民間企業と比べて景気に左右されにくい、お給料も安定している、といったイメージをもたれることが多い公務員のおしごと。
最近では「親が子どもに就いてほしい職業」といった調査の回答として、上位にランクインすることも多いですね。
その安定感抜群のイメージから「公務員なら定年まで安心して勤めあげることができそう」と感じる人も少なくないでしょう。
さて、多くのサラリーマンにとって、リタイヤ後の生活の柱となるのは公的年金と「退職金」といってもよいかもしれません。今回は、公務員の定年退職金事情を、民間企業の実態と比較する視点で眺めていきたいと思います。
地方公務員の定年退職金事情
さいしょに、私たちの暮らしに密接な関係がある、地方公務員の「退職手当」についてみていきましょう。
総務省が発表した「給与・定員等の調査結果等」の「地方公務員数の状況」によると、2020年4月1日現在、地方公務員の数は276万2020人です。対前年比は、2万1367人の増加となっていますが、ピーク時の1998年からは約52万人減少しています。
地方公務員の退職手当の平均額
ここからは、「平成31年(2019年)地方公務員給与の実態」より、2018年度中に退職手当を支給された人のうち、一般職員の勤続25年以上の「定年」または「勧奨退職者」1人当たりの平均退職手当額を、退職年齢ごとにながめながら、国家公務員と単純比較していきます。
全地方公共団体
- 56歳勧奨退職者…2125万1,000円
- 58歳勧奨退職者…2141万6,000円
- 60歳定年等退職者…2133万円
次は、退職時年齢ごとの平均を、団体区分別にみていきます。
56歳勧奨退職者
- 指定都市…2174万1,000円
- 都道府県…2147万4000円
- 市…2120万5000円
- 町村…2000万 2000円
58歳勧奨退職者
- 市…2154万3000円
- 都道府県…2150万4000円
- 指定都市…2111万6000円
- 町村…2068万1000円
60歳定年等
- 都道府県…2183万9000円
- 市…2126万8000円
- 指定都市…2119万3000円
- 町村…2008万1000円
地方公務員も、「退職手当」として、ほぼ2000万円以上もらえる感じですね。
【解説】どう決まる?「地方公務員の退職手当」
地方公務員の退職手当は、「国家公務員退職手当法」に準じて支払われます。下記がその算定式です。
地方公務員の退職手当の基本算定構造
退職手当額 = 基本額 + 調整額
基本額 = 退職日給料月額 × 退職理由別・勤続年数別支給率
調整額 = 調整月額のうちその額が多いものから 60 月分の額を合計した額
「支給率」は、退職理由・勤続年数で変わります。60代で定年を迎えるケースを想定した「勤続年数45年、定年・勧奨」の場合だと、支給率は「59.28月」となります。
参考:総務省「地方公務員の退職手当制度について」