以前の「アパレル業界人の旅行バッグ拝見!」企画でソロキャンプ用の旅行かばんを紹介してくれたのが、〈ベルーフバゲージ〉および〈アノニムクラフツマンデザイン〉のデザイナーを務める佐野賢太さん。
「キャンプ用のバッグなのにトートバッグ?」と初見では驚いたのですが、読み返していると確かにオートキャンプなら全然アリなのかも…なんて思えてきました。
ここはもっと本人にお話を聞いてみたい! ということで、代々木にある直営店『1197STORE』にお伺いし、キャンプバッグについて根掘り葉掘り聞いてきました!
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ー旅行バッグの記事、何度も読み返してキャンプギアを買うときの参考にしています! そもそも佐野さんってキャンプ歴はどれくらいなんですか?
元々キャンプをスタートしたきっかけは仕事なんですよ。3〜4年前、仲良くしている人にキャンプイベントの出展に誘ってもらって、とりあえず自分一人で寝泊まりできる装備として「MSRのエリクサー2とmont-bellのダウンハガー800、サーマレストのエアマットがあれば良いから」って言われて(笑)。多い年は仕事とプライベート含めて、毎月1〜2回行くっていうのが半年以上続いたときもありましたね。
ーソロだけでなく、ご家族でファミリーキャンプに行かれることもありますか?
ファミリーキャンプは下の子が小学校に上がったのを機に始めました。一昨年は1週間くらいかけて愛知、岐阜、富山、石川、新潟を車で移動して各地のキャンプ場に行きましたね。合計1,500km走りました。
ー1週間のキャンプ旅行、めちゃくちゃ憧れます。
ただ、昨年は子どもがガチンコでサッカーをやり始めて、キャンプに誘っても「サッカー行きたいから」って断られるみたいな(笑)。コロナの関係もあったので、夏に子どもの友達も連れて、みなかみで1回やったくらいです。
ー寂しいですね…。今まで行ったキャンプ場の中で、特に好きだったところってありますか?
仕事としてのキャンプでしか行ったことはないですが、ふもとっぱらはロケーションがすごく良いなと思います。あとは富山県にある利賀村の利賀国際キャンプ場。そこはキャンプ場の中に川が流れていて釣りもできて、潜ったら魚が見えるんですよ。昨年行ったみなかみも比較的新しいところだったんですけど良かったですね。
オートキャンプにリュックは不要? キャンプ&タウンユース兼用のトートバッグ
ーこのトートバッグもオートキャンプ用に作ったものなんですか?
「キャンプ用に」っていう意識は…んー、半々くらいですかね。その前に“普段街で使える”ってことが大前提としてあります。外だとキャンバスのバッグって床に直置きしづらいときあるじゃないですか?
ー直置きは汚れるから抵抗感ありますね。洗濯も面倒ですし。
このバッグはコットンダック製のX-PACを採用したリバーシブル仕様。裏面はPETフィルムになっているから、ひっくり返して使えば汚れを気にしなくて良いんです。普段使いも、外のフィールドもいける両A面のバッグですね。
ー形をトートバッグにした理由はあるんですか?
オートキャンプになると、カバンをカバンとして使わないというか。基本的に車から荷物を出すか仕舞うかしかないので、リュックである必要はないなと思います。すぐ荷物を放り込めて、車に仕舞って終わりっていう使い方ができる方が楽なんです。だから、形はトートバッグになるんですよ。
ーオートキャンプ、トート最強説が出ましたね。このバッグ、裏面にはモールシステム(※アメリカ軍が採用しているウェビングシステム)的なものもついていますよね?
PETフィルム側を表に持ってくるとデイジーチェーン的なものが出てくるので、カラビナを使ってフッキングすることもできますね。あと、コットンダックが表のときは外側にアウターポケットが付くんですけど、ひっくり返すとそのポッケがそのまま内ポケになります。
ーキャンプのときは基本的に何を入れて使ってるんですか?
キャンプ道具に関していうと、メインの道具はコンテナケースに収納しているんですよ。焚き火まわり、幕物、長物、キッチンまわりと4ジャンルに分けて入れていて。だから、このトートには家から持ち出すものを入れるってパターンが多いです。ソロのときは自分の着替え類一式、家族のときはタオル4人分と着替えとかですね。全部余裕で入ります。
ーなるほど、実際はバッグ一つでまとめるパターンは少ないですもんね。でも、オートでソロ、ミニマルなスタイルの場合だったら、「このバッグに全部収納できるのかも?」なんて気もしますが…。
キャンプって、季節によっても荷物量が変わってくるじゃないですか。そういうところまで考えると、さすがにカバン一個だと冬は絶対ムリだと思います(笑)。ただ、夏場に関しては小型テントにチェアやソロ用テーブル、クッカーくらいなら入りますね。結局キャンプって「どれくらいの装備で何をするか」で全然変わっちゃうんで。
ーたしかに、野暮な質問でした。ちなみに、キャンプだけじゃなく、普段用としても使われてるんですか?
普通に使ってますね。キャンプのときだけ使うってなると、ちょっともったいないじゃないですか? だから、普段のバッグを使い方次第で“ちょっと変えられる”くらいのテンションで作ってるんですよね。
ベストというより“着るカバン”?〈BIB〉とコラボしたウェアラブルバッグ
ートートバッグ以外にもう一点気になるアイテムがあります。〈BIB〉とコラボベストについても教えてもらえますか?
〈BIB〉さんはエプロンなどをメインに作られているブランドですね。元々「キャンパー」っていうキャンプ向けのベスト的なものが作られてるんですが、身頃が胸元くらいまで高さがあるんです。それも良いんですが、僕自身はもっと前が低いものが好きなのでお願いして作ってもらいました。
ーそもそもベストを作ろうと思った経緯とは?
キャンプイベント出展のときって基本一人なので、接客から販売まで全部自分でやらなきゃいけないんですよ。ミニレジみたいなものを持っていけないから、現金も常に身に着けとかないといけない。言ったら自分がレジみたいな状態になるんですよね(笑)。だから、ずっと身につけられるベストでお金や道具などをいろいろ仕舞えるものを作ったんです。
ーだからポケットが大きいんですね。
前2つ、後ろはオープンで左右2つ付いていて、前のファスナーポケットの中にはメッシュの子ポケも付いてますね。まあ作った目的がそんな感じなんで、使い方もそんなに制限されるものではないかなと思ってます。
ー個人的にはペグ打ちするときに重宝しそうだなと思いました。ペグもペグハンマーも余裕で入れられますし。
そんな感じで自由に使ってもらえれば良いなと思います。僕の場合は後ろ側に必ずグローブを入れてますね。グローブって常に手にはめないけど、身につけときたいものじゃないですか? 「グローブどこやったっけ?」みたいなのがすごく嫌なので、いつも入れてます。
ー「薪割り台の近くに置いといたはずが、あれ?」みたいなときよくありますね…。手袋以外に絶対入れるものはありますか?
スマートフォンと車の鍵はファスナーポケットに入れてますね。オートキャンプって荷物を全部おろしきらないから車の開け締めが多いんですよ。あと、イベント物販のときはそれこそ現金。もうベストがレジになってるんで(笑)。
ーまさに、身につけられるレジですね(笑)。あと、素材や仕様も防水仕様になってますよね。キャンプ用のベストでは珍しい気がします。
素材自体はいわゆる3レイヤー系の裏加工、表面撥水です。まあシェルパーカーの素材だと思ってもらえれば分かりやすいんじゃないかなと。これは僕らが普段作る製品がカバンっていうのが影響してるかと思います。ベストっていうよりも“着る形のカバン”だと思って作ってるところがあるので。
ー確かに用途としてはウェアというよりカバンの方が近いですね。
洋服のポッケに物を入れたくない人向けというか、僕自身もあんまりたくさんのものを洋服のポッケに入れたくないんですよ。正直、真夏以外は洋服のポッケが増えるのでそれでどうにかなるところもあるんですけど、いろんなところにバラバラに物が入っているのが嫌なんですよね。
ー冬場はポケットが多い分、入れたものが迷子になりますよね。アウターと中のフリースどっちに入れたっけ?みたいな。
僕の場合は性格的に几帳面だから何となくルールを作っていくんですけど、そのルールがあとで面倒くさくなっちゃう(笑)。だから、こういうベストがあると便利なんですよね。
ー逆に夏場はポケット不足を解消してくれそうです。
それも作った理由としては大きいです。実質5月くらいからは、よっぽど標高を上がらない限りは日中暑いですよね。標高を上がっても日によっては20度超えて「今日半袖だな」みたいなときも結構出てくるんで、そういうときは重宝しますね。
ーこのベストもどんどん欲しくなってきました(笑)。
そういえば、今ちょこちょこストラップにひっかける系の小バッグが出てきてるじゃないですか? 直立のときはきれいに収まるけど、キャンプって意外といろんな体勢になるから引っ掛けてるだけだとものすごい邪魔になるんですよね。だから、このベストのようにポッケの中に全部しまえるタイプの方がおすすめです。
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Info
1197store
住所:東京都渋谷区代々木1丁目19-7-7
営業時間:13:00 – 19:00(定休日:水曜、日曜)
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