46.7パーセント、鑑定ベースで37.8パーセントとなってございます。

4番目の箱は、サステナビリティへの取り組みでございますが、GRESBリアルエステイト評価におきまして、レーティング最上位の「5 Stars」を取得することができました。以上、ここまでが当期のハイライトとなっています。

新型コロナウイルス感染症の影響及び対応 −賃料への影響

続きまして、新型コロナウイルス感染症の影響および対応につきまして、11ページ、12ページでご説明させていただきます。説明資料の11ページをご覧ください。11ページには、カテゴリーごとのフロンティアへの影響と、分配金への影響額を記載しています。

左下のグラフは、各カテゴリーの売上高の前年同月比を示していまして、昨年4月、5月の緊急事態宣言での休業によりまして、大規模ショッピングセンターと都心型施設が大きく影響を受けました。

昨年10月には、一昨年の消費税増税の反動や映画のヒット作の効果もありまして、大規模ショッピングセンターも前年売上を超えましたが、年末にかけて感染が再拡大しまして、売上にも影響が出ています。

上段の表をご覧いただきますと、フロンティアへの影響につきまして、大規模ショッピングセンターにおきましては、マスターリース契約により固定賃料への影響はありませんでしたが、売上歩合賃料が減少しました。中規模ショッピングセンターでは、マスターリース契約に加え、主力の食品や日用品が堅調に推移しまして、賃料への影響はございません。

先ほどサマリーでご説明しました「志村ショッピングセンター」や「上池台東急ストア」における内部成長につきましては、コロナ禍での売上の底堅さがベースにあるものと思われます。

都心型商業施設がもっとも大きく売上が減少しまして、特に売上状況の厳しいテナントさんに対しましては、事業継続の支援を目的としまして、賃料の一時減額等の対応をした影響が出ています。

今後も、新型コロナウイルス感染症の動向に左右されると思いますが、第34期、第35期につきましても、賃貸事業収入の減少リスクを保守的に織り込んでいます。

新型コロナウイルス感染症の影響及び対応 −分配金への影響及び今後の見通し

続きまして、説明資料の12ページをご覧ください。12ページには、昨年8月に公表しました第33期の予想分配金から第35期予想分配金までの影響要素を、項目別に表示しています。

第33期の確定分配金につきましては、新型コロナウイルスの影響によります賃貸事業収入の減少が若干予想を下回りましたのと、転借人入替に伴います一時金収入によりまして、予想比338円の増配となりました。

第34期の予想ですが、コロナ影響につきましては、都心型の固定賃料減額等で1口当たり395円と、大規模ショッピングセンターの歩合賃料の減少として1口当たり136円を、賃貸事業収入減少リスクとして織り込んでいます。

一方、第33期から第34期にかけては、修繕費の大幅な減少もあり、分配金としまして、第33期比92円増の1万540円の予想としています。

第35期につきましては、固定賃料の減額で214円と、歩合賃料の減少としまして81円をリスクとして織り込みまして、第34期の予想分配金に対しまして10円増の1万550円の予想としています。

第33期(2020年12月期)決算

続きまして、もう少し詳細に、第33期の決算ならびに第34期、第35期の業績予想につきましてご説明を申し上げてまいります。それでは、ページをおめくりいただきまして、13ページをご覧ください。2020年12月期の決算の概要になります。

まずは、左側の大きな箱に数字が並んでいますが、第33期の損益のご説明でございます。前期(第32期)の実績との比較におきまして、主要な数字の確認を申し上げてまいりたいと思います。

緑の列の一番上ですが、営業収益につきましては108億5,000万円で、対前期2億4,700万円の増収でございました。

主な増減要因で、ページ右側の一番上の箱をご覧ください。まず、前期(第32期)に取得いたしました物件と、「ららぽーと新三郷」の転借人入替の通期稼働効果によりまして、合わせて2億800万円の増収でございます。

取得しました物件といたしましては、「TENJIN216」「ララシャンスHIROSHIMA迎賓館」の底地、「ブランチ博多パピヨンガーデン」によりますプラス影響でございます。

また、11月から「志村ショッピングセンター」で賃料増額していますプラス影響がございます。さらに、「ららぽーと新三郷」の転借人入替に伴います一時金1億7,100万円が、大きな増収要因となっています。

一方、減収要因でございますけれども、新型コロナウイルス感染症による影響が、第32期に比べますと第33期のほうが大きかったため、1億8,800万円の減収となりました。また、水道光熱費収入につきましては、主に季節変動要因等による増加でございます。

