――収入が増えるほど、ムダな出費は自然に減って結果的に資産は増える

こう聞くと、「むしろ、収入が増えると欲しい物が自由に買えるので出費は増えるのでは?」と感じるかもしれません。また、世の中には高収入になったことで、稼ぐ以上にお金を使いすぎて身を滅ぼすケースもありますから、必ずしも今回の話は万人に当てはまりません。しかし、個人的な感覚値でいえば、このケースが当てはまる人も決して少なくないと感じます。

筆者は富豪などではありませんし、収入の多寡でその人の価値が決まるといった思考の持ち主ではありません。一応、起業・投資をしたことで会社員時代の10倍程度の収入を得ることができましたから、収入が「低い→高い」という変化をした経験があります。今回はこの経験から、「なぜ収入が増えると、ムダな支出が減るのか」について論理的にその理由を考えたいと思います。

お金がないほど増えてしまう消費

筆者はお金のない駆け出し社会人の頃に「見栄由来の出費は意外と多い」と感じていました。

アラサーで就活スーツを着て会社で働いていたところ、「年相応の物を着ないと恥をかくよ」と揶揄された経験があります。また、日雇い労働者が住むエリアとして有名な安い地域に住んでいたのですが、「そこって○×事件があったところだよね?」「セキュリティ大丈夫なの?」など、人から言われることに強いコンプレックスを感じていました(その後、引っ越しをしました)。

「他人からバカにされたくない」という思いから、背伸びをして自分をよく見せようとすることで、本来は必要のない出費が生まれてしまうのです。

SNSでは、高級ブランド品や高級ホテルで充実した時を過ごす様子をせっせと投稿して「キラキラPR」する人がいます。本人が心から充実しているならまったく問題はないのですが、時に「PRそのものが目的化」しているケースもあります。

生活費の捻出に苦しんでいるのに、ハイエンドスマートフォンや高級ブランド品を買って見せびらかすようなケースです。本来は不要な出費をしていることになりますから、見栄はコスト高な生き方ということができるでしょう。

また、見栄の消費で得られる充実感は、まさしく「一瞬」だけです。「いいね!」がつく心地よさはすぐに消えます。また、褒めてくれた相手も、翌日にはすっかり忘れています。下手をすると「なんだよ。自慢か」と相手から反感を買ってしまうことも少なくないでしょう。

世の中で最もムダな消費の1つは「見栄消費」であるにも関わらず、皮肉なことにお金がないとこの見栄を張りたくなるのではないでしょうか。