イオレ、「HRアドプラットフォーム」のメディア連携汎用化を達成 今後は収益化・自動化を目指す

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2021年3月6日にログミーFinance主催で行われた、第18回 個人投資家向けIRセミナー Zoom ウェビナーの第1部・株式会社イオレの講演の内容を書き起こしでお伝えします。

スピーカー:株式会社イオレ 代表取締役社長 小川誠 氏
元ファンドマネージャー/元ディーラー 坂本慎太郎(Bコミ) 氏
フリーアナウンサー 八木ひとみ 氏

会社概要

小川誠氏(以下、小川):まずは当社への理解を深めていただければと思います。こちらは会社概要です。設立は2001年、従業員数は89名で、事業内容としてはインターネット広告事業を中心に展開しています。

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沿革

小川:次に沿革です。2005年の「らくらく連絡網」の運用開始とともにメディア事業を、2014年の「pinpoint DMP」の運用開始とともにアドテクノロジー事業をそれぞれ展開しています。また足元においては、大きな節目になればと思い、昨年10月に日本初の運用型求人広告プラットフォーム「HRアドプラットフォーム」の提供を開始しています。

事業概要

小川:次に事業概要です。現在の収益の大半はpinpointを中心とした運用型広告事業、「らくらく連絡網」を中心とした自社メディア事業、その他から構成されています。

事業概要 ― 自社メディア【らくらく連絡網】

小川:では、次に自社メディアについてご案内します。まず「らくらく連絡網」ですが、現在は39万団体、696万人にご利用いただく、日本最大級の連絡網サービスとなっています。主な利用者は大学生です。サークル、ゼミ、部活、研究室などの連絡網サービスとして利用いただいています。また、数が多いのはお子さまの活動の父母会の連絡網です。PTA活動やお子さまの習い事の連絡網などでご利用いただいています。

団体の属性としては、円グラフにあるようにスポーツ系サークルが約25パーセントと多く、細分化すると、野球とサッカーそれぞれで2万チームを超える団体さまにご利用いただいています。

事業概要 ― 自社メディア【らくらく連絡網】(続き)

小川:「らくらく連絡網」のポジショニングについてです。どちらかというと、スライドの右側の公的であり情報の必要性が非常に高いところに位置しています。また、普段「Facebook」などのSNSをあまり利用しない方でも、お子さまの活動のために「らくらく連絡網」は利用せざるを得ないということでご利用いただいていることも特徴です。

らくらく連絡網を活用したビジネスモデル

小川:ビジネスモデルについてです。「らくらく連絡網」で取得したデータを「ガクバアルバイト」「らくらくアルバイト」といった自社メディアで利活用しています。また、スライド上部の中央にある「pinpoint DMP」に、データを匿名加工化し、第3者の広告配信面で広告を配信する事業が大きな特徴となっています。

事業概要 ― 自社メディア【ガクバアルバイト】【らくらくアルバイト】

小川:「ガクバアルバイト」「らくらくアルバイト」の自社メディアについてです。「ガクバアルバイト」は大学生に特化した掲載型のアルバイト求人メディアです。一方、「らくらくアルバイト」は他社の求人媒体の案件をポータル化し、応募者を送客する送客課金型のモデルとなっています。

事業概要 ― 自社メディア【ガクバアルバイト】【らくらくアルバイト】(続き)

小川:それぞれのポジショニングですが、「ガクバアルバイト」は特化型、いわゆる若年層である大学生に特化しているところに位置しています。一方「らくらくアルバイト」は、スライド左側にあるメディアの求人案件をポータル化しているアグリゲーションメディアです。また、求人検索エンジンも全体を網羅しています。

この求人検索エンジンとアグリゲーションの違いについてのご質問がよくあるのですが、簡単に言うと、求人検索エンジンは無料で掲載ができる「Google」のSEOというイメージのエンジンになります。一方、アグリゲーションメディアはすべてが有料の案件になっています。このようなところが大きな違いになると思います。

事業概要 ― 運用型広告【pinpoint】

小川:では、次に当社の中心の事業となっているpinpoint事業についてご説明します。もともと金融業界の仕組みを取り入れていますので、みなさまよくご存知の株式市場に当てはめることができます。例えば、スライド左側の株式を買いたい人はできるだけ安く買いたいと考えています。一方、右側の株式を売る人はできるだけ高く売りたいと考えています。これはRTB(リアルタイムビッディング)という入札方式を用いて成り立っています。

