ファンケル、売上高はコロナ影響で前期比2.1%の減益も、営業利益は経費の効率的使用により6.5%の増益

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2021年1月29日に行われた、株式会社ファンケル2021年3月期第3四半期決算説明会の内容を書き起こしでお伝えします。

スピーカー:株式会社ファンケル 代表取締役 社長執行役員 CEO 島田和幸 氏
株式会社ファンケル 執行役員 経営企画室長 松本浩一 氏

セグメント別実績

松本浩一氏:経営企画を担当しております松本でございます。私からは第3四半期の実績と通期の見通しについてご説明をします。まず第3四半期、3ヶ月間の実績です。

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売上高は新型肺炎の影響により前期比2.1パーセントのマイナスとなりましたが、マルチチャネルを持つ強み、また化粧品だけでなく健康食品事業を持つ強みを発揮し、最小限の落ち込みに留めることができました。

製品別では化粧品は洗顔カテゴリーや、8月に発売した「コアエフェクター」、サプリメントはテレビCMを展開した「カロリミット」シリーズや「血圧サポート」が寄与しました。営業利益はマーケティング費用を中心に経費の効率的な使用に努め、6.5パーセントの増益となりました。

なお公表計画に対してですが、売上高は15億円下回りました。これは11月下旬からコロナ第3波が急速に拡大するなど、特に最大商戦期の12月に店舗で影響が出たことが主な要因です。一方、営業利益は経費の効率的な使用により計画を2億円強上回って着地をしました。

次に、第3四半期の売上の前年比較をご説明します。連結全体では7億円の減収となりました。直営店舗のインバウンド需要の減少が34億円、流通の免税店の減少が5億円となった一方、国内の直販チャネルは通販が堅調に推移しまして27億円の増加、消費増税の影響を除いてもプラス5億円となりました。

また海外も香港はコロナの影響を受けましたが、中国サプリ、アテニアの越境EC、ボウシャがそれぞれ増収となったことでプラス1億円となりました。国内の直販チャネルはこれで2四半期連続で増収を確保しており、当社のDtoCモデルが寄与していると考えています。

3Q(10〜12月)営業利益の増減分析

続いて5ページ、第3四半期の営業利益の前年差です。経費以外の増減では売上減による粗利の減少が4億7,900万円、原価率の改善による粗利の増加が2億2,600万円となりました。原価率が0.7ポイント改善していますが、これはサプリメント事業において主力製品の売上構成比が高まったことが主な要因です。

次にコストの内訳です。広告費は通販のネット広告の効率化により減少、販促費は既存のお客さまのフォローを強化したことなどにより増加、変動費全体では1億900万円増加しました。

人件費はインバウンド対応人員の減少などで減少、その他固定費もテレワークの推進や不要不急の費用を削減し、固定費全体では5億9,400万円の減少となりました。以上の結果、営業利益は38億700万円となりました。

3Q(4〜12月)営業利益の増減分析

6ページは後ほどご覧いただければと思います。

緊急事態宣言による影響

次に、通期の見通しについてご説明します。まず緊急事態宣言の影響です。1月8日以降順次三大都市圏を中心に発令され、多くの商業施設が夜8時までの営業となっていますが、もともと8時以降の売上の割合は2パーセント未満と低く、影響は限定的です。

一方、年末年始の急激なコロナ感染拡大で外出を自粛される方が増えており、直営店舗の1月の購入件数は直近6ヶ月平均に比べると約1割減少しています。

さらに今後も外出自粛による化粧品の使用機会の減少や、消費マインドの低下が予想されるほか、春の商業施設の大型セールでも来店者数が減少することが想定されるため、一定の影響は避けられないと考えています。

2021年3月期 通期見通し

9ページです。今期は「コロナでもあきらめない。じたばたしながら泥臭くやる」との方針のもと、全社一丸となって取り組んできましたが、上期決算ではインバウンド需要の回復が見込めないことから業績見通しを下方修正しました。

そのインバウンドの減少分をできる限りカバーするためさまざまな挽回策を講じてきましたが、上期の決算時には想定していなかったコロナの第3波や、欧米を中心としたロックダウンの影響などで第4四半期も厳しい状況が続くことが予想されることから、通期の見通しをもう一段見直すこととしました。

売上は化粧品事業を中心に引き下げ、1,150億円とします。営業利益は計画達成にこだわってきましたが、経費の効率化は引き続き徹底しながらも、来期以降の成長に影響する費用は削減しないという方針は変えず、115億円を目指します。

