低年金・無年金となる背景
ここからは、年金受給額が少ない「低年金」や、年金をもらえない「無年金」となってしまう原因をいくつか挙げていきましょう。
「受給資格期間が足りない」
ここで、改めて受給資格期間に関する年金制度を確認しておきましょう。
「2階建て」の年金制度のうち、1階部分にあたる『老齢基礎年金』は、保険料納付済期間と保険料免除期間の合計が10年以上である場合、65歳になった時点で受け取ることができます。
保険料納付済期間と保険料免除期間の合計が10年に満たない場合は、合算対象期間(※2)を加えて10年以上になれば、この場合も受給が可能となります。
この資格期間を満たしていない場合に、年金が支給されない『無年金』になります。
2017年7月31日までは、この資格期間は「25年」でしたので、現在は支給条件が大幅に緩和されているという一面も。とはいえ、事前に自分自身の納付状況を確認しておくと安心です。
(※2)合算対象期間
「昭和61年(1986年)4月1日以降の期間」「昭和36年(1961年)4月1日から昭和61年3月31日までの期間」「昭和36年(1961年)3月31日以前の期間」それぞれにおいて、指定の条件に当てはまっていた場合。→条件の詳細は日本年金機構ホームページ『合算対象期間』をご参照ください。
うっかりミスが招く「不整合記録問題」
無年金や低年金のもう1つの原因に、『不整合記録問題(※3)(※4)』があります。
不整合記録問題とは?
『第3号被保険者』であった人が、
- 「基準額以上の収入を得るようになった」
- 「独立してフリーランスや自営業になった」
- 「配偶者が会社員(第2号被保険者)ではなくなった」
といった理由で『第1号被保険者』となった場合は、「国民年金保険料」の支払いをする必要があります。
その届け出を忘れて、『第3号被保険者』の“ままのつもり”で年金保険料の支払いをしなかったことで、年金保険料の未納期間が発生したとみなされてしまいます。
(※3)日本年金機構「3号不整合記録問題とは何ですか。」
(※4)政府広報オンライン「知っておきたい「年金」の手続」