これをインターネット広告に当てはめたのがアドテクノロジーの業界になります。スライド左側にある広告主は広告を1円でも安く出したいわけです。一方、Webメディアは自分たちの広告スペースを1円でも高く売りたいと考えています。これをRTBという仕組みにより、リアルタイムな入札で広告の出し入れを行っています。

坂本慎太郎氏(以下、坂本):インターネット黎明期にはバナー広告は固定されていましたが、それが属性やいろいろなものによって表示される広告が異なるようになったということですよね。その人に一番合った広告が高くなり、高く入札したものが表示されるということが、私たちがブラウザを「ポチッ」と開く間に行われているのですよね。

小川:おっしゃるとおりです。本当にリアルタイムの仕組みです。2000年代のインターネット広告は営業マンを介しており、いわゆる期間販売でした。「1ヶ月掲載したら『Yahoo!』のここはいくらです」といった売り方でした。

坂本:新聞広告のようなイメージですね。

小川:おっしゃるとおりです。日本では、このようなビッディングの仕組みを用いた広告の出し入れは2011年から可能になりましたので、足元の2021年で言うと、これを売っている営業マンは日本にはもういないわけです。全員トレーダーが入札している仕組みになっています。

ただし、当社に限っては2014年から「pinpoint」サービスを展開していましたので、アドテクノロジーにおいては若干後発でした。それを鑑みると、スライド資料にあるメディアの先の誰に広告を出すかに特化していこうといったところが1つのポイントでした。

当社の事業領域におけるDMP(データマネジメントプラットフォーム)は、データを保管する箱だと思ってください。つまり、スライドにあるメディアの中でどこに出すかを重点的に行ったのがpinpoint事業です。坂本さんのお話で言うと、我々3人が同時にアクセスしても出る広告は3人ともそれぞれ違うといった仕組みになっています。

事業概要 ― 運用型広告【pinpoint】(続き)

小川:現在、「らくらく連絡網」のデータ以外にも他社のデータもこの「pinpoint DMP」に格納しています。これはユニークですが、総数で言うと約2,000万人です。この2,000万人を超えるデータが匿名加工化され、DMPに格納されています。日本にあるほとんどのメディアは押さえていると思いますので、ほぼすべてのメディア面で我々のデータを利活用した広告配信が可能になっています。

DMP(Data Management Platform)ベンダー表

小川:DMPだけを切り出したベンダー表です。上下の軸はデータをCRMで利用するケースと広告として利用するケースにわかれていますが、当然、当社の「pinpoint」は広告に位置しています。

最大の特徴は1st Partyデータであるということです。我々は「らくらく連絡網」というメディアを持っていますので、自社で生成できるメディア、会員データを持っているのが一番の強みです。

一方、3rd PartyデータはWebの閲覧履歴から推測した情報となるため、数は多いのですが精度はそこまで高くありません。逆に精度を高めようとするといろいろな規制に引っかかってしまいます。

坂本:個人情報関係ですよね。

小川:おっしゃるとおりです。このようなところについて、「Google」が2022年に向けてデータの提供を行わないと発表し、広告の追跡システムを新たに開発しないといったニュースもありましたが、このような流れは我々の「pinpoint」、つまり1st Partyデータを保有しているところには非常によい風が吹くと思っています。

業績推移 ― 四半期別売上高

小川:では、あらためて2021年3月期第3四半期の累計期間の業績ハイライトについてご説明します。文字は割愛しますが、ご覧のとおり新型コロナウイルス感染症の影響を非常に受け、第1四半期の売上は約半分まで減少しました。かなり不安な時期も過ごしましたが、おかげさまで第3四半期は前年同期水準まで戻すことができました。

足元については、不謹慎ではあるものの、このピンチは我々にとっては逆によかったのではないかと思います。事業構造、商品、体制を見直し、完全に社内を向いた商品づくりや組織づくりをあらためて行うことができました。今だから言えることとは思いますが、第1四半期に力強くしゃがみ込んだ先に大きな飛躍を遂げていけるのではないかと感じています。

業績推移 ― 四半期別経常損益

小川:経常損益も売上の回復とともに赤字額が減少してきています。できるだけ早いタイミングで、可能であれば足元の第4四半期で「出血」だけは止め、来期に臨みたいと思っています。

業績ハイライト

小川:業績ですが、新型コロナウイルス感染症拡大による緊急事態宣言の影響を受けた2020年5月前後を底に回復基調です。しかし、累計の前年同期比では減収減益となっています。

