時間制限より人数制限こそが必要ではないか?

一連の体験談を聞いて感じたのは、「時間制限」ではなく「人数制限」が必要なのではないかという疑問です。

飲食店での最大の感染リスクは、アルコールが入ってワイワイと大声でおしゃべりをする飛沫感染や、たくさんのお客さんが狭くて換気の悪い空間に長時間滞在することにより、大量のウイルスを取り込んでしまうリスクです。

しかし、人数制限を設けることで、大人数が狭い空間にいる「密状態」は回避できるのではないかと感じました。また、店舗によっては寒さを感じるくらいにしっかり空気の入れ替えがなされていますし、どこのお店でも入り口での検温やアルコール消毒など感染拡大防止策は徹底されています。

こうした感染対策に加えて、食事中のおしゃべりはできるだけ声のトーンを落とすようにして、少人数での入店へと人数制限を設けた上で、席と席との距離を取れば、時短営業をしなくても大きく感染リスクを下げることができるのではないでしょうか。

20時までしか営業できないなら、仕込みをした食材などはムダになってしまいますから、幅広いメニューを用意していたり、痛みやすい食材を扱っている店舗にとっては、開店することそのものが経済的リスクになると感じます。それなら、人数制限を設けて感染リスクを抑えながら、入店したお客さんが普通に食事を楽しめる状況を作ったほうが良いのではないでしょうか。

「緊急事態宣言」とある通り、現在はCOVID-19の感染拡大でまさしく「緊急事態」にあります。筆者は不要不急の積極的な気晴らし外出を奨励する意図はありませんし、店舗に時短をお願いする意図が「感染拡大防止のため」ということはよく理解しているつもりです。しかし、「店舗内での感染防止のために時短営業」という目的なら、本当にこの時短営業に効果が大きいのかを疑問に感じてしまいました。

高級フルーツギフトショップ「水菓子 肥後庵」代表 黒坂 岳央