現在のところ、現地の日系企業や邦人への被害は報告されていないが、電話やネット回線が繋がらないなど、仕事や私生活などで社会的な制限は出てくるだろう。
日本外務省も外出を控えるなどを呼び掛けている。今後、抗議デモや暴動など治安が悪化して、それに巻き込まれる危険性は十分にある。
おそらく、突然のことで現地に進出する日系企業関係者の中には驚いている方々もいることだろう。しかし、今回のミャンマーのケースでも言えることだが、その前兆を事前に察知することは可能だった。
日本企業に必要な政治・地政学リスクを重視した経営
世界では現在でも、紛争やテロ、暴動や抗議デモが絶えず、イラン情勢のように国家間緊張も残る。世界情勢が混沌とするなか、各企業には政治リスク、地政学リスクというものをこれまで以上に重視した経営戦略が求められている。
進出する国や地域にはどういった政治リスクがあるかを情報収集・分析することを習慣化し、それによって最も重要な駐在員の命の安全と保護を徹底し、想定される被害を最小化することが求められている。
世界情勢は今後より複雑化するだろう。在外邦人の安全を守るのは国の役目ではあるが、当然ながら何から何まで手が回るわけではなく、それにも限界がある。
よって、各企業、駐在・出張する一人一人が自らを取り巻くリスク1つ1つを注視し、危機管理意識を向上させておく必要がある。そのために重要なのは、日頃からの情報収集と分析である。
和田 大樹