「お金があればあるほど幸福だ、とは言い切れない」とよくいわれます。行動経済学では「幸福のパラドックス」ともいわれますが、これは本当なのでしょうか。内閣府の調査をもとにみてみましょう。

みんなの平均給与は?

国税庁の「令和元年分(2019年)分民間給与実態統計調査」によると、給与所得者は5,255万人(対前年比 4.6%増)で、民間企業の会社員の平均給与は436万円(同1.0%減)となっています。7年ぶりの減少です。

男女別にみると、

男性

  • 給与所得者:3,032万人(同2.9%増)
  • 平均給与:540万円(同1.0%減)
  • もっとも多い給与階級:400万円超500万円以下(532万人、構成比17.5%)

女性

  • 給与所得者:2,223万人(同6.8%増)
  • 平均給与:296万円(同0.8%増)
  • もっとも多い給与階級:100万円超200万円以下(526万人、構成比23.7%)

全体的には平均給与は減少しているようですが、女性は増加しています。働く女性も前年比6.8%増と増加は続いています。

また正規・非正規別にもみてみます。

  • 正規の平均給与:503万円(同0.0%減)
  • 非正規の平均給与:175万円(同2.5%減)

(ここでいう「給与」とは、各年の1年間の支給総額(給料・手当や賞与の合計額で、給与所得控除前の収入金額)となっており、通勤手当等の非課税分は含まないとしています。また、役員の賞与には企業会計上の役員賞与のほか、税法上役員の賞与と認められるものも含んでいます。また「平均給与」とは、給与支給総額を給与所得者数で除したものとなっています)

年収と生活満足度の関係

内閣府は国民の生活満足度を把握する目的で、「家計と資産」や「健康状態」、「社会とのつながり」や「住宅」といった11分野の指標(ダッシュボード)を作成しました。さらに、この指標に基づいて「満足度・生活の質に関する調査」を実施し、2019年5月に第1次報告書を公表、2019年7月に第2次、2020年4月に第3次、2020年9月に第4次の報告書が公開されています。

本調査では、生活満足度を「総合主観満足度」という数値で表しています。「現在の生活にどの程度満足しているか」について、0点から10点の11段階で回答してもらい、「全く満足していない」を0点、「非常に満足している」を10点として算出しています。今回は最新の第4次報告書をもとに、みんなの家計と資産の満足度をみていきます。

(※2020年5、6月に実施された「新型コロナウイルス感染症の影響下における生活意識・行動の変化に関する調査」の結果も集計・分析対象となっています。)