外部環境と業績への影響

小川:取り巻く外部環境についてです。スライド左側の求人広告掲載件数も5月が底でしたが、足元においても、世の中に出ている求人数は前年比で40パーセントから50パーセントと減少しています。最大150万件から160万件あった求人が、足元では80万件くらいになっています。一方、スライド右側のグラフのように、正社員、アルバイト・パートもともに落ち込んでいます。

外部環境と業績への影響 ― 2021年3月期第3四半期

小川:このような外部環境の中での当社のネガティブな要素とポジティブな要素についてご説明します。ネガティブなところは新型コロナウイルス感染症の第3波であり、現在は緊急事態宣言発令中ではありますが、こちらは限定的です。もう第1四半期のような影響は受けていません。

例えばイベントの集客やリゾートバイトの募集など、みなさまが想像できるところは影響を受けたかと思います。ただし、ここの影響は非常に限定的です。

一方、新卒採用は各企業において2022年の卒業生の採用人数を抑制する傾向が見受けられますので、この分野の回復には5年くらいかかるのではないかと思います。

坂本:氷河期まではいかないかもしれないですが、落ちているのは間違いないですよね。

小川:落ちているのは間違いないと思います。ただし、新卒採用については少子高齢化であるという背景は変わりませんので、必ず戻るのですが、他の回復よりは遅いのではないかとい思います。

坂本:やはり数は減るのですが、ピンポイントに「理系のこのような人材がほしい」ということは続くのだろうと思います。そこで御社のデータを活用できるのではないかと思うのですが、いかがでしょうか?

小川:当社の大学生のデータの最大の特徴としては、就職活動をするためのデータではなく、入学してサークルに入ったタイミングや研究室に入ったタイミングでデータベース化していることですので、大学1年生、2年生からデータを持っていることが強みです。

今後「3年生、4年生でないと就職活動をしてはいけない」というルールが撤廃されますので、インターンシップなどは2年生からある程度ブランディングしていきたいといったところなどの利活用の幅は広がるのではないかと思います。

ポジティブな部分については、運用型広告における当社の運用力を背景に、他社からの乗り換えが引き続き加速しています。つまり、このコロナ禍においても、販促活動や採用活動をしている企業が他社から当社に乗り換えるケースが非常に多く見受けられました。

坂本:これはやはり精度が高いからということですか?

小川:成果の部分ですね。例えば、独自のデータを持っていたり、フィードという運用方法など独自の運用ノウハウを持っていたりすることで、採用で言うと、1万円で1応募を獲得していたところが、当社に乗り換えると7,000円で1応募を獲得できるようになったということです。端的にいうと、ここが成果になりますので、そのようなことを求める企業が乗り換えられたということが背景にあります。

一方、コロナ禍の影響を受けにくい重点顧客群を設定し、顧客のポートフォリオをアップデートしました。先ほどお伝えしたとおり、第1四半期は半減しましたが、ここから回復したお客さまを重点顧客群、コロナ禍の影響を受けにくい顧客群にアップデートできたことが今期最大の成果だったのではないかと思います。

八木ひとみ氏(以下、八木):具体的にはどのようなことでしょうか?

小川:例えば採用領域で言うと、市場環境が50パーセントから60パーセント落ちている中でも、伸びているところが2業種あります。医療・福祉とSE・エンジニアです。このあたりのデータは我々も非常にたくさん持っていますし、運用ノウハウにおいての実績も高いです。

このようなところで言うと有資格者、つまり市場のパイが一定程度決まっている人たちは、新型コロナウイルスの影響に関係なく採用が過熱しています。したがって、回復したお客さまにはそのあたりの層が非常に多いです。今後、飲食業などは当社の仕掛けが出遅れなければ必ず回復してくると思います。

体制についても、自社メディアから運用型広告へリソースをさらにシフトさせました。つまり、営業体制を再構築できたことが売上向上に寄与しました。また、コンペで公的機関のプロジェクトを受注できるようにもなりました。

さらに、既存顧客の継続率は安定的に推移しています。100パーセントと言いたいところですが、具体的には98パーセントから99パーセントくらいで継続いただいており、かなり高い水準だと思います。

坂本:あとは量が増えればもとに戻りますね。

小川:おっしゃるとおりです。

坂本:加えて、新しいところの可能性もありますよね?

小川:そうですね。土台の基盤は「おかげさまで回復したな」といったところです。

2021年3月期業績予想

小川:続いて、業績の見通しですが、現状は想定どおりの進捗状況です。新型コロナウイルス感染症の収束状況が不透明であることから、業績予想は据え置いています。今後、業績予想の修正が必要となった時点で速やかに開示します。

今後のロードマップ

小川:今後のロードマップといっても、もう3月ですのでこちらも順調に推移しています。これを発表した第3四半期については若干計画を上回るペースで進行していますが、状況は不透明なところもありますので、業績の見通しは据え置いています。

自己資本比率

小川:B/Sになりますが、自己資本比率は84.2パーセントと財務基盤は安定しています。何かあった時の借入等の枠はある程度確保していますが、特に借入等はなく、無借金の状況で運営しています。

2021年3月期戦略

小川:では、第3章になります。2021年3月期の戦略の進行状況についてです。ご覧の項目の順に進めます。

事業の「選択と集中」

小川:まず今期のコロナ禍においては、社内のテーマとして事業の「選択と集中」を進め、とにかく収益力確保を優先し、成長曲線を描く上での基盤構築をあらためて目指してきました。

特にこの「HRアドプラットフォーム」は、コロナ禍の状況で言うと非常に追い風が吹いたところでした。こちらの事業化と「pinpoint及びその他運用型広告」のさらなる伸長に重点的に注力しました。

1.HRアドプラットフォームの事業化 ― 求人広告領域の変遷

小川:「HRアドプラットフォーム」の事業化についてです。「HRアドプラットフォーム」はもともと日本初のサービスではあるのですが、なぜこのサービスに至ったのかについてご説明します。先ほど坂本さんとのお話でもありましたが、もともと私自身がアドテクで上場しましたので、アドテクノロジーの業界から見た求人広告領域になぜこんなに営業マンがいるのかと不思議に思いました。

坂本:この間もお話しいただきましたね。

小川:テレアポして飛び込みしてと、けっこう疲弊している営業マンもたくさん見ており、不思議に思ったことから始まりました。これをある程度紐解いていきますが、まずスライド一番下の販促広告は、いわゆるインターネット広告だと思ってください。先ほどお伝えしたとおり、「Yahoo!」などのインターネットメディアも当時は掲載型の広告でした。営業マンを介して「1ヶ月掲載すると100万円です」なんていうことを行っていました。

その後、2002年くらいに日本で「Google」等がリスティング広告、いわゆるキーワードを指定した入札の仕組みが始まりました。一方、運用型広告、アドテクノロジーは日本では2011年から始まりました。

スライド中央の求人広告に戻ると、7年くらい遅れてやってきます。例えば、今まで紙中心だった掲載型の求人広告がちょうど2000年にWeb化されました。一方、リスティング広告と言われる、「Indeed」を代表する求人検索エンジンはリスティングという広告の手法になりますが、これは「Indeed」が2009年に日本に上陸しています。

この求人広告について、我々は運用型求人広告と呼んでいますが、インターネット広告で今主流の運用型にどこよりも先に狙いをつけたのが「HRアドプラットフォーム」です。

一方、「世界を見ると同じことを考えた人がいたのだな」ということが後でわかりました。2019年6月にアメリカで「HRアドプラットフォーム」と類似したサービスが生まれており、現在はかなり普及してきているといった情報が入ってきています。

1.HRアドプラットフォームの事業化 ― 全体像

小川:「HRアドプラットフォーム」の事業についてですが、求人検索エンジンの運用との圧倒的な違いは、とても簡単であるということです。例えば、スライド左側の人を必要とする求人企業は3点を入力するだけです。あとは我々のプラットフォームが自動のアルゴリズムで媒体を選定して出稿します。

3点というのは、1点目は1応募をいくらでとりたいのかということです。これが入札の仕組みです。また、2点目は上限の予算です。どんどん応募が来るとすごい請求額になってしまったりもするため、月ごとに上限の予算を設定していただきます。我々は「20万円で止めてください」「50万円で止めてください」と、上限の予算を設けているわけです。さらに、3点目は募集の期間です。

例えば、今ここでその3点を入力すると、今日中に自動的に全国のさまざまな求人メディアに、それぞれの仕様に合わせたかたちで広告が出稿されます。そして、応募者がそれぞれのメディアで閲覧してエントリーすると、このATSといわれる、当社で言う「ジョブオレ」というサービスにすべての応募情報が入ります。そこで求職者とのコミュニケーションをとる、という仕組みです。

収益については、私自身がプラットフォームといったものに取り組んでみてあらためてわかったことなのですが、通常の「モノを売る」というKPIとまったく異なっています。日本にあるサービスは営業が販売し、販売がうまくいくと「前年比で20パーセント伸びました」などといった事業体がほとんどです。

当然のことながら、我々もプラットフォームを利用いただく求人企業を増やしていかなければいけません。つまり、求人企業が増えれば増えるほど預かる予算が増えていきますので、収益は上がっていきます。一方、我々はプラットフォームなので、求人メディアの数が増えても収益が伸びるのです。

例えば、今ここで預かっている総予算が1億円あったとします。しかし、なかなかすべて消化しきれないのです。上限予算の総額が1億円あった場合、現状でいうと6,000万円しか消化しません。つまり、予算が4,000万円余ってしまいます。これが、新たなメディアが1つ、2つと増えていくと消化率が上がり7,000万円、8,000万円の収益増になったりします。

現状は、日本で言われているAIとは人間が考えたルールアルゴリズムの世界だと思っていますが、将来的にはプラットフォームにAIや、能動学習、機械学習を加味し、媒体にもれなく連携できるマッピングの精度を高める技術と、求職者とのマッチング率を高めるものを絶賛開発中です。

つまり、スライド左側の求人企業が増えて収益が上がることと、求人メディアとの連携が増えて収益が上がること、マッピング精度やマッチング率が上がって収益が上がることの3つがそれぞれ重なり合うと10パーセント、20パーセント増えていくという事業体ではなく、倍々で伸ばしていける可能性がある事業体であるということです。これがプラットフォームの最大の魅力なのだと、自分自身が取り組みながら感じているところです。

八木:だからプラットフォームを押さえにいくのですね。

小川:おっしゃるとおりです。先ほど雑談でもお話ししましたが、「メルカリ」はCtoCのプラットフォームです。しかし、当然これは出品者が増えれば手数料収益が上がりますし、購入者が増えても収益が上がります。また、当然その中のプラットフォームでより精度高くマッチングさせる開発もされていると思いますので、さらにそこで収益が上がります。ここも三位一体になった時には倍々で収益が上がっていくわけです。プラットフォームという本質は、このような事業体なのだとご理解いただければと思います。

1.HRアドプラットフォームの事業化 ― 今期ロードマップ

小川:ロードマップについてご説明します。足元の最大の成果はメディアとの連携汎用化でした。昨年は1メディアの連携に1ヶ月から2ヶ月くらいかけていたのですが、APIを開発してある程度汎用化ができましたので、現在は5営業日で1社と連携することができます。

よって、足元2月で2社、3月で3社、トータルで言うと現在は13社のメディアと連携するかたちになりました。極端なお話ですが、1ヶ月で4社ずつ連携することが可能になっていますので、来期以降もこのくらいの高いペースで、このサプライ・サイドと言われるメディアの連携を進めていけるようになります。

もう1つの成果については、スライドのデマンド・サイドをご覧ください。現状は、当社運営のATSという採用管理システムの「ジョブオレ」を通じて「HRアドプラットフォーム」を利用できるに留まっているのですが、今月は他社が運営するATSにもこのプラットフォームを開放します。

坂本:では、他社が自分のところに流したいと思っていることが障壁になってこのサービスを利用できない人も使えるようになるということですね。

小川:おっしゃるとおりです。あとはバランスですね。例えば、このビジネスは利用する企業ばかりが増えると入札単価が高騰してしまいますし、連携するメディアばかりが増えると入札単価が落ちていき、レベニューするメディアへ支払う手数料が下がっていきます。

「メディアを4社連携するとATS1社連携」くらいのバランス率で伸ばしていくとちょうどよいのではないかと考えています。プラットフォームはバランスも気にしていかなければいけない印象はあります。

1.HRアドプラットフォームの事業化 ― トピックス

小川:ATSもそうですし、汎用化に向けた開発を継続しています。これは12月末時点ですが、6,369の求人原稿が「HRアドプラットフォーム」を利用しています。

1.HRアドプラットフォームの事業化 ― HRアドプラットフォーム成長戦略

小川:次に成長戦略です。今期を含めた3ヶ年についてテーマを挙げると、とにかく今期は「事業化」でしたが、これはできました。4月から始まる来期はとにかく「収益化」を目指します。そして、来々期は「自動化」です。個人的には、最大のポイントはこの来々期だと思っています。

人の手を介して運用せず、全部機械が行います。人の手を介して販売せず、全部Web上で申し込んでWeb上で決済し、Web上で採用担当者が利用できるということです。ここまで簡易的なサービスにしていきたいと思いますので、このあたりを3ヶ年のテーマとしています。