次に、賃貸事業費用です。左の箱に戻っていただきまして、上から2行目、第33期の賃貸事業費用。こちらは、減価償却費を除いた数字となりますが、24億9,600万円で、対前期3億6,900万円の費用の増加でございます。

こちらの主な要因につきましても、右側の上から2番目の箱に記載のとおりでございまして、もっとも大きな要素としまして、修繕費が2億9,700万円増加しています。昨年8月の予想にも織り込んでいましたが、第32期から第33期へ実施時期を調整いたしました工事もあり、大きく増加しています。

その結果、NOIにつきましては、また左側の箱に戻っていただきまして、上から3行目、83億5,400万円という水準でございまして、対前期で1億2,200万円の減少でございました。

その下は、減価償却費です。当期は20億3,300万円の計上で、2,700万円の増加でございます。第32期での新規物件の取得によって増加しています。結果といたしまして、当期の営業利益は56億600万円、対前期で1億6,400万円の減益でございました。

続きまして、営業外でございます。営業外費用をご覧いただきますと、2億7,400万円で、対前期で400万円の費用の減少でございます。

結果といたしまして、経常利益は53億3,700万円、対前期で1億6,300万円の減益。また、当期純利益につきましては53億3,600万円で、1億6,200万円の減益でございました。第33期の1口当たり分配金につきましては、1万448円とさせていただいています。以上、第33期につきましては、対前期で増収減益、減配という決算でございました。

業績予想

続きまして、業績予想にまいります。次のページ、14ページをご覧ください。1月から始まっています、2021年6月期(第34期)ならびに2021年12月期(第35期)の業績予想についてご説明いたします。

左上の箱をご覧ください。まず、2021年6月期(第34期)の営業収益の予想でございます。緑の列ですが、106億6,400万円で、第33期、終わりました期に比べまして1億8,500万円の減収の見込みでございます。

また、その下、営業利益につきましては56億4,500万円で、3,900万円の増益の見込みでございます。第33期の実績との比較における見込みにつきまして、右側の主な増減要因に沿って若干補足をいたします。

まず、営業収益ですが、1億8,500万円の減収の予想でございます。こちらは、「志村ショッピングセンター」の賃料で1,100万円の増収、コロナ影響によります賃貸事業収入の減少リスクを第33期に比べ少なく見込んでいまして、3,400万円の増収の予想となっていますが、「ららぽーと新三郷」での転借人入替に伴います一時金の剥落が1億7,100万円、「VIORO」等でのテナントの入替がありまして、その影響としまして3,000万円減少しまして、トータルとして減収の予想でございます。

また、営業利益につきましては、3,900万円の増益の見込みでございますけれども、その要因につきまして、こちらも右の上から2番目の箱に記載のとおりでございます。固定資産税・都市計画税の増加につきましては、第32期に取得しました物件の固定資産税・都市計画税の費用化もあり、2,800万円の増加です。修繕費につきましては、2億6,200万円減少する見通しです。

また、左の箱に戻っていただき、上から3行目、経常利益ですが、こちらにつきましては53億8,700万円で、5,000万円の増益予想です。

その下、上から4行目、当期純利益につきましては53億8,600万円、5,000万円の増益の見込みでございまして、第34期の1口当たり分配金の予想につきましては、1万540円とさせていただいています。

また、2つ右の列の第35期(2021年12月期)につきましては、コロナ影響による賃貸事業収入減少リスク1億5,100万円を織り込んでいますが、第34期と比べますと増収増益、増配の業績予想を公表させていただいています。

コロナ影響によります賃貸事業収入の減少リスクを織り込みつつも、安定した分配金水準を実現できるよう、これからも着実な運用を行ってまいる所存でございます。決算関連のご説明は、以上でございます。

運用ハイライト −大規模ショッピングセンター

続きまして、17ページをご覧ください。ここからは、運用ハイライトでございます。フロンティアが運営しています商業施設のカテゴリーごとに、最近の動きをご紹介してまいります。

17ページは、まず、大規模ショッピングセンターになります。「三井ショッピングパーク ららぽーと新三郷」と「三井アウトレットパーク入間」におきましての、新型コロナウイルス感染症拡大防止対策の取り組み事例をご紹介しています。

こうした感染症拡大防止対策の取り組みの効果の表れかもしれませんが、昨年9月に行われました右下のアンケートでは、コロナ収束後、訪問頻度を増やしたい商業施設としまして、大型ショッピングモールが1位になっています。

