新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大防止の緊急事態宣言により、飲食店20時閉店することが決まりました。筆者が住んでいる地域全域でも、20時までの時短営業の協力を迫られています。

先日、筆者は飲食店における20時までの食事の実体験談を伺う機会がありました。話を聞いて感じたのは「真に必要なのは20時までという時間制限ではなく、人数制限なのでは?」ということです。

驚き!スピーディーな料理の提供

20時までの時短営業で、フレンチレストランでアラカルトメニューでの食事をすると以下のような具合になります。

その店舗では18時開店、19時ラストオーダー、20時に退店するという流れになっていました。お店のスタッフからは「申し訳ありませんが、20時にはお店から出ている状態の必要があります」と言われます。お店に入店後もメニュー選びや、食事の提供の待ち時間、トイレや手洗い、お会計の時間が必要ですから、実質的な食事をしている時間は「90分程度」しかありません。

緊急事態宣言前と大きく違う点としては、とにかくものすごくスピーディーな料理の提供だということです。大抵のフレンチレストランでの食事は、今食べているものを食べ終えたのをスタッフが見計らって、次の料理がサーブされることが多いのではないでしょうか。

しかし、現在は注文すると、できたそばから次々と料理が提供されて来るのです。店舗スタッフも「次々とお出しして申し訳ありません」とお詫びを言いながらの提供となりました。これは滞在可能時間の厳しい制約下に置かれていることに加えて、スタッフを増員しての人海戦術で対応した効果が大きいのでしょう。

現在はほとんど来店するお客さんがいません。しかし、そんな少数の来店客を相手にすることを考えると、「多すぎる」と感じるくらいに厨房のオープンキッチンには調理スタッフが動き回っていたのです。また、このレストランではメニューの選択肢は縮小しておらず、こうなると店側はどんな注文を受けるか分かりませんから、更にスタッフ増員の必要性があったことでしょう。お客さんからの注文を受けて料理を出すまでに時間がかかりすぎると、お客さんが退店まで食べきれませんから、できたそばから次々提供せざるを得ないのです。

オーダーする時も大きな変化がありました。通常、アラカルトメニューでは食べながら満腹具合を考慮しながら追加注文をしていくところですが、現在は「20時には完全退店」という厳しいルールがあるため、オーダー時にまとめてデザートまで一気に頼むことになります。とにかく時間がないのでおしゃべりもそこそこに、残り時間を意識しながらスピーディーに食べることで、必然的に黙食となっていることでしょう。

入店後のメニュー選びから、最後のお会計まで店舗スタッフとお客さんとの間で残りの滞在可能時間の意識が常にあったと感じる、スピーディーな食事です。