10月に入り海外投資家が買い姿勢に転じた
日本取引所グループが発表した2016年10月第1週(10月3日-10月7日)の投資主体別売買動向によると、海外投資家が6週ぶりに現物株式を買い越しました。
海外投資家は、8月29日(月)以降5週連続で累計約▲1兆1,700億円の売り越しを続けましたが、10月に入り+2,805億円買い越しをして第1週を終えました。さらに、この週に日経225先物を+2,196億円買い越していますので、現物・先物を合わせてみても明らかに投資スタンスが変わったことがわかります。
話を現物に戻しましょう。10月第1週は自己部門が+1,188億円買い越した以外、他の投資部門には主だった買い越しは見られませんでした。日銀の動きも目立ちませんでした。
海外投資家の買いに売り向かったのは個人投資家
ひさびさの海外投資家の買い越しに対して、売り越したのは個人投資家でした。個人投資家は株価が下がれば買い向かい、株価が上昇すれば小まめに売り上がる逆張り投資を続けています。この10月第1週は現物・信用合わせて▲2,877億円の売り越しになりました。
投資信託の日経平均先物の売り越しが目立つ
さて、日経225先物の売買動向を見ると、実はこの週の最大の売り越し▲1,141億円を行ったのは投資信託部門でした。▲1,000億円を超える売り越しは7月末の週以来となります。
投資信託の先物売りには大口解約のヘッジなどが考えられますが、デリバティブを組み入れた投信の売りも想定されます。特にベア型投信の残高が増えた可能性やブル型投信の残高が減った場合が想定されます。
ブル型投信やベア型投信は個人の値幅取りで人気の投信ですが、もし上に述べた仮説が正しいとすると個人投資家は日本株に必ずしも強気ではないことを示唆しているのではないでしょうか。日本ではそろそろ決算発表が本格化しますが、業績で個人投資家を安心させてくれることを願います。
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