感染者数が比較的落ち着いていました昨年10月は、「ららぽーと新三郷」「三井アウトレットパーク入間」ともに前年売上を超える売上となりました。

運用ハイライト −中規模ショッピングセンター①

続きまして、18ページをご覧ください。中規模ショッピングセンターでございます。冒頭、ハイライトでご紹介しましたが、内部成長の実績といたしまして「志村ショッピングセンター」を挙げています。都営三田線の志村三丁目駅から徒歩1分の好立地にございまして、足元商圏に恵まれています。

この施設には、サミットストアとニトリ、コジマビックカメラが出店しています。地域住民の方が日常使いできる、生活に根ざした店舗として、好調な売上を継続しています。サミットさんとの、昨年11月の契約満了の機会を捉えまして、9.5パーセントの賃料増額で内部成長を実現できています。

運用ハイライト −中規模ショッピングセンター②

19ページは、「上池台東急ストア」です。この施設には、東急ストアとダイソー、ノジマが出店しています。こちらは、新契約が2022年3月からのスタートですが、大きく賃料を増額することができました。東急ストアさんのお話によりますと、売上は好調で、ネットで注文されるお客さまも増えているとのことです。

運用ハイライト −都心型商業施設

それでは、続きまして、20ページをご覧ください。新型コロナウイルスの影響をもっとも受けている都心型商業施設ですが、さまざまな環境変化に対応して店舗の入替を実施していますので、事例をご紹介します。

左側の写真は、「ギンザ・グラッセ」の1フロアに三井不動産が展開していますシェアオフィスの「WORK STYLING」が、昨年1月にオープンしました。

右側の写真は「池袋スクエア」ですが、「American Eagle」の後継としまして、「au Style IKEBUKURO」が昨年7月にオープンしています。

小売市場とフロンティア

続きまして、21ページをご覧ください。小売市場とフロンティアで、左上のグラフは、国内での物販系分野のeコマース比率の2019年までの推移です。昨年も伸びているものと思われますが、リアル店舗と一体となった取り組みも行われています。

右下の写真は、「ららぽーと」の通販サイト「&mall」の「ららぽーと新三郷」での受け取り拠点です。店舗側には、配送コストの削減や来店促進につながるというメリットがありまして、お客さまにとりましては、商品に実際に触れたり、試したり、返品が簡単にできる等のメリットがあります。

右上の表は、日本とアメリカ、イギリスの小売店舗数を比較しています。日本をアメリカと比較した場合、人口ではアメリカは日本の3倍弱ですが、小売店舗数はあまり差がありません。飲食料品店の日本の店舗数はアメリカの2倍弱あり、アパレル店舗数はほぼ同じです。

eコマース化率は、2018年の数字ですが、アメリカの約10パーセントやイギリスの約20パーセントに比べて、日本は約6パーセントと低くなっています。今後伸びる余地があるとも読めますが、日本では比較的アクセスしやすい小売の実店舗が普及しているので、欧米に比べましてEC化率が低い一因と考えることができると思います。

財務面の内部成長

続きまして、デット面での調達につきましてご説明申し上げます。1ページ飛んでいただきまして、23ページをご覧ください。

左上のグラフをご覧いただきますと、当期(第33期)に返済いたしました長期借入金の条件に比べまして、借換の際には引き続き、より好ましい条件で調達することができています。返済分0.63パーセントだったものに対しまして、0.25パーセントでの調達ができています。

その結果、右上のグラフにお示ししていますとおり、当期末時点での借入金全体の平均調達金利は0.42パーセント、平均残存年数は5年となってございます。

サステナビリティ −環境(Environment)に対する取り組み

最後に、サステナビリティに対する取り組みについてご報告します。1ページ飛んでいただきまして、25ページをご覧ください。

左下に記載のとおり、2020年のGRESBリアルエステイト評価におきまして、レーティング最上位の「5 Stars」を取得することができました。開示評価におきましても、最上位となります「A」評価を取得しました。引き続き、ステークホルダーのみなさまと協働してサステナビリティの取り組みを充実させていくとともに、その取り組みについて適切に開示していきたいと思います。

この第33期におきましては、新型コロナウイルスの影響を受けましたが、各施設の状況をタイムリーに把握しながら、安定収益基盤の確保を図ることができたと考えています。

以上、駆け足になりましたが、フロンティア不動産投資法人2020年12月期(第33期)の決算につきましての、私からのご説明は以上でございます。ご清聴いただきまして、ありがとうございました。

記事提供: