2021年2月12日に行われた、株式会社マーケットエンタープライズ2021年6月期第2四半期決算説明会の内容を書き起こしでお伝えします。

スピーカー:株式会社マーケットエンタープライズ 代表取締役社長CEO 小林泰士 氏
株式会社マーケットエンタープライズ 取締役CFO 今村健一 氏

エグゼクティブサマリー

今村健一氏(以下、今村):取締役管理本部長の今村でございます。みなさまご承知のとおりかと思いますが、今回は新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から、2020年6月期決算説明会に引き続き、オンラインで決算説明会を開催します。不手際等々もあるかと思いますが、最後までお付き合いいただけますと幸いでございます。

本日は、私より2021年6月期第2四半期の決算概況についてご説明したあとに、2021年6月期の当社の方向性や経営戦略について、代表の小林からご説明したいと思います。では、決算概況のご説明に移ります。

まず、スライドに出ているものがサマリーになります。当社では3つの事業を行っていますが、ネット型リユース事業は堅調に推移しました。一方、メディア事業およびモバイル通信事業は、Googleコアアップデートの影響で収益が若干悪化しました。

各事業の概要も記載していますが、ネット型リユース事業については、自社買取販売の収益性の改善に注力しました。後ほど具体的にご説明しますが、買取に伴う広告宣伝費を圧縮しながら収益性を上げることに注力してきました。

当期の戦略分野として掲げています農機具および「おいくら」は、順調に推移しました。また、メディア事業はさまざまなメディアを展開しているのですが、冒頭にお伝えしたとおり、Googleコアアップデートの影響で、主力である通信系のメディアが不振でした。

モバイル通信事業については、メディア事業の通信系のメディアが不調だったということもあり、自社メディアからの送客が減少しました。それに伴い、回線獲得が減少し、新規の契約数がかなり落ち込みました。

しかしながら、2021年6月期の業績予想としては、下期にしっかり取り返しにかかることを念頭に、昨年8月14日に公表した数字を継続しようと考えています。

連結損益計算書

本日15時に公表しました、第2四半期の連結損益計算書がこちらになります。スライド左側が勘定科目、その隣が前年同期の実績、中央が進行期の第2四半期の累計実績となっています。

トップラインについては、売上高が56億2,800万円であり、増減額プラス4億4,900万円、増減率プラス8.7パーセントとなりました。売上総利益は20億5,800万円、増減額プラス7,700万円の3.9パーセントプラスです。販管費は18億5,100万円、増減額1億8,000万円、前年同期比10.7パーセント増となっています。

販管費率は32.9パーセントと、前期比で0.6ポイントほどアップしました。差し引きの営業利益は、前年の3億900万円に対して今年は2億600万円と、前年同期比でマイナス1億300万円、33.2パーセントの減益となっています。

連結営業利益の増減益分析

続いて、連結営業利益の増減益分析です。スライド左側が前年同期の2020年6月期第2四半期までの累計であり、3億900万円の営業利益でした。そこから4億5,000万円ほど増収した効果として、1億7,200万円のプラス要因があります。一方、粗利率悪化による影響で9,500万円ほどが減益要因となりました。また、販管費の増加分は、減益要因として1億8,000万円ほどありました。着地は、スライド一番右側の営業利益2億600万円です。

こちらについては、スライド上段にテキストで記載しているとおり、モバイル通信事業による新規回線獲得が減少したため、粗利益率が悪化しています。モバイル通信事業については、新規契約回線獲得に伴い、販売奨励金という一時金収入の粗利率が極めてよい収益があるところなのですが、今回はそこがなかなか獲得に至らず、粗利率が悪化しています。

販管費の増加1億8,000万円分については、昨年5月にベトナムに新規開設した拠点や農機具越境ECの体制構築への、いわば先行投資とも言える投資を行った結果、販管費が増加しています。

連結貸借対照表

続いて、連結貸借対照表についてご説明します。流動資産の現金及び預金が大幅に増えていますが、こちらは前期の第4四半期に発生した売掛金の回収による増加となっています。前期の第4四半期になにが起こったかと言うと、テレワークの需要や緊急事態宣言、コロナ禍に伴う環境の変化により、モバイル通信事業において特需ともいえる需要が発生しています。

そのため、売掛金がかなり膨らんだのですが、需要は今期の第2四半期までの間に一巡したため、売掛金が減り、現金及び預金が増加したということになっています。その他については大幅な変動等はありません。

事業ポートフォリオ

続いて、セグメント別の状況です。当社は3本のセグメントで会社を展開しています。1つ目はスライドの左側に記載しています、基幹事業のネット型リユース事業です。個人向け、法人向け、そしてプラットフォームとあります。プラットフォームは主に「おいくら」というサービスを展開しています。

スライド中央はメディア事業です。こちらは前期からセグメントを分けて展開しているのですが、通信系のメディア、リユース品の買取販売に関するメディア、農機具の販売プラットフォームや修理に関する情報プラットフォームのメディア、趣味をはじめるにあたってのメディアという、4つの分野でメディアを展開しています。

また、モバイル通信事業は、「カシモWiMAX」というブランド名で、主にデータ通信端末を販売しています。こちらは、子会社のMEモバイルという会社が展開している事業です。

セグメント別業績概況

1つずつご説明する前に、セグメント別の概況についてお話しします。スライドの上から売上高、セグメント利益、セグメント利益率というかたちで一覧にしていますが、売上高は、ネット型リユース事業が若干下がっているものの、ほぼ前期と同水準です。メディア事業、モバイル通信事業については、それぞれ15.6パーセント、27.5パーセントといったレベルで伸びています。

次にセグメント利益についてですが、冒頭にご説明したとおり、ネット型リユース事業については、効率的な広告宣伝費の活用を意識したため若干伸びています。一方、メディア事業、モバイル通信事業については、Googleコアアップデート等の影響でメディアがうまく伸びませんでした。そこからモバイル通信事業への送客がなかなかうまくいかなかったこともあり、セグメント利益はメディア事業が11.3パーセント、モバイル通信事業が18.5パーセント下がっています。

それに伴い、利益率にも影響しています。ネット型リユース事業は0.6ポイントほど上がっているのですが、メディア事業、モバイル通信事業は、それぞれ大幅に下がっています。

ネット型リユース事業 自社買取における広告宣伝費

次に、各事業別に特徴的なポイントをご説明します。まず、ネット型リユース事業については、先ほどご説明したとおり、自社買取における広告宣伝費を圧縮しながら事業を進めてきました。

こちらは第1四半期から継続した流れではあるのですが、前年同期比で考えると、前期の上半期については、売上高広告宣伝費率で6.6パーセントかかっていました。しかし、当期は4.7パーセントということで、前年比で約32パーセント削減しています。当社の中でも収益性が大きいものに絞って買取に関する広告宣伝を行ってきたところです。

ネット型リユース事業 業績概況

そしてこちらが、その売上の中身になります。オレンジ色の部分が個人向け、緑色の部分が農機具建機です。個人向けは若干落ち込んだものの、注力分野として掲げている農機具建機の領域については、前年同期比ベースで51.2パーセントと大幅に伸びています。セグメント利益については、先ほどお伝えした広告宣伝費の効率化もあいまって、若干伸びている状況です。

ネット型リユース事業 自社販売・在庫

販売金額はご覧のとおりです。当社のネット型リユース事業における広告宣伝費は、中古品の買取に伴う広告宣伝が最たるものなのですが、それを絞りながらも、在庫金額は今のところ前年同期とほぼ同じ水準をキープできています。

ネット型リユース事業 おいくらについて

続いて、農機具と並んだ注力ポイントの1つとして掲げています、「おいくら」についてです。もともと「おいくら」は、スライド右側のサービスにご加盟いただいている全国のリサイクルショップやブランド店専門店、質屋などと、スライド左側の「物を売りたい」という一般の消費者をつなぐマッチングプラットフォームです。こちらについても、収益性の向上を念頭に置いて進めていきます。

ネット型リユース事業 おいくらの上期施策

続いて、「おいくら」の上期の施策についてです。まず当社は、各家電やパソコンなど、さまざまな商品カテゴリーのサイトを運営している「高く売れるドットコム」の連携を第1四半期が始まった今年7月から強めました。

また、下期直近では、引越しの企業や不動産・賃貸仲介企業をはじめとした、物の処分に直面することが多い企業との連携プログラムを開始しています。これらの施策により「おいくら」への中古品買取案件の送客量を上げることに注力してきました。

ネット型リユース事業 おいくらWeb経由買取依頼数推移

こちらに、「おいくら」の買取依頼数の推移を表示しています。スライド左側の2020年6月期の上半期と、スライド右側の2021年6月期の上半期を比較すると、買取依頼数は約87パーセントほど成長しました。

ネット型リユース事業 おいくらWeb経由買取依頼数推移(月次)

続いて、先ほどの成長率を月次で出しているものをご覧ください。スライドの左側を2019年、右側を2020年として対比していますが、2020年1月からの1年間では、月次の平均で91パーセントほどプラスと、着実に成長しています。

2019年2月に譲り受けて以降、さまざまなマッチングロジックやIT面での改修、当社が運営していたサイトの連携、加盟店の改革およびパートナーシッププログラムによる大手企業との提携もあいまって成長を示している次第です。

ネット型リユース事業 おいくら業績推移

こちらが業績の推移です。当社の全体の売上に占める「おいくら」のシェアはまだ少ないのですが、こちらについてはしっかり伸ばしていきます。スライド左側の売上高は内訳まで出ていますが、一番収益率が高く、当社として拡大を狙っているオレンジ色の部分がWeb依頼です。こちらは前年同期比で倍以上伸びています。

それに伴い、収益性の高いWeb経由での買取案件依頼が伸び、セグメント利益は去年から約4割ほど伸びています。

メディア事業 業績概況

続いて、メディア事業です。こちらについては、冒頭でご説明したとおり、Googleコアアップデートの影響を受けました。売上高は去年から若干伸びているものの、主力の通信系メディアにおいて、社内向けの売上が半減しています。これに加えて、今後の業容拡大に備えて人材を拡充して体制を強化しているところがありますので、販管費がやや増加していることがセグメント利益の引き下げの1つの要因になっています。

メディア事業 月平均PV推移

月平均PV数は昨年から順調に成長していますので、こちらについても、Googleコアアップデートへの対応も含め、今後のさらなる収益化に対応していきたいと思っています。

モバイル通信事業 業績概況

モバイル通信事業のご説明に移ります。スライドの左側が売上高、右側がセグメント利益という構成です。売上高の内訳としては、オレンジ色が通信料収入、黄色が販売奨励金収入になっています。つまり、下がストック、上がインセンティブということで、イニシャルの収入になるのですが、前年同期はおおむねで半々と言ってもよいバランスでした。

しかし今年は、先ほどメディア事業のところでご説明しましたが、自社通信メディアからの流入がかなり減りました。保有回線数が前年対比で増加していることから通信料収入は伸びているのですが、新規契約回線の獲得は落ち込みました。黄色の販売奨励金収入が前年から約3割ほど落ち込んでいます。

第1四半期からそのような状況ではあったのですが、この要因は、当社で言う2020年4月から6月の第4四半期は、緊急事態宣言に伴うテレワークニーズからの特需の反動減が大きいと認識しています。それに伴い、セグメント利益、販売奨励金収入が減ったということもあり、セグメント利益も若干下がっているというのがモバイル通信事業の状況です。

2021年6月期業績予想

続いて、2021年6月期の通期業績予想についてご説明します。こちらについては、結論を言うと、当初公表しました業績予想は変更しないでいきたいというのが今の考えです。

緊急事態宣言が延長になったこともあり、不透明な社会環境でもありますので、第2四半期のタイミングではレンジでの公表を継続しながら、業績予想を据え置き、第3四半期、第4四半期を進めていきたいと考えています。

以上、2021年6月期第2四半期までの概況について、私からご説明しました。続いて、第3四半期以降の今後の戦略ついて、当社代表取締役社長の小林からご説明します。では、小林社長よろしくお願いします。

③現状の認識と今後の戦略について

小林泰士氏(以下、小林):では、ここからは私から現状の認識と今後の戦略についてお話しします。大きく分けて3点ご説明します。1点目は「通期の会社計画達成に向けた戦略について」、2点目は「中期的な注力事業について」、3点目は「東証1部へ指定変更に踏み切った背景について」です。

Ⅰ.通期の会社計画達成に向けた戦略について

まず全体としては、現状各事業とも回復の兆しが見え始めており、当初の業績予想の変更は行わず、従来の予想数値達成を目指していきたいと考えています。

まず、ネット型リユース事業に関しては、例年は3月、4月、5月が人の移動が活性化する繁忙期となっていますので、こちらの需要の取り込みに注力していきます。また昨今、リユースの中でも伸びています農機具領域に関してもこの春が需要期になりますので、こちらも引き続き買取を強化します。

メディア事業に関しては、通信系メディアのPV数を注視しています。Googleコアアップデートにより、通信系メディアの減少が起こりましたが、このコアアルゴリズムへの対応その他の需要増を取り込んでいきたいと考えています。そして、注力して収益の回復を図っていきたいと思います。

また、Googleの検索の新しいアップデートとして、2021年5月より「Core Web Vitals」という基準が設けられることが発表されています。このようなところにも迅速に対応を図ってSEOを強化し、業績を取り込んでいきたいと考えています。

モバイル通信事業に関しては、こちらも自社メディアからの送客状況を注視しています。こちらも3月、4月、5月が需要期になるのですが、そのあたりの回復を狙っていきたいと思います。さらに、5G対応のWi-Fiサービス投入に加えて、法人の開拓による回線獲得の強化を推進していきたいと考えています。

Ⅱ.中期的な注力事業について

続いて、「中期的な注力事業について」です。こちらのスライドはマーケットエンタープライズの3つのセグメントごとに分けているのですが、この中でも特に「おいくら」という事業に注力していきたいと考えています。

マーケットエンタープライズはおいくらを最重要注力領域に位置づける

位置づけとしては、「マーケットエンタープライズはおいくらを最重要注力領域に位置づける」というかたちになります。それぞれ成長領域はあるのですが、最重要の注力領域にしていきたいという方針で動いていきます。

おいくらが実現するSDGs

そもそも弊社は、ネット型リユースに注力しながら持続可能な社会の実現を目指していこうと考え、長らく動いています。しかし、商品の買取販売において、リユースが引き続きさらに盛んになっていき、持続可能な社会になっていく流れがある中で、どうしても現状の延長線上だけでは解決できないことがたくさんあると考えています。

日本全体のEC化率は8パーセントくらいまできていますが、これがさらに9パーセント、10パーセントと伸びていくと思っています。CtoCや私どものようなネット型リユースがどんどん社会に浸透していく中で、より大きなものや、地域に根ざさないとなかなかリユースできないものもたくさんあります。

例えば、梱包費用がかかるもの、送料が高いものはeコマースの場所ではなかなかリユースされづらい現状があります。しかし、これは「おいくら」のサービスで解決できると思っています。

そのような中、このSDGsを考えると廃棄物が削減できます。また、一人ひとりが「環境配慮」について考えます。さらに、行政・地域が持続可能な「まち」を実現していきます。このように、「おいくら」はより大きなテーマでさまざまな課題を解決することで、持続可能な社会を実現していけるのではないかと考えています。

ⅰおいくらを取り巻く環境(市場規模)

次に、「おいくらを取り巻く環境」「おいくらの強み」「おいくらの今後の施策について」のお話をします。まず、「おいくらを取り巻く環境」についてです。過去1年間に不要となった製品の推定価値を経済産業省が出していますが、リユースのマーケット全体では約7兆6,254億円と非常に大きなマーケットがあります。

その中で、すでに顕在化されているネットオークションやいろいろなアプリなどのリユースショップ全体でのリユースの規模は、2兆1,000億円と言われています。その差の約5兆5,000億円はまだリユースされておらず、自宅に保管されていたり倉庫に眠っていたりすると言われています。

この価値は毎年少しずつ減少してしまうのですが、日本全体の「かくれ資産」は約37兆円あると言われています。1人当たりにすると約28万円と、非常に大きな金額になるのです。このような、リユースの中でまだまだ眠っている「かくれ資産」をこれから循環させていきたいと考えています。

ⅰおいくらを取り巻く環境(環境省の方針)

「おいくらを取り巻く環境」の2つ目として、環境省のホームページに出ているものを抜粋してスライドに記載しています。この循環型社会形成推進法の第7条に、原則としてリユースがリサイクルの上位に位置づけられると書いてあります。文中の赤いところにも、「再使用をすることができるものについては、再使用がされなければならない」とあります。

このようなかたちで国全体でリサイクルよりもリユースを優先して推進することにより、廃棄物の削減や資源の循環化を図っていきたいと思います。そのような考えがより強く出てきています。

ⅰおいくらを取り巻く環境(ごみ処理費用の削減)

国全体のごみ処理費用を見ると、まず1年間でごみ処理にかかっている行政負担のコストは1兆9,000億円と言われています。スライド右側で、行政がごみ処理する中でまだリユース可能な商品の価値がどれくらいあるかを見ると、家庭で不要になった製品のうち約10パーセントから20パーセントがリユース可能という結果が出ています。

よって、約1,900億円から3,800億円くらいのリユース可能なものが行政のコストをかけて捨てられています。例えば、自宅にあってまだ使えるけれど、行政の廃棄物のシールを張ってわざわざコストをかけて廃棄処分されているということです。

そのように、「まだ使えるが、大きいからリユースできないのではないか」「近くに店がないから」「これは販売が難しいのではないか」などということで処理されているものが、「かくれ資産」の中には非常にたくさんあると考えています。

おいくらのビジネスモデル

次に「おいくらの強み」です。先ほどもお見せした図になりますが、一般消費者の方が売りたいと思ったら、Webやモバイルで簡単に見積もりを申請すると、全国のリサイクルショップから複数の見積もりが届き、最高値で売れたり、自宅にいながら簡単に商品を売ることができたりするサービスになっています。

おいくらの強み①

大きく4つあります。まず加盟店が全国に1,000店舗ということで、全国のリサイクルショップが一番多く加盟しているサービスになります。また、幅広い対応ジャンルということで、総合のリサイクルショップだけではなく、専門店も多数参加しています。その地域に根ざした提案も可能になっています。

査定返答率は現在80パーセントです。「見積もりしてもらっても、なかなか値段がつかないのではないか」と思われる方も多いと思うのですが、約8割に値段がついており、非常に多くの見積もりが出ている状態にあります。

また、訪問での買取提案が90パーセントとなっています。これは物販のECとは違うのですが、サービスとしてのEC、eコマースが非常に伸びてきていると思っています。最近は食品を自宅に配送してくれるサービスも非常に伸びてきていますが、同じように、自宅にいながらお出かけすることなく巣篭もりで商品を売却できるものも増えてきていると感じています。

おいくらの強み②

また、強みの2つ目ということで、こちらも4つ挙げています。まず、加盟店のみなさまのレーティングを行っています。商品のカテゴリーや買取方法、距離や査定の返答率を日々レーティングし、近隣のリサイクルショップにプラスαでユーザーのマッチング率が高い加盟店が選出されるようにしています。

また、スライド左下の加盟店の品質担保ということで、入会基準として古物商許可の確認やコンプライアンスチェック、代表者の身分証明確認を行っています。さらに、その運用の中で退会基準も設けながら、管理体制の強化を図っています。

そしてスライドの右上をご覧ください。1社で見積もりを出すだけではなく、複数社から見積もりが届くという部分では、比較検討しての利用が便利になっており、透明性、公平性を推しています。

また、ユーザーのサポートとしては、もともとネット型リユースにおいて、私どもが年間約60万件の買取依頼をいただいてきました際のサポート体制がありますので、このようなサポート体制も「おいくら」向けに構築しています。

リユースの潜在市場規模

したがって、リユースの潜在市場規模については先ほども少しお話ししましたが、非常に大きなマーケットがあります。ここ数年はフリマアプリもマーケットに対して非常に大きな存在感を出してきたと思うのですが、同様に、「リユースしたいけれど、大きくてなかなかできない」といったものが、家庭や倉庫の中に非常に多く眠っていると思っています。

「おいくら」のサービスは、よりユニバーサルな広いマスの方にご利用いただけるようなサービスになっていると思いますので、既存のリユースだけでなく、このようなところにも投資していきたいと考えています。

おいくらの成長ステージ

次に「おいくらの今後の施策について」お話しします。今の成長のイメージなのですが、「2021年現在はここ」という場所があります。「基盤強化」「自社サービスの連携」をSTEP1として行っており、着実に施策を打ってきたというタイミングです。

そして、ここからSTEP2ということで、「認知度・顧客接点の向上」「アライアンスの強化」を図っていきます。そしてその先に、「循環型社会の基盤となるプラットフォームへ」という段階に移行していきたいと考えています。

STEP1:おいくらのこれまでの施策(基盤強化)

まず、これまでの施策としては基盤強化を行ってきました。データベース改修、サーバ冗長化、UI改修、店舗及びお客さまマイページ改修、一括査定フォーム改修、店舗マッチングロジック改修、全国査定リリースということで、自社の開発要因で、より使いやすく、よりサクサク動くサービスのための基盤強化に取り組んできたのがこれまでのところです。

STEP1:おいくらのこれまでの施策(自社サービス連携)

また、これまでの施策における自社サービスとの連携に関しては、「高く売れるドットコム」本サイトとの連携を最初に行いました。なかなか上手くいかなかった部分もあって一度停止しましたが、その後連携を再開し、その他親和性の高い買取専門サイト22サイトとも連携しました。

これにより、自社で買い取って販売する部分の、私どもでお見積もりができなかった部分が「おいくら」に送客され、地域に根ざしたお店に見積もりを出していただけるような連携体制をつくることができました。

STEP2:おいくら認知度・顧客接点の向上

「おいくら」の認知度向上・顧客接点の向上ということで、TVCMの放映やアプリの開発にも取り組んでいきます。

おいくらTVCM

まず、「おいくら」のTVCMについてです。2021年2月中旬から東海の愛知県、静岡県、三重県、岐阜県の4県でテスト放映を開始していきます。このようなテストを繰り返し、来期以降は全国に放送していける体制をつくっていきたいと考えています。

おいくらアプリ開発

「おいくら」のアプリ開発も着手しています。こちらのアプリが完成次第、全国のTVCMを順次展開していきたいと考えています。より気軽にご自身の商品を自宅に簡単に取りに来ていただけるような、大きいものでもすぐに見積りを出してもらえるような、そのようなサービスをつくっていきたいと考えています。

STEP2:おいくらアライアンス強化①(企業アライアンス)

続けて、アライアンスの強化についてです。異業種企業との提携は、不動産業界を中心に加速しています。すでに発表していました三好不動産さま、AMBITIONさまに加えて、リロクラブさまが展開している「福利厚生倶楽部」、レオパレス21さま、大東建託パートナーズさま、LIFULLさま、CHINTAIさまというかたちで、順次さまざまな企業と連携がスタートしています。