今期の業績は厳しい見通しですが、この第4四半期をしっかりとやりきって、よいかたちで次期中計につなげたいと考えております。それでは次に島田からご説明させていただきます。

ファンケル化粧品 / 育成ブランド

島田和幸氏:島田でございます。私からは第4四半期の各事業の戦略及び今後のファンケルの目指す方向についてお話をいたします。まず化粧品事業です。13ページです。ファンケルは創業40年、無添加研究の結晶である「コアエフェクター」が好調です。

美容雑誌『MAQUIA』の「ベストコスメ2020下半期」においてベスト・オブ・ベスト大賞を受賞し、化粧品全カテゴリーを通じて美容のプロから最も優秀との評価をいただきました。

高価格帯の美容液ですが、「高い美容効果がある」とリピート率も高く、販売数量の約5割がレフィルです。発売5ヶ月で早くも10億円の売上を達成しています。

第4四半期は美容師とタイアップしたプロモーションや、約80万人の大規模サンプリングを実施して更なる拡大を目指します。

「ディープクリア 洗顔パウダー」は@コスメ洗顔部門で1位を獲得しました。第4四半期は「マイルドクレンジング オイル」と合わせたナンバーワンセットの規格品を展開します。マスク着用により毛穴ケアニーズが高まっており、製品特徴をしっかり訴求いたします。

アテニア / ボウシャ

次にアテニアです。アテニアは基礎スキンケア「ドレスリフト」が好調で、お客さまが継続的に増加しています。美容液などのスペシャルケア製品とのクロスセルによりお客さまの購入単価も上昇しており、第4四半期も継続強化いたします。越境ECは前期比約2.6倍に伸長するなど好調です。

W11では「スキンクリア クレンズ オイル」がTモール国際のクレンジング部門で2位、日系メーカーでは1位を獲得できました。さらにクレンジングカテゴリーを拡大するため、オイル以外の剤形のバリエーションを拡充する計画で、まず今年春にクリームタイプを発売します。

ボウシャは環境変化にスピード感を持って対応し、第3四半期までは増収を確保していましたが、欧米ではコロナの感染拡大により再び化粧品専門店、百貨店などが休業に追い込まれており、通期の売上の計画は引き下げます。

このような中、10月から米国の大手ドラッグストアチェーン「Walgreens」の約3,000店舗で取扱いを開始しました。店頭での販売は好調で、当初計画を上回っています。来期以降も大手小売チェーンなどの拡大にチャレンジをいたします。

機能性表示食品「免疫サポート」発売(12月17日)

続いて健康食品事業です。16ページ。キリンの独自素材「プラズマ乳酸菌」を配合した機能性表示食品「免疫サポート」を12月17日に発売し、1月15日からテレビCMを全国で展開しています。

全チャネルで積極的なPRと店頭展開を行っており、通販ではテレビCMに合わせたWeb広告などで新規の獲得を積極化しているほか、直営店舗では注力商品として全店で提案を強化しています。

また流通はドラッグストア・コンビニなど約1万7,000店舗に配荷をしており、今後交通広告の展開による店頭誘導や店頭販促の強化を図っていきます。

特にドラッグストアからの引き合いが非常に強く、大手6社すべてでの定番棚に加えてエンド棚など多箇所展開を行ってもらっており、流通は初回出荷だけですでに3億円超の売上です。通期では10億円超の売上を目指します。

「BtoBビジネス」

17ページのBtoBビジネスです。キリンとの初の共同開発品フレーバーウォーター「BASE ピーチ&ザクロ」、ノンアルコールチューハイの「氷零 カロリミット」を10月に発売しました。

「BASE」は大手コンビニ3社の定番商品として採用され、好スタートを切っています。また「氷零 カロリミット」も「カロリミット」ブランドの認知を活かし、40代女性から高い支持を得ています。

第2弾としては4月に「デイリーアミノウォーター」を発売します。忙しく過ごす30代から40代の男女をメインターゲットに、体調管理にフォーカスをしたアミノ酸飲料として開発をしました。両者のシナジー創出は順調に進んでおり、来期以降もさまざまな商品を上市する計画です。

ネスレとの新しい取り組みとしては、スーパーフードの入ったスムージー「ネスキーノ」をファンケルとネスレで販売します。「ネスキーノ」はベース成分とスーパーフードを選択することで18通りの組み合わせを楽しめる新感覚のスムージーです。

ファンケルでは通販と一部の直営店舗で展開をして、中期的には売上10億円規模を目指してまいります。

中国サプリメント市場の成長性

次に、中国サプリメント事業についてご説明します。19ページ、中国のサプリメント市場は年率10パーセントの成長で、市場規模は2.6兆円と日本の2倍から3倍に達します。

一方、1人当たりのサプリメントの支出額はGDPの拡大に伴い年々増加をしていますが、未だ日本の5分の1に過ぎず、今後の市場の拡大余地は大きいと考えています。さらに中国政府が2016年に打ち出した国家戦略「健康中国2030」も追い風です。

近年、中国では工業化、都市化、高齢化により生活習慣病患者が増えており、深刻な問題です。「健康中国2030」では国民の健康教育の強化や健康的な食事、運動の促進、健康関連サービスの強化などにより、先進国並みの健康水準を目指しています。

今後中国では更なる健康意識の高まりが予想され、予防医療への重要性が増すことにより、サプリメントの果たす役割はますます大きくなると考えています。

中国サプリメント市場(年代、売れ筋商品、チャネル)

20ページです。中国でのサプリメントの主な消費者は日本のような40代以上の中高年ではなく、20代から30代の若い人が多いのが特徴です。そのため、ビタミン、ミネラルのベーシックなサプリメントが売れ筋です。

販売チャネルはリアルが約65パーセント、ECが約35パーセントですが、近年はECの伸びが高く、メインの販売チャネルに育っています。

また中国でもECにおける国内ECと越境ECの割合は8対2で、国内ECが大きなチャネルを担っています。ファンケルはこれまで越境ECのみで事業展開をしてきましたが、保健食品の届出が受理されたことで国内ECとリアルチャネルでも展開をできるようになり、事業機会が飛躍的に拡大したと考えています。

中国サプリメント事業の成長戦略

21ページです。ファンケルは越境ECと保健食品による一般貿易販売の両輪で中国市場を開拓します。越境ECは好調に推移をしており、2020年の1月、12月の現地の小売は前期比3倍でした。年代別のサプリメントを中心とした健康系のサプリに加え、今後はコラーゲンなどのビューティサプリを第2の柱に据え、成長をさせていきます。

保健食品は昨年12月30日に、第1弾として国薬が運営する中国海南島の免税店で亜鉛を発売しました。すでにこれ以外にビタミンC、ビタミンE、鉄、カルシウムの全5アイテムの届出が受理されており、順次ECを含め販売を開始します。

さらに今年夏を目途に15アイテムまで拡大する予定で、当社の技術力を活かした製品を上市します。製品ラインナップが拡充した段階でリアルチャネルにも本格展開をいたします。

中国 海南島 国薬免税店

次のページ、22ページに免税店の写真を掲載していますので、後ほどご覧ください。

通販レスポンス広告の効率化

続いてチャネル戦略のご説明をいたします。24ページです。通販のレスポンス広告の効率化についてです。2015年から広告先行成長戦略により、多くの新規のお客さまを獲得し、お客さま基盤は拡大をしていますが、2019年度からは更に一歩進め収益性の向上にも取り組んでいます。

具体的には通販のレスポンス広告のあり方を見直し、従来のように新規のお客さまの数に重きを置くのではなく、継続性やライフタイムバリューを重視しています。

レスポンス広告では媒体別、商材別に費用対効果を検証しながら最適な予算配分を行っており、特にネットの媒体では更に細かくYahoo!、Google、Facebookなどのメディア別に毎月分析をしながら月々の予算を設定しています。

これに加えて今期は、お客さまにお得感だけでなく価値訴求を強化しているほか、SNSによる口コミの活性化や、SEOなどの検索対策を行って継続性の高いお客さまの獲得にチャレンジをしています。

これらの取り組みにより、今期はレスポンス広告の費用を35パーセント効率化し、新規の獲得数は前年の85パーセントとなった一方、ライフタイムバリューの高いお客さまを獲得した結果、1人当たりの購入額は119パーセントに向上、新規のお客さまの売上は前年の103パーセントとなりました。

これらは広告先行成長戦略で得たノウハウや、マーケティングオートメーションなどのCRMのノウハウの成果であり、当社の強みの1つであると考えています。

ファンケルらしいOMO

25ページです。ファンケルはデジタルを活用し、お客さまがモノやサービスに触れて得られる「体験」や「経験」の最大化を通じて、「ファン化」を促進することを目指しています。

コロナにより来店がしにくい環境が続く中、オンラインサービスを強化することでチャネルを超えたアプローチを行っており、その1つの取り組みとして電話窓口のスタッフや銀座スクエアの店舗スタッフがオンラインでのカウンセリングにチャレンジをしています。

お客さまからは特に「眉レッスン」に高いニーズがあり、11月からは月2回定期的に開催をしています。このほか、11月からは店舗の会員向けスマホアプリを通じ、オンラインカウンセリングを予約できるようにするなど利便性も高めています。

これまで通販や地方のお客さまにはなかなか体験ができなかったことが、ITを活用することで可能になり、新しい体験価値を提供できます。カウンセリング後のお客さま満足度も100パーセントと非常に喜んでいただいています。今後もデジタルを起点にさまざまな取り組みにチャレンジをして、ファンケルらしいOMOを創造していきます。

「正直品質。」をさらに伝えるために

27ページです。ファンケルでは2016年から企業スタンスメッセージ「正直品質。」を掲げ、テレビCM中心に当社の姿勢や思いを発信してきました。その結果、ファンケルの認知度や好意度が年々高まり、一定の成果は得られたと考えています。

しかし30秒のテレビCMでファンケルの企業姿勢は伝えきれていないことや、今後ますます消費者行動のデジタルシフトが進む中で企業広告のあり方を変える必要があると考え、昨年10月に新企業ブランドサイト「そこまでやりますチャンネル」を開設しました。

このチャンネルは、今までの広告では伝えきれなかったファンケルの企業姿勢や商品の背景にあるストーリー、人間味を感じるコンテンツを高頻度で配信をし、新しい体験価値をつくることでファン化を促進いたします。QRコードとURLを掲載していますので後ほどご覧ください。

コロナ禍でのチャレンジ・気づき

最後です。28ページです。この1年間の振り返りと2021年の方針、考え方をお話しいたします。コロナに直面をした2020年は数年分の変化が一気に起きました。私たちは「変えてみよう。やってみよう」の精神でスピード感を大切にして「石橋を叩いて壊すな、吊橋を走って渡れ」を合言葉に調整をしてきました。

店舗のお客さまの通販への誘導、不織布マスクの緊急輸入販売、クリーン&バリアカテゴリーの開発、そして7月下旬から始めたライブショッピングでは、年末までに計37回配信をして延べ17万人強のお客さまに視聴をいただきました。またこのような中だからこそ足元を見つめ直すことができ、大きな気づきもありました。

1つはファンケルの強みの自覚です。当社はEC・D2C・DXのノウハウやインフラが整い、一朝一夕で築くことができない強みがあります。もう1つは創業から40年間培ってきたお客さまとの深い絆です。

ファンケルが世の中のお客さまから必要とされていることを実感し、お客さまの不安や不満などの「不」を解消して差し上げることが、私たちのやりがいであり喜びであることを再確認できました。

いろいろな不自由やストレスがあった年でしたが、そういう中でもお客さまの絆を通し、「この会社好き」という従業員の会社に対する愛着、エンゲージメントが高まったことが2020年の一番の成果だったと考えています。こうして私たちが見出したのは「原点・絆、そして未来への希望」でした。

2021年は『コロナを超えて、新しい絆を紡ぐ』

29ページです。2021年はコロナを超えて、新しい絆を紡ぐ年だと考えています。今年は「信頼」「前進」「機敏」を共通の価値観に取り組みます。1つ目は「信頼」です。すべてのステークホルダーからの期待に応え、信頼と絆をより強固にしていきます。

お客さまの体験価値を高め続けることにしっかりと取り組み、お客さまから愛され、株主のみなさまや世の中からももっと期待を持っていただき、従業員が更に夢を持てる会社を目指します。

2つ目は「前進」です。ジャンプアップではなく、一歩一歩着実に進むしかありません。これまで進めてきたことを一つひとつ進化させ、お客さまともっとつながり、関係を深めていきます。

3つ目は「機敏」です。停滞は後退です。変化を恐れず、すぐ変え、すぐやってみることです。現在今年4月にスタートする新中計を策定中です。そこで目指すことは5つです。第1にファンケルは製品ありきです。独自性を磨き、製品開発力をもっと高めていきます。大事なことはスピードと質です。

第2にITをもっと活用して「ファンケルらしいOMO」を推進し、お客さまとの絆づくりを深化させます。第3に新関西物流センター、新三島サプリメント工場、ITなどの大型の投資案件を成功させ、未来への投資を成果につなげていきます。第4に2030年に向けて「ALL - FANCL」でグローバル化を推進します。

第5に人づくり、つまり人材への投資をますます強化してまいります。2021年は必ず明るく希望を見つけられる年になります。私たちの未来につながる年にします。

ファンケルはこれからも多くのお客さま、株主さま、市場の期待に応え続けてまいります。引き続きご支援をよろしくお願いいたします。以上です。ありがとうございました。

記事提供:ログミーファイナンス

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