長い老後生活を考えたとき、多くの人が気になるのはおそらく「お金のこと」でしょう。
なかには「現段階で老後資金の準備が進んでいなくても、年金がもらえるから大丈夫」と安心している人もいるかもしれませんね。
ではここで、「令和元年(2019年)度厚生年金保険・国民年金事業の概況(令和2年12月)」より、2019年における「国民年金・老齢年金の年金月額平均」をみてみましょう。
全体…5万5946円
- 男性…5万8866円
- 女性…5万3699円
では、国民年金・老齢年金を満額もらった場合の金額はどうなっているのでしょうか。この年度に対応している令和元年4月分からの年金額は、満額で78万100円。月当たり6万5141円でした。
これらの金額をみて、「これでは、老後資金としては心もとない…」と感じた人もいるのでは。国民年金・老齢年金の収入だけでは不安を感じる場合、どのようにして老後に備えればいいのでしょうか。その具体的な方法をご紹介しましょう。
付加保険料・国民年金基金制度の活用
1つ目は、付加保険料や国民年金基金制度を利用して、国民年金の少なさを補う方法です。まずは、それぞれの内容をおさえていきましょう。
付加保険料とは
「国民年金第1号被保険者」または「国民年金の任意加入被保険者」(65歳以上の方を除く)に該当する方は、毎月の年金保険料に加えて「付加保険料」を支払うことができます。これは、月額400円を支払っておくことで、将来、老齢年金の受給額が増える制度です。
※「第1号被保険者」…日本に住んでいる20歳以上60歳未満の自営業者(フリーランス)や農業・漁業者、学生や無職の方、その配偶者の方のこと。厚生年金保険や共済組合等に加入している方は除きます。
※「任意加入被保険者」…保険料を納める期間や加入者である期間が短いなどの理由から、60歳以降も国民年金に任意で加入する方のこと。
なお、付加保険料を納めた方が65歳以降に受け取れる「付加年金額」は、「200円×付加保険料納付月数」から算出できます。
例えば…「20~60歳の40年間納めた場合」
付加保険料の納付総額:19万2000円(400円×12カ月×40年)
付加年金額(年間):9万6000円(200円×12カ月×40年)となり、毎年の年金受給額が9万6000円もアップします。
参考:日本年金機構「付加保険料の納付のご案内」
国民年金基金制度
2つめは「国民年金基金」の制度。
付加保険料と同じく「国民年金第1号被保険者」または「任意加入被保険者」(65歳以上の方を除く)に該当する方は、「国民年金基金」に加入することができます。
これは、厚生年金に加入していない自営業者などが、国民年金(老齢基礎年金)に上乗せできる公的な年金制度のこと。
ただし、国民年金基金の保険料に付加保険料相当が含まれているため、国民年金基金と付加年金の併用はできません。
自分で作る年金「iDeco」
3つめにご紹介するのはiDeCo(個人型確定拠出年金)です。
iDeCoとは
「iDeCo(個人型確定拠出年金)」は、自分の年金を自分で準備するための制度です。
加入条件や毎月の拠出額が人によって異なりますが、iDeCoのメリットは以下の3つの税制優遇が受けられる点にあります。
- 掛けたお金が全額所得控除の対象となる。これにより所得税や住民税が軽減される。
- 運用益が非課税になる。通常運用で出た利益には約20%が課税されるが、iDeCoで運用して出た利益は非課税になる。
- 受給年齢に到達した時に受け取る際にも所得控除が受けられる。
このようにメリットが多いiDeCoですが、「60歳までは原則お金を引き出せない」「開始年齢が遅くなると運用益が思うほど出ない」というデメリットも。iDeCoの利用を検討している方は、できるだけ早めに開始するのがおすすめです。
「国民年金基金年金」「iDeco」の違いって?
本来受け取れる国民年金にプラスして、老後に備えることができる「国民年金基金」や「iDeCo」。どちらの手段にしようか、悩んでいる方もいることでしょう。ここで、それぞれの違いやポイントを整理してみましょう。
国民年金基金
- 掛金は、加入時の年齢やプランによる
- 基本終身年金
- 開始年齢は原則65歳(プランによっては60歳から)
- 運用指示は不要
【ポイント】
- 有期年金もあるが、基本は終身年金。そのため、加入時の年齢やプランに応じた掛金を払うと、老後は一定の金額をずっと受け取ることが可能。
- 掛金は社会保険料控除として全額所得控除できる。
- 受け取る年金額が事前に把握できる。
iDeCo
- 掛金は、月額5000円以上1000円単位
- 基本有期年金
- 開始年齢は60〜65歳(加入期間によって異なる)
- 運用指示が必要
【ポイント】
- 自分で掛金を拠出し運用する制度であり、資産運用となる。
- 金融機関や商品は自分で選択する。
- 運用金額に応じて、60歳以降に給付を受け取れる。
- 普通の個人年金保険や資産運用と異なり、税制面で優遇される。(小規模企業共済等掛金控除として税金が優遇されるうえ、通常20%かかる運用益が非課税になる)
なお、国民年金基金とiDecoの併用は可能ですが、両方合わせて81万6000円までとなっています。(掛金が全額控除となるため。)
さいごに
「2階建て構造」などとも呼ばれる日本の年金制度。
その1階部分にあたる国民年金は、あくまでも年金の「基礎」部分だけしか受け取ることができません。
そのため、上乗せ部分がある厚生年金に比べると、どうしても受給額が低くなります。
とはいえ、そのままの状態で老後生活に入った場合、生活費が不足する可能性も。
コツコツ預貯金で備えることはもちろんですが、今回ご紹介した、自分でできる「年金の上乗せ」制度の活用を検討してもよいでしょう。
参考記事
- 厚生労働省年金局「令和元年度厚生年金保険・国民年金事業の概況(令和2年12月)」
- 日本年金機構「付加保険料の納付のご案内」
- 「全国国民年金基金 公式HP」
- LIMO「就職氷河期世代が、後悔しない資産運用とは何か」
- 全国国民年金基金「国民年金基金とiDecoの違い」
