イオン、日本版ブラックフライデーを導入へ
報道によりますと、イオンが米国のブラックフライデーと呼ばれるセールを日本で今年から導入する模様です。2016年10月24日付日本経済新聞は「11月25日の金曜日から3日間、全国の総合スーパーやショッピングセンター内の店舗など2万店強で、通常より価格を下げる目玉商品を数多く販売する」と報じています。
米国におけるブラックフライデーは、クリスマス商戦の緒戦にあたる重要なイベントです。また、中国では11月11日の「独身の日」にECでのショッピングが大いに盛り上がります。消費不振の日本でもこの手の商戦が一部で待望されてきました。いよいよか、というのが筆者の印象です。楽しみですね。
イオンは初年度勝利する!?
本稿執筆時点ではイオンから詳しいリリースがありませんので筆者の想像になりますが、今年のセールは成功すると考えるべきでしょう。
まず、イオンが何を目玉にどうセールを行うのか正確な予想はつきません。おそらくイオン側もぎりぎりまで情報を出さないと思います。その結果、消費者も競合他店も事前に十分な準備ができません。この結果、イオンは集客に成功し、好成果を上げることができるのではないでしょうか。
また、ボーナス支給前であるため、クレジットカードの利用率が高まることで金融事業との相乗効果も期待できます。
初年度のブラックフライデー、イオンの収支は黒字(ブラック)になりそうです。
問題はセール後
課題が出るとすれば12月以降ではないでしょうか。他店からシェアを奪うのであればよいのですが、需要の先食いをしてしまうと12月に入って売上が伸び悩む可能性があります。イオンはこれを見越して、ブラックフライデーでどう攻めてくるか、大変注目です。
2017年のブラックフライデーはチャレンジング
より課題が大きくなるのは2017年のブラックフライデーでしょう。消費者も競合小売店もある程度イオンの出方を学習しますので、消費者の事前の買い控え、競合店の対抗セールなどが予想されます。こうなると消費者はそれぞれのモノを一番安いお店で買うといういわゆるチェリーピックを進めていくことでしょう。
この種のセールが成功するためには、目玉商品で集客し、ついでにいろいろなものをまとめて買ってもらうことが必要です。しかし、消費者や競合がイオンの出方を予測できるようになると、なかなか思惑通りに進まなくなります。
小売り事業の収益性に課題を抱えるイオンにとって、収益をかえって苦しめてしまう可能性も否定できません。レッドフライデーになりかねません。
日本独自の実りの秋に感謝するイベントが好ましい
筆者は、複数年の累積で考えると、ブラックフライデーは小売業の収益性をむしばむ結果になると懸念をしています。それよりも10月ないし11月前半に、実りの秋に感謝する全国イベントをするほうが好ましいでしょう。地産地消で旬の食材を中心に据えるのがよいのではないかと思います。ハロウィーンとかけあわせてもよいでしょう。
これならば年末商戦とも異なり、新しい需要の喚起につながるのではないでしょうか。
LIMO編集部