ゆとり教育から20年が経とうとしています。この間にグローバル化社会が一気に進みました。特に大企業では日本国内の市場だけを考えてビジネスを考える時代ではなくなっています。こうした世界の変化の中で活躍できる人材育成を掲げる場合、「英語力」は不可欠なキーワードになります。

そうしたこともあり、国の方針で英語教育が大きく変貌しつつありますが、全員がそれについていけるとは限りません。英単語をスラスラ暗記できる子がいる一方で、小学校時代に苦手意識を持つ子、つまづいてしまう子が続出することも懸念されます。

また、早い段階から英会話教室や英語塾に通える経済力のある子もいれば、英語学習は学校のみの子もいるという格差も出てくるでしょう。

現在はコロナ禍で通訳などの語学力を活かした職は苦境に立たされていますが、英語力は収入にも直結するスキルです。学校以外での学習機会格差を是正する取り組みの必要性も、今後高まってくると考えられます。

様々な形で英語に苦手意識を持ってしまった児童や生徒へのサポート体制が求められる日も、遅かれ早かれやってくるのではないでしょうか。

約10年単位で変わる学習指導要領

ゆとり教育から脱ゆとり教育、そして今回の学習指導要領へと約10年単位で改訂が行われていますが、その時代の国の方針が子どもたちに与える影響には多大なものがあります。

その中で、英語教育は戦後からの公教育の中で大きな分岐点を迎えようとしています。ゆとり教育時代は中学から高校までに学ぶ英単語は2200語、これまでの学習指導要領では3000語でした。そして新たな方針では、高校卒業レベルで4000語から5000語の語彙数が掲げられています。

これまで誰も経験していないハイレベルな英語能力を身につけるためのカリキュラム元年。すぐ結果は出ませんが、いつも以上に注視する必要があるのではないでしょうか。

参考資料

中山 まち子