これからも不動産や引っ越し領域など、生活に関連のある企業とアライアンスを強化していきたいと考えています。

おいくらアライアンス強化②(ヤフオク!様連携)

また、アライアンスの強化の2つ目ということで、今月、ヤフオク!様と連携した共催セミナーを実施予定です。こちらはリユース事業さま向けとなっていますが、リユース業界においてもインターネットで商品を仕入れたり、インターネットで商品を販売するDXの流れが非常に加速している流れがあります。

そのような中で、一番大きなtoB向けのプラットフォームの「ヤフオク!」に登場していただき、私どもの得意な集客の部分とあわせることで、より加盟店を増やしていきたいと考えています。

おいくらアライアンス強化③(行政との提携)

まだまだ使えるものが行政処分され、非常にもったいない状態になっているというお話をしましたが、行政との連携も模索しています。行政との連携に向けた専門チームを発足し、これから行政、地方公共団体と様々な取り組みを提案していきたいと考えています。

おいくらの将来像について

「おいくら」の将来像については、「日本のサーキュラーエコノミーの基盤となるプラットフォームへ」と成長させていくべく、さまざまな施策に取り組んでいきたいと考えています。

東証1部への市場変更申請を行った背景

最後に、東証1部への市場変更申請を行った背景についてご説明します。社会的な認知度と信用力の向上による企業価値向上を目的に、東証1部への市場変更申請を行いました。引き続き成長を継続していくという強い意思表示だとご理解いただければと思います。

現在、「中期経営計画」を策定中です。発表予定は2021年6月期本決算の説明会です。引き続き、さらなる成長を目指して各事業を推進していきます。また、持続可能な社会を実現する最適化商社を目指していきますので、何卒よろしくお願いいたします。説明事項は以上になります。

質疑応答:Googleのコアアップデートの影響について

今村:1つ質問を頂戴しました。「Googleのコアアップデートとは、具体的になにがどう影響しているのでしょうか? 具体的にはどのように対応するのですか?」というところです。小林社長、お願いいたします。

小林:弊社は約8つのメディア・プラットフォームでさまざまな事業を展開していますが、今までにもコアアップデートは何回もありました。その中で大きく影響を受けることは全体としてはなかったのですが、最近のGoogleコアアップデートは専門性や権威性を重視した検索アルゴリズム変更がなされました。

その中で、今回特に通信領域の部分が影響を受けたという状況です。その他全体で見ると、伸びたメディアもあったのですが、この部分が大きく影響を受けたということです。

具体的に言うと、全体のトラフィック、PVはそこまで下がっていないように見受けられたと思うのですが、より収益性の高い、より稼ぎ頭になっている通信領域が影響を受けてしまったというかたちになります。

同じようなメディアの中でも、より収益を生みやすいコンテンツに収益性が集中してしまったことで影響を受けていますので、私どもとしては、中長期的に考えて分散したメディア・コンテンツでバランスよく収益向上を図っていくことになります。

これからの対策としては、よりさまざまなコンテンツ全体から収益が発生されてくるよう、8つのメディアでポートフォリオを組んでいるだけではなく、各通信領域を含めた1個1個の媒体でもポートフォリオを組んで展開していくような施策を考えております。

質疑応答:モバイル通信事業の位置づけについて

今村:「貴社の成長戦略の中で、メディアはともかくモバイル通信事業をどのように位置づけているのかがわかりません。奨励金を払っているキャリアはどこで、CPA(獲得単価)はいくらなのでしょうか? また、取り組み当初と目論見が変わってきているということはあるのでしょうか? その場合、撤退も視野に入りますか?」というご質問を頂戴しています。

せっかくご質問をいただいた中、大変申し訳ないのですが、「奨励金を払っているキャリアはどこで、CPAはいくらなのか?」というご質問に関しては、キャリアやMVNEなどとの契約の兼ね合いで詳細をお答えすることができません。そちらについてはご容赦いただければと思っています。今後のモバイル通信事業の位置づけについては、小林からご回答します。

