高年齢者雇用安定法が改正され、2021年4月から、各企業に「70歳までの就業機会確保」が努力義務として課されるようになります。さらに2022年4月からは、改正年金改正法の施行をうけ老齢年金の受給スタート年齢が60歳から75歳まで拡大されます。

はたらき盛りの「50代」は、年収がピークを迎える人も多い頃。その一方で、定年退職までのラストスパート期と位置づけられることが多い年代でもあります。

長い老後生活を見据えた「貯蓄」もそろそろ終盤、といった方もいらっしゃるかもしれませんね。

貯蓄に励む一方で、定年後の過ごし方や、老後に貰える年金について気になり始める世代ともいえるでしょう。

年金を受取る一歩手前、「プレ年金世代」ともいえる50代。

今回は、50代のお金事情について、「年金と貯蓄」を軸にお話していきます。

「プレ年金世代」が知っておきたい「ねんきんのキホン」

日本の公的年金は「2階建て制度」などと呼ばれていますね。最初にそのしくみを、さっと復習していきましょう。

そこで、まずは年金の基本からおさえておきましょう。

日本のねんきん「2階建て制度」

1階部分「国民年金」・・・日本に住む20歳以上60歳未満の全員に加入義務
2階部分「厚生年金」・・・公務員や会社員などが「国民年金」に上乗せして加入

老後にもらえる「ねんきん」

支給開始年齢は「国民年金」「厚生年金」どちらも「原則65歳」です。こちらについては、詳しく後でご説明していきます。

厚生年金に加入していた人(サラリーマン・公務員)

  • 「老齢基礎年金」+「老齢厚生年金」(1階部分+2階部分)

国民年金のみに加入していた人(自営業、フリーランス、専業主婦(夫))

  • 「老齢基礎年金」(1階部分のみ)

年金を「84%まで増やせる」方法があった

繰り下げ受給

さきほど、年金支給開始年齢は「原則65歳」とお伝えしましたが、実はこちらは「最長70歳まで」遅らせることも可能です(2021年2月現在)。さらに2022年4月以降は75歳まで遅らせることができるようになります。

このように、年金を受取る時期を遅らせることを「繰り下げ受給」といいます。そして、遅らせれば遅らせるほど、受け取れる年金額はアップします。さらにいうと、その増額率は一生涯続きます。

1941年(昭和16年)4月2日以降に生まれた人は、繰り下げ受給によって月単位で年金額をアップさせるができるのです。増額率は、下記の計算式で求めることができます。

増額率=(65歳に達した月から繰り下げ申出月の前月までの月数)×0.007

では、その割合を具体的にみていきましょう。
繰下げ請求時の年齢と増額率(1941年4月2日以後に生まれた方)

  • 66歳0カ月~66歳11カ月・・・8.4~16.1%
  • 67歳0カ月~67歳11カ月・・・16.8%~24.5%
  • 68歳0カ月~68歳11カ月・・25.2%~32.9%
  • 69歳0カ月~69歳11カ月・・・33.6%~41.3
  • 70歳0カ月・・・42.0%

2020年4月時点での老齢基礎年金の受給額は年間78万1,700円※(満額)です。仮に70歳まで受給開始を遅らせた場合には、受け取る年金額は年間32万8,314円(78万1,700円×42.0%)増える計算になります。

※20歳から60歳になるまで、40年間全期間保険料を納めた人のケース

【参考】
日本年金機構「老齢基礎年金の繰下げ受給
厚生労働省「年金制度改正法(令和2年法律第40号)が成立しました

イマドキ50代の貯蓄事情

「繰り下げ受給」でこんなに年金受給額を増やせることができるのか!と思った人も多いことでしょう。ただし、そこには気をつけておきたいこともあります。

特にサラリーマンのみなさんの場合、お勤め先を定年退職してから年金を受け取り始めるまでの資金繰りは自力で行わなければならない、という点です。

よって、はたらきざかりの50代の時点における貯蓄の進捗状況によって、60代以降のマネープランは大きく変わってくる人が多いといえるでしょう。

ではここで、日本の50代はどのくらい貯蓄があるのか、総務省の「家計調査報告(貯蓄・負債編)2019年(令和元年)平均結果(二人以上の世帯のうち勤労者世帯)」をもとにみていきましょう。

ここでは、「預貯金以外の金融資産」と「預貯金の額」に分けて整理していきます。

50代の「預貯金以外」の金融資産

  • 生命保険など:420万円
  • 有価証券:185万円
  • 金融機関外:100万円

50代の「預貯金」の内訳

  • 通貨性預金:441万円
  • 定期性預金:581万円

50代の負債の平均額は「661万円」

これまで見てきた50代の貯蓄額(預貯金以外の金融資産と預貯金の額の合計)から負債の額を差し引くと、約1,066万円となります。

さいごに

2019年に「老後2,000万円問題」で話題になった金融庁の報告書によると、夫婦で必要な生活費は月に約26万円強、年間にすると約316万円と示されています。

現役時代の働き方や、さらにはサラリーマンであればお勤め先の退職金制度の充実度具合によって、リタイヤ後のマネープランは大きく変わってくるでしょう。

そして、仮に退職金が見込めた場合であっても、これだけの金額をすべてカバーすることができるとは断言できません。さらにいうと、年金の「繰り下げ受給」をどこまで活用できるかは、50代でいくら貯蓄を準備できるかによる部分も大きいでしょう。

この記事を読んでくださっている現役世代のみなさんの中には、「上手な貯蓄の方法が見つからない」「ただ漠然と銀行にお金を預けているだけでは、資産が増えていかない・・・」といったお悩みをお持ちの人もいらっしゃるかと思います。

そんな場合はぜひ「お金のプロ」のアドバイスを受けてみることをオススメします。あなた自身、そしてご家族のライフプランに沿った、オーダーメイドのお金の育て方を見つけるきっかけになるかもしれません。

【ご参考】貯蓄額とは

ゆうちょ銀行,郵便貯金簡易生命保険管理・郵便局ネットワーク支援機構,銀行及びその他の金融機関(普通銀行等)への預貯金,生命保険及び積立型損害保険の掛金(加入してからの掛金の払込総額)並びに株式,債券,投資信託,金銭信託等の有価証券(株式及び投資信託については調査時点の時価,債券及び貸付信託・金銭信託については額面)といった金融機関への貯蓄と,社内預金,勤め先の共済組合などの金融機関外への貯蓄の合計をいう。 なお,貯蓄は世帯全体の貯蓄であり,また,個人営業世帯などの貯蓄には家計用のほか事業用も含める。
(総務省の家計調査報告(貯蓄・負債編)の用語の解説より)

参考資料