日本の求人メディアには何千という数があるのですが、あまりにも小さい求人メディアとの連携ではそこまで収益にインパクトがありません。これは目標数値になりますが、来期に関しては、とにかく収益化を目指すと同時に、我々がスコープしている上位100メディアのうちの半数との連携を1年で完了させたいと思います。

こうなると大手の求人メディアの在庫量を超える在庫量になると思いますし、それをもって来々期以降は新しい求人広告市場のマーケットリーダーを目指していきたいと思っています。

坂本:1ページ前に戻ってください。特許のお話があったのですが、個人投資家は特許に非常に興味がある方が多いです。昔から特許に目をつけて長期の成長を見ている投資手法の人はけっこう多いのですが、この成長戦略をそのまま継続するにあたり、御社の特許について詳しく教えていただきたいと思います。何件くらい特許を編成しているのかについてや、特許によってどのくらいの参入障壁になるのかなどを含めて教えていただけたらと思います。

小川:特許に関しては、2020年10月に出願しています。現状は1点です。我々の知財戦略に関しては、みなさまご存知の方もいると思いますが、特許が20年有効と言われる中で我々のテクノロジーの分野は日進月歩で進化してしまいます。よって、昨年出願した1つの特許を、実は意図的に分割応用して2つ目、3つ目、4つ目という出し方を今年も来年も行っていく予定です。

具体的な軸になる特許のところは、この入札という仕組みを用いて広告出稿ができる、求人出稿ができるという点です。先ほどAIのお話もしましたが、メディアとのマッピングはとても大変です。

例えば、1つの求人原稿を100の求人メディアの仕様に合わせる場合、それぞれのマッピングテーブルでは画像の点数も文字の制限もそれぞれ違ったりするわけです。よって、我々は将来的にはAIが求人原稿の文字を読み取ってマッピングしていけるような仕組みにしていくといったことも考えています。

また、マッチングについてはデータのところになりますが、どうしたら一番最適な求人を上位に表示できるかといったところは、現状は独自のアルゴリズムによるスコアリングシステムで行っています。しかし、これもどんどん進化していくと思いますので、このような部分を分割応用していきたいと考えています。そうすると、3年後に我々が分割応用した新たな特許を出願しても、あくまで分割応用なので2020年10月からカウントされます。

坂本:だから特許期間が伸びていくということですよね。

小川:ただし、後ろは17年になってしまうのです。よく言われるのは、特許は取ってはいけないということです。取ってしまうと、そこで特許の範囲が限定されてしまいます。したがって、進化する部分に関してはとにかく分割して新たな出願を繰り返していきます。

そうすると、3年後に出したら後ろは確かに17年しか特許期間がないですが、2020年10月から特許が有効ということになります。最後のご質問のところで言うと、このあたりが進化に対しての一定の牽制につながると思っています。

八木:どんどん開発していかなければいけないということは、それなりにお金がかかりますよね?

小川:そうですね。ただ、足元の既存事業は順調に回復してきています。また、実は我々は小さな上場企業になっているような気がするのですが、足元の来期は小さな上場企業で終わるのか、大きな飛躍を遂げる会社になるのかの分かれ目だと思っています。案外来期に関しては既存で出た収益はすべて将来成長に投資をしてもよいのではないかと思います。

坂本:成長を目指すということですね。

八木:開発のほうにということで。

小川:そのほうが将来的な企業価値は絶対高くなると思っています。

坂本:もともと新興市場はそうですよね。大きく出血せずに成長のために使っていくということで、種まきの回収期は来々期以降になるということでしょうか?

小川:おっしゃるとおりです。

坂本:来々期以降の種まきの回収期に個人投資家が早く気付いてそのまま上がっちゃうことがけっこう多いのですよ。

八木:個人投資家の方が好きそうですよね。

坂本:そこの部分で投資家の分析能力が問われるのですが、やはりこのようなお話を聞いているとイメージできますよね。

1.HRアドプラットフォームの事業化 ― 全体戦略イメージ

小川:採用分野に関して言うと、我々のデータを通じてさまざまなメディア面、「HRアドプラットフォーム」を通じてさまざまな求人メディア、「ジョブオレ」というATSを通じて求人検索エンジンにリーチができますので、世の中的にWeb上で求職者にリーチできないという手法はこれでなくなりました。これを総合的に伸ばしていくといった戦略になります。

2.「pinpoint及びその他運用型広告」の伸長

小川:では、2点目の「pinpoint及びその他運用型広告」がなぜ伸長しているのかについて掻い摘んでお話しします。やはり、唯一無二のデータを持っているということで、データの独自性が高いと思っています。

一方、運用ノウハウについてはデータを利活用しながら案件をフィードで送るといったノウハウが長けていると思います。

求人原稿数については、ある程度市場のシェアにはなってくると思いますが、この分野だけ掻い摘むと、今回コロナ禍の影響でテレワークやオンライン商談が非常に有効になっている中、求人市場の参入障壁が一番高かったのは販売網でした。大手は各地に支店があり、各地に営業マンを配置しているため、この販売網にまったく勝てなかったのです。

それが、今はある意味「どこでもドア」ができたような時代ですので、足元では沖縄のお客さまや北海道のお客さまがすごく増えてきています。このようなところの参入障壁についても、この業界が変わる可能性が高くなったのではないかと感じています。

2.「pinpoint及びその他運用型広告」の伸長(続き)①

小川:そのようなところでは「pinpoint及びその他運用型広告」がさらなる伸長を遂げています。

2.「pinpoint及びその他運用型広告」の伸長(続き)②

小川:そこをさらに求人分野だけ切り出し、前年の第3四半期と比較すると24.9パーセントの増収となっています。

坂本:今主力の「pinpoint」のお話なのですが、有効求人倍率が落ち込んでいる中、第3四半期に求人分野を約25パーセント伸ばせたということで、第4四半期と第4四半期以降の見通しについて教えていただけたらと思います。

小川:基本的には継続率は98パーセントから99パーセントで推移しますので、前提の土台となるところに新たなお客さまが乗ってくるという意味では、今後季節要因にはそこまで変動されなくなってくると思います。

坂本:収益のイメージができました。ありがとうございます。

2.「pinpoint及びその他運用型広告」の伸長 ― ジョブオレの歩み

小川:「ジョブオレ」はけっこう力強く伸びており、今7万求人くらいに「ジョブオレ」を利用いただいています。

坂本:ここが伸びた理由も教えていただけたらと思います。

小川:伸びた理由は2点あります。やはり求人分野の運用型広告を行っていくには、企業それぞれに採用のオウンドメディア、リクルーティングオウンドメディアが必要になりますので、必然的に「ジョブオレ」を導入する企業が増えていきます。一方、第3四半期については「HRアドプラットフォーム」を利用するために「ジョブオレ」を使うということで、このようなところでさらに一段利用者数が増えました。

坂本:これを見ていると、そこを使う人のイメージがわかるということですね。他にも開放しますが、「ジョブオレ」の現状の件数を見ていると「HRアドプラットフォーム」を使った人がなんとなくわかるというイメージでよいでしょうか?

小川:おっしゃるとおりです。

3.新卒採用分野の拡大

小川:新卒採用については、先ほどもご質問がありましたが、ここだけは唯一見通し的には暗いところです。しかし、必ずここも戻ってくると思います。確かに採用を行う企業のパイが少し減ってきており、足元の大学3年生や2年生が該当すると思いますが、手法は拡大すると思います。

今はなかなかイベントができないため、デジタルにより予算を回していったり、3年生からではなく2年生からリーチしていく企業が増えてきます。新卒の分野は、このようなところの幅を広げることでリカバリーしていきたいと思っています。

らくらく連絡網.app ― らくらく連絡網新アプリ

小川:「らくらく連絡網」についてですが、資料は前回とあまり変わっていません。まだお名前をお伝えできないのですが、今年の夏に大手の会社との、マンションの自治体の連絡や町内会の連絡に特化したSaaSソリューション事業への活用が決定しました。「らくらく連絡網」では、今後は広告ではないマネタイズを求めていくことを検討しています。

八木:視聴者の方から「自治体向けも考えられているとおっしゃっていましたが、なにか進捗はありましたか?」というメッセージをいただいていましたが、今のお話でお答えいただいたかたちとさせていただきます。

新型コロナウイルス感染症拡大に対する社内対応

小川:新型コロナウイルス感染症拡大に対する社内対応についてです。引き続き執務室内の社員数を50パーセント以内に制限し、99パーセントオンライン商談といったかたちをとることは、当社には逆に向いているやり方だったと思っています。

「地方創生SDGs官民連携プラットフォーム」参画

小川:その他の取り組みについてです。「地域創生SDGs官民連携プラットフォーム」に参画しました。世の中的にはDX化と言われるかと思いますが、「『らくらく連絡網』を活用して地域のコミュニティを活性化していけないか」「『pinpoint』という我々の独自のデータを利活用して企業のプロモーションのDX化に寄与できないか」、本日中心にお話しした「『HRアドプラットフォーム』を活用して、IターンやUターンで持続可能な社会の実現を目指していけないか」など、このようなところの取り組みとなります。

「地方創生SDGs官民連携プラットフォーム」参画 ― 島根銀行との取り組み

小川:第1弾として、島根銀行との取り組みを開始しましたが、確か「ほぼ初めてだ」とおっしゃっていました。地銀での、デジタルを使ったほぼ初めての取り組みが始まっています。

坂本:地銀はたくさんありますが、やはり他社展開はあるのですか?

小川:はい。引き合いもありますので、銀行に限らず「山形の蕎麦を売れないか」といった地場の名産品もあったりします。

坂本:プラットフォームをつくれば利益率はけっこう高そうだと勝手に思ってしまいます。

らくらく連絡網の会員数・団体数増加

小川:お伝えしたとおり、「らくらく連絡網」は696万人にご利用いただいています。やはり団体活動は新型コロナウイルスの影響を受けていますので、このあたりは一定の影響が出ています。

ガクバアルバイト・らくらくアルバイトの取り組み状況

小川:一方「ガクバアルバイト」は、世の中的に大学生の採用が非常にシュリンクしているメディアになります。会員状況に関しても昨対でかなり落ち込んでしますし、掲載型のメディアは外部環境と同じようなかたちで落ち込んでいます。一方、「らくらくアルバイト」は引き続き順調に会員数を伸ばしています。

2021年3月期第3四半期 B/Sサマリー

小川:B/Sのサマリーはご覧のとおりです。駆け足になりましたが、私からは以上です。

質疑応答:「HRアドプラットフォーム」の利益率について

坂本:個人投資家からもいただいていたのですが、「HRアドプラットフォーム」に関してです。御社が取り組んでいる既存の事業と比較して、利益率はどのくらい高いのですか? ここが伸びたらとても儲かるだろうというのもあるのですが、興味もあるのでよろしくお願いします。

小川:何パーセントかという具体的なところまでは言えないのですが、利益率は既存の事業より高いです。もともとはアドテクノロジーの技術を求人分野に応用した技術なのですが、アドテクの技術のプラットフォーマーは、卸問屋が5社、6社とあります。5社、6社でこの収益をシェアしているのです。

簡単に言うと、我々の「HRアドプラットフォーム」は我々1社で完結できているため、非常に利益率が高くなっていますが、もともとは「Google」のダブルクリックの概念からきています。よって、アドテクのどこが一番儲かっているのかというと、「Google」しか儲かっていないのです。そのようなところでいうと、ビジネスモデルとしてイメージしているのは「Google」のダブルクリックであるとご理解いただければと思います。

坂本:かつ、今の段階で連携の日数を短くするために自動化し、全自動を目指すということなので、さらに利益率が上がる可能性があるということですよね。

小川:おっしゃるとおりです。

坂本:非常に勉強になりました。

質疑応答:「Google」の個人情報の取り扱いについて

坂本:「Google」の問題についてのお話をもう少し聞きたい人がいるのではないでしょうか?

八木:そうですね。冒頭のほうでお話しいただきましたが、個人情報に関してはほぼ問題ないということですよね?

坂本:逆にチャンスだというお話ですよね。

小川:実は私は大学等でもデジタルマーケティングの講義を行っており、大学では「絶対『Google』に規制入るよ」と話していました。日本でアドテクが始まったのが2011年、我々がサービスを展開したのが2014年になるのですが、後発であったがゆえに最初からCookieでは行わなかったのです。

坂本:最近Cookieの問題がかなり大きくなっていますが、これは使えなくなるということなのですね。属性をピンポイントにあてることができなくなるということですよね。

小川:おっしゃるとおりです。一方、データに関しても推測情報ではない「らくらく連絡網」の1st Partyデータをそもそも利活用しているということが前提であったため、現状でいうとこのような形態にならない限りはなかなか厳しいと思います。

坂本:今のような制度で広告を表示するのはかなり難しいということですね。以前も「らくらく連絡網」でお話しいただいたのですが、年齢から始まり、大学名や学部まで入っているというお話しだったので、それがあってこそですよね。

八木:そのほうが精度が高いということですよね。業界的には少し厳しくなる中で強みがかなりあるということですね。

小川:はい、データのところでの優位性が高いわけです。

記事提供:ログミーファイナンス

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