小林:モバイル通信事業を展開したきっかけの部分から言うと、もともとネット型リユースの中で、例えば中古パソコンをネットオークションで日本で一番販売した際は、やはり通信とセットで販売したほうがより収益性が高くなります。そのようなところからスマートフォンに移行し、格安SIMをセットに販売したほうがよいのではないかと考え、昨今の流れからWiMAXに移行してきた経緯があります。

このリユースの中でストック収益の生まれる通信領域に参入できるというのは、非常に大きなマーケットにチャレンジできるということであり、魅力的に感じています。モバイルの時代背景があり、競争も激化していますが、現時点では約6万回線のお客さまを保有させていただくに至りました。

奨励金を獲得するという部分に関しては、たしかに特需のようなかたちで大きく伸びた部分の反動減、ならびに今回Googleアップデートによる減少があり、そのような意味では新規獲得で低くなってしまったのですが、ストックの収益という部分では積み上がってくるかたちになっています。

弊社としても、このような意味では安定的な収益を生んでいる事業という位置づけになっていますので、成長戦略の中で強くというよりは、しっかりと需要のあるところを獲得しながら進める位置づけになります。先ほどもお伝えしましたが、強化していく部分の位置づけとしては「おいくら」事業になっていくと認識しています。

質疑応答:通期の利益計画における各セグメントの内訳について

今村:もう1つご質問をいただきました。「通期の利益計画を据え置きましたが、各セグメントの内訳はどのようにイメージしていますか?」こちらについては、私からご回答します。

まず、恐れ入りますが、セグメント別の業績予想は開示していませんので、せっかくご質問いただいた中で大変申し訳ないのですが、ご容赦いただければと思っています。

ただ、具体的な数字ではないのですが、これまでの傾向で言うと、当初まだネット型リユース事業の1セグメントで行っていたところは、2月、3月、4月という人が動きやすい時期に比較的収益が乗ってくるということもありました。

また、モバイル通信事業についても、前期は特に新型コロナウイルスの影響でかなり特需があったのですが、やはり基本的には3月、4月の人の動くところに伴って受注が伸びる傾向にあります。

なかなか具体的な数字をお伝えできず、本筋の回答とはずれてしまいますが、どちらかというと当社でいう第3四半期、第4四半期に伸びてくるのがその2つの事業となっています。

ただ、緊急事態宣言を言い訳にしているわけではないのですが、そのような社会環境が不透明であるところもありますので、お伝えしたとおり、通常では第3四半期、第4四半期も収益性が高まる傾向にあるのですが、一旦今のところは投資しているという流れです。

質疑応答:第2四半期の着地とGoogleコアアップデートの想定について

今村:「季節性に鑑みて、第2四半期の着地はある程度想定の範囲内と言えるでしょうか? Googleコアアップデートではどの程度想定外だったのでしょうか?」というご質問です。

第2四半期の着地がある程度想定の範囲内であるかというところで言うと、「ある程度」という前提はつくのですが、「想定の範囲内である」というお答えになるかと思います。

Googleコアアップデートではどの程度想定外だったかというところで言うと、やはりメディアからモバイル通信事業への送客がかなり落ち込んだことについては、若干想定を上回る影響はありました。

そこに対して具体的なことをお伝えすることは難しいのですが、対策を順次進めています。当社で言う、いわゆる収益が高まる第3四半期、第4四半期には追いついていきたいと考えている次第です。

お時間も迫ってきましたので、今日お答えしきれなかった部分や、追加のご質問等がありましたら、スライド資料の56ページにあります、当社のIR部門の直通のメールアドレスにお寄せいただけますと大変幸いです。

本日はお忙しい中お時間をつくっていただき、誠にありがとうございました。当社は引き続き前に進んでいきますので、今後ともぜひご支援のほどよろしくお願いいたします。それでは、こちらで本日の決算説明会を終了します。ありがとうございました。

記事提供: