2021年1月15日に行われた、アクティビア・プロパティーズ投資法人2020年11月期決算説明会の内容を書き起こしでお伝えします。
スピーカー:東急不動産リート・マネジメント株式会社 常務執行役員アクティビア運用本部長 佐藤一志 氏
「投資主価値向上」への回帰に向けた取り組み ~今後のポイント~
佐藤一志氏:本日はアクティビア・プロパティーズ投資法人2020年11月期(第18期)の決算説明動画をご視聴いただきまして誠にありがとうございます。東急不動産リート・マネジメントアクティビア運用本部長の佐藤でございます。
まずは決算説明に先立ちまして、新型コロナウイルス感染症に罹患された方々の一刻も早い回復をお祈りするとともに、治療に関わる医療従事者の方々に心より敬意を評させていただきたいと思います。では、これより2020年11月期決算についてご説明させていただきます。
3ページをご覧ください。前回決算説明会時に事業活動において大きな危機に直面するテナントの事業継続をサポートすることが上場リートとしての社会的責務を果たし、またアクティビアの強みを活かして早期に成長軌道へ回帰する最善策であるというご説明を申し上げました。
この方針に基づく2020年11月期の運用実績と現状コロナ禍における環境認識から、私どもは2021年前半を稼働のボトムと想定し、その後、好立地・ハイクオリティというアクティビアの強みを発揮できる局面になると考えておりまして、しっかりとした運用を持って早期に定常運用へ復帰することを目指しております。
まず、新型コロナ対応はワクチンへの期待感と感染再拡大による不透明感が交錯する状況ですが、運用では賃料の減額に応じるだけでなく、その条件交渉において歩合設定など収入増加の機会を新たに確保するなど、投資主価値向上にも取り組むことができました。
感染再拡大の状況に応じて商業テナントへの柔軟な対応は継続いたしますけれども、今後は内部成長に向けたリーシング戦略を優先して実行してまいります。オフィスについては、空室増加によるリーシング期間の長期化およびそれに伴う賃料の調整と、今後の限定的な新規供給および企業の業績回復による期待、その綱引きが継続すると見ています。
決算期では賃料改定におけるヒット率こそ低下しておりますけれども、着実な賃料増額の継続と強いテナントニーズを把握できたことで、今後のポイントである個別の優位性を背景とした賃料増額戦略に注力する、それが可能になったと考えています。
商業では、テナントはプライム立地の中でもよりコアな立地を選考するというふうになっておりまして、2020年11月期にはテナント入替で大幅な賃料増額を実現することができました。
またテナントの出店意欲は2021年夏以降に回復すると見ていますが、東急プラザ表参道原宿のアメリカンイーグルの後継テナント候補との交渉の進捗など、厳しい状況下においてもアクティビア物件の競争力を活かし、安定性と成長性を意識しリーシングを進めてまいります。
外部成長について売買マーケットは厳しい取得環境が継続しております。コロナ禍におけるリスクの顕在化に留意しながら物件入替を継続いたしてまいります。また財務戦略は金融機関の融資姿勢に変化はなく、借換えにおいて長期化とコストの低減を目指します。
新型コロナ対応と成長戦略 ~アフターコロナに向けた道筋~
4ページでは、2020年11月期以降、各期の取り組むべきテーマと取り組み実績および取り組み方針をお示ししています。すべての取り組みの目的は中長期的な投資主価値向上であり、各取り組みを着実に実行していくことが巡航分配金の底上げに相乗効果を発揮すると考えております。
まず2020年11月期においては、テナントの事業継続サポートを行うことにより稼働を維持し、期末時点の稼働率は約99パーセントとなりました。またテナントごとに丁寧に対応し、一時減額による分配金減少を抑制することで約400円、さらに減額テナントと歩合設定で合意することにより18円、当初分配金予想から上振れました。
なお、一部テナントとの減額交渉を2021年5月期に持ち越しましたが、テナントごとに時間をかけて対応した結果であり、稼働をしっかり維持することで2021年5月期以降のオフィスリーシングに余力を十分に残すことができたと考えております。
2021年5月期以降は賃料水準にこだわってオフィスリーシングに優先して取り組みます。そのためにダウンタイム対応枠を設けているため、2021年5月期および11月期は決算期対比で減配予想となっておりますが、物件の競争力と賃料ギャップを見極めテナント入替による賃料増額を中心に巡航分配金の向上を図ります。
また商業テナントについてもプライム立地における路面店の入替で内部成長を目指します。さらに物件入替を基本方針とした外部成長およびコスト低減余地を有する財務戦略にも並行して取り組み、巡航分配金の向上をサポートしてまいります。
決算・業績予想前提における新型コロナ影響 ~DPUへのインパクト及び見通し~
続いて、決算・業績予想前提における新型コロナ影響についてです。まず左の2020年11月期では新型コロナ影響として、主に稼働維持を目的とした商業テナントへの賃料の一時減額とホテルの歩合減少で774円計上し、分配金確定値が9,547円となりました。
続いて、2021年5月期はオフィスのテナント入替に伴うダウンタイム対応を中心に860円を新型コロナ対応として見込み、予想分配金は前回予想比変わらずの9,280円としています。2020年11月期から一時減額対応を持ち越しましたが、稼働を維持できたことにより前回予想時と比較し、ダウンタイム対応額を削減でき、よりオフィスのリーシングに注力できる環境になりました。
右側、2021年11月期です。コロナ前の2019年11月期に計上したホテル歩合、2億5,700万円をベースに今回は歩合が発生しない前提のため歩合が大きく減少します。また、2021年11月期末にかけて稼働が回復することを前提としているため、引き続きダウンタイム対応額を見込んでおり、新型コロナ影響が958円、予想分配金は2021年5月期予想比で微増の9,300円としております。
商業テナント要望・交渉状況サマリー ~新型コロナに伴う要望への柔軟な対応と代替条件の獲得~
6ページは新型コロナに伴う商業テナント要望・交渉状況のサマリーです。まず要望状況ですが、緊急事態宣言が発出された4月から6月が件数のピークであり、足もとでは新たな要望は限定的で一巡している状況です。
要望内容で最も多いのは賃料の一時減額です。テナントごとに業種や経営状況およびリテナントの難易度などを総合的に勘案の上、対応を行いました。2020年11月期では減額合意が79件となり、丁寧にテナントと交渉を行った結果、当初予想との比較で減額幅が減少し分配金を約400円押し上げました。
交渉中20件の影響は相対的に小さく、2021年5月期での合意を目指します。なお、これまでに39件の解約が発生しておりますが、平均38坪と小規模区画が中心で現時点における影響は軽微です。
またこれらの交渉の中で将来の内部成長や足もとのリスク軽減につながる代替条件の獲得事例を下段にてお示ししております。左側「1」と「2」では減額期間経過後の賃料増額や売上歩合賃料の新設・基準変更といった、将来の内部成長につながる事例をご紹介しております。
歩合賃料の新設は売上が把握でき、今後の施設運営に活用できると思われます。また右側「3」と「4」では、解約禁止期間の延長と再契約の締結といった安定性を確保し、足もとのリスク軽減につながる事例をご紹介しております。一部の再契約では次回交渉を見据えて、普通借から定借への切り替えも行っております。
オフィスリーシングの状況 ~足もとでは契約が伸長、賃料増額が追及可能な局面に変化はない~
7ページはオフィスのリーシング状況についてです。まず左上「1」をご覧ください。こちらでは、緊急事態宣言が発出された2020年4月以降の契約締結および解約申出の推移をお示ししております。4月以降、緊急事態宣言によって人の動きが止まったことに起因したコスト削減目的による解約件数の増加をご確認いただけます。
9月までは解約が先行するかたちとなっており、新規契約が空室在庫の増加とテレワーク等によるテナントの意思決定の停滞により合意にいたらないケースが多く見られました。10月以降は一転して新規契約が進捗し、転入超過の状況が継続しリーシング面積は順調に減少しています。
次に右上「2」の期別の入退去面積の推移をご覧ください。こちらは2018年5月期以降の入退去を実際の引き渡し、または明け渡しのタイミングで事業年度ごとに集計したものです。コロナ前も一定水準の退去面積は生じていましたが、入退去の面積はほぼ一致していました。
これは館内増床などにより解約が発生してもダウンタイムが発生することなく新テナントに引き渡しができたことを示しており、これまでお伝えしておりましたアクティビアのオフィス物件の競争力の表れと考えています。
一方で、2020年11月期および2021年5月期は左上「1」でご説明した4月から9月までの解約予告受領により退去面積が大きくなっていますが、10月以降、新規契約は着実に増加しており、2021年5月期のネット面積は業績予想ベースでは入居超過を想定しています。
右下「3」をご覧ください。こちらでは2018年5月期以降のオフィスの期末稼働率の推移をお示ししています。濃い緑色が引渡稼働率、黄緑色が賃料発生稼働率です。2021年5月期末の引渡稼働率と賃料発生稼働率には7ポイント程度の差異が生じています。この差異が予想分配金で見込んでいるダウンタイム対応額に相当いたします。
コロナ前における引渡稼働率と賃料発生稼働率に大きな乖離はなく、2021年5月期および11月期においてオフィスの内部成長に取り組むためのダウンタイム対応枠が十分に確保されているということがご確認いただけると思われます。
アクティビアのオフィスでは感度の高いテナントが多く、その一部がコロナ影響に敏感に反応されたことから相対的に早めに解約の申出が増加しましたが、埋戻しもすでに本格的に動き出しており、賃料発生稼働率は2021年5月期末をボトムに回復に向かうと考えております。
最後に左下の賃料ギャップをご覧ください。濃い緑色が東京オフィスの平均賃料です。2020年11月期においても賃料増額が継続しており、平均賃料は上昇いたしました。これに対し、黄緑色でお示ししているマーケット賃料は広域渋谷圏における過熱感の調整もあり、2020年11月期は若干ですが下落いたしました。その結果、期末時点の賃料ギャップはマイナス6パーセントとなり、前期から3ポイント縮小しましたが、稼働率回復にあたり賃料ギャップを活かし内部成長を積み上げてまいります。
DPUサマリー(20年11月期決算) ~当初予想、修正予想、前期決算を上回って着地~
8ページ、9ページは分配金のサマリーです。まず8ページの2020年11月期の決算ですが、2019年に取得した3物件の固定資産税の発生等による費用増を賃料改定による内部成長や恵比寿プライムと新橋駅前の入替効果、ホテル歩合等の収入増によりカバーし、前期から39円増となる9,547円となりました。コロナ影響の抑制により当初予想からは507円、5.6パーセントの増加、修正予想からは97円、1.0パーセントの増加となりました。
DPUサマリー(業績予想) ~コストコントロールやコロナ影響抑制により、DPUの上積みを目指す~
9ページは2021年5月期と11月期です。2021年5月期の分配金はホテル歩合の剥落や金利バッファを織り込み、決算期から267円減少し、9,280円の予想としております。また、11月期はコロナ影響に伴うダウンタイムや一時減額対応枠は減少するものの、固都税の費用化、金利バッファなどの費用増もあり、前期から20円増の9,300円の予想です。
東京オフィスの改定入替動向 ~改定は堅調、入替は過去最高額を更新するペースで進捗~
それでは12ページまでお進みください。ここからは運用状況についてご説明させていただきます。まずは東京オフィスにおける改定入替同行です。2020年11月期の賃料改定は、対象面積の70パーセントにあたる2,089坪において期あたり5,280万円、平均増額率20.9パーセントの賃料増額を実現しました。
テナント交渉が一時制限されたことで改定率こそ減少しましたが、増額率では過去最高を記録することができました。品川・五反田エリアにおける大幅な増額を始め、オフィスマーケットに対する懸念のある中で着実に内部成長は継続をしています。
続いて下段、テナント入替の状況です。2020年11月期はわずかに進捗した程度ですが、2021年5月期は順調に入替が進んでおり、期あたり4,020万円の賃料増額を実現しています。まだ約2,400坪のリーシング面積がありますが、賃料ギャップは14パーセントあり、コロナ対応でダウンタイム対応枠を設けていることから内部成長の積み増しを目指してまいります。
また右側はマーケット賃料と成約賃料の差異を表す成約ギャップの推移です。コロナ前と比較し賃料水準は落ち着いてきているためギャップは縮まっているものの、2021年5月期はマーケット賃料を上回る水準で成約しており、アクティビアの東京オフィスの賃料は引き続き好調に推移をしています。
AAオフィスの改定入替動向 ~入替は過去最高を記録、改定は21年5月期以降で進捗~
続いてアクティビア・アカウントのオフィスです。2020年11月期の賃料改定はコロナ禍で交渉が満足に行えず、対象面積2,313坪に対し増額改定は254坪、改定率は11パーセントにとどまりました。しかし、2021年5月期は891坪、2021年11月期は270坪で増額改定が進んでおり、賃料ギャップの大きい大阪のオフィスを中心に内部成長を継続していきます。
下段ではテナント入替の状況をお示ししています。2020年11月期は梅田ゲートタワーでの入替の効果で平均増額率30.5パーセント、期当たり3,010万円の賃料増額を行うことができました。右上のグラフではオフィス全体の内部成長におけるアクティビア・アカウントのオフィスの占有率をお示ししております。
2020年11月期では占有率35パーセントとなり、アクティビア・アカウントのオフィスの存在感が増加しているという状況です。また、右下では成約ギャップの推移をお示ししておりますが、東京オフィスと同様にアクティビア・アカウントのオフィスについてもマーケット賃料を上回る賃料水準で成約をしております。
入替の状況 ~アフターコロナにおいても“テナントから選ばれ続ける”APIのオフィスにおいて新陳代謝が加速~
14ページでは、テナント入替の状況についてさらに詳しくご説明させていただきます。上段1では、直近で入退去があったテナントに関して、入退去の理由やテナント業種の分析を行っています。
入居における評価ポイントについては立地・エリアがトップとなり、アクティビアのオフィスの特徴である立地のよさをテナントにもあらためて認めていただいた結果だと考えております。また、右側のパイチャートでは入居テナントの業種を分類しております。特定の業種への偏りは見られないものの、コンサル等のサービス業に続き、業績が好調の業種であるIT・不動産が上位となっております。
続いて、右側は退去テナントの分析です。退去理由のうち、リモートワークは限定的でコスト削減や集約移転が主な理由になっています。業種別では、コロナ影響による業績不振が要因で広告・人材といったサービス業が最も多くなっていますが、広域渋谷圏の象徴でもあるIT企業の帯域は17パーセント程度となっています。
続いて、下段の左側では個別物件の入替事例を紹介いたします。A-PLACE恵比寿南では1,000坪弱のリーシングが発生しましたが、エリア内の需要により賃料増額率プラス26パーセント、ダウンタイム1.1ヶ月という好条件で全区画のリーシングを行うことができました。
梅田ゲートタワーでも梅田エリアの希少な大型物件という競争力を活かし、賃料増額率プラス33パーセント、ダウンタイム1.0ヶ月での入替を実現しました。リーシング中の2区画についても増額入替を目指します。
商業テナントの状況 ~アフターコロナを見据えたテナントの動きが顕在化~
16、17ページは商業テナントについてです。まず、東急プラザ表参道原宿とデックス東京ビーチの運営状況です。全体の売上は両施設ともに前年比で6割程度の回復となっています。中には集客力や商品力の違いから継続的に前年を超える売上を計上しているテナントもあり、インバウンド以外の人出はかなり戻ってきている印象もあります。しかし、コロナ前のような施設間の回遊性が十分でないことが、売上が伸び悩んでいる一因であると考えております。
右側では賃料増額事例をご紹介します。EDGE心斎橋において既存テナントとの定借満了に伴い、新テナントと賃料を57パーセント増額させる契約を2020年11月期に締結いたしました。御堂筋沿いでは、大丸本店のリニューアルを皮切りに国内最大となるルイヴィトン、パルコが新規開業するなど、エリアのブランド力および注目度が高まっている状況でした。
そのような中、ブランディングのためのショールームニーズがあった新テナントから、視認性の高さや200坪を超える大型区画であることなどが高く評価され、今回のテナント入替に至りました。また、本入替を通じ、本物件の鑑定評価額は前期末から13億円増額となっており、NAVの向上にもつながっております。下段は東京オフィスの飲食区画の事例です。
こちらはコロナ禍最中での改定となりましたが、駅前立地でテナントからの評価が高かったこと、前回改定時に定借切り替えを行い今回も段階賃料を提案するなど、積極的なアプローチが奏功した結果、20パーセントの賃料増額を実現いたしました。今後も好立地、特に路面店については増額入替による内部成長を追求してまいります。
ホテルの運営状況 ~定常化までには時間を要すも、アフターコロナにおける需要回復・成長に期待~
続いてホテルの運営状況です。各ホテルの運営状況、見通しを中段に記載しております。赤坂と札幌は回復の動きが弱く、赤坂は国際的なイベントや出張等のビジネス需要の回復。札幌は感染拡大沈静化後の国内観光客の増加に期待します。
また、神戸は県内等からの小旅行需要の効果もあり、足もとではADRが前年を大きく上回るなど高い競争力を背景に回復が顕著です。なお、賃料一時減額については3ホテルすべてにおいて対応済みであり、決算または業績予想に織り込み済みとなっております。
続いて、右側中段の歩合賃料についてご説明いたします。2020年11月期は売上基準期間の後半でこの新型コロナ影響があったものの、赤坂・札幌の2ホテルの合計で1億8,560万円の歩合賃料を計上しましたが、2021年5月期以降については歩合が発生しない前提としております。
最後に、各ホテルとの契約状況をお示ししております。本年10月に現契約が満了する赤坂については再契約の締結に向けて東急ホテルズと交渉中です。なお、当該テナントは賃貸面積上位10テナントに該当するため、再契約締結後には個別開示させていただく予定です。
資産入替戦略の継続 ~基本的な考え方に変更はない~
18、19ページは外部成長です。外部成長戦略については基本的な考え方に変更はなく、引き続きポートフォリオ・クオリティの向上を目指した資産入替を基本方針といたします。売却対象については特定のカテゴリーを前提とせずに、収支性・築年・競争力の3つの観点から物件を選択します。取得対象については、内部成長機会の拡大の観点から広域渋谷圏および品川・五反田エリアを軸として山手線の南側エリアのオフィスに厳選投資を実施してまいります。
スポンサーサポートの活用 ~これまでの取り組みを深化させた外部成長の実現を目指す~
続いて、19ページはスポンサーサポートについてご説明いたします。まずは左側の図をご覧ください。循環型再投資事業の領域拡大がスポンサーの成長戦略の1つであり、グループとして肝要アセットの拡大を掲げ、投資法人の外部成長をサポートしています。
アクティビアは上場以来取り組んできた、資金調達を行いスポンサー物件を取得する資金循環型モデルだけではなく、スポンサーとの資産入替を通じた物件循環型モデルに領域を拡大しています。
アクティビアでは運用報酬体系を運用成績・連動比率を高めるかたちに変更しており、資産入替によるポートフォリオ・クオリティの維持向上はスポンサーグループにおいても重要性を増しています。
この取り組みの進化によりアクティビアは今後もマーケット環境に応じた外部成長を継続し、投資主価値向上を実現してまいります。また、右側ではスポンサーサポートの活用状況をお示ししています。アクティビアは物件取得・サポートを始め、多岐にわたってスポンサーサポートを活用してまいりました。
今後も投資口保有や物件共有による投資主や運用成績連動の運用報酬体系を通じてガバナンス体制の整備・充実を図るとともに、スポンサーサポートを最大限活用し、投資主価値の最大化を目指します。
堅実な財務運営 〜LTVマネジメントと継続的なデットコストの低減~
20、21ページは財務の状況についてです。まず、LTVですが、2020年11月期末時点の実績は前期と同じ46.5パーセント、鑑定LTVでは39.0パーセントとなりました。想定レンジの上限であるLTV50パーセントまでの取得余力は366億円、JCRの格付はAAと安定的であり、日銀の買入対象銘柄となっております。
続いて下段をご覧ください。引き続き平均残存年数を4.5年程度で維持しながら平均金利の引き下げに取り組んでおり、本日時点では平均残存年数は4.5年、平均金利は0.53パーセントとなっております。
強固な財務基盤 ~調達先の分散とバランスの取れたマチュリティラダー~
続いて、21ページは2020年11月期以降における借換え等の実績についてでございます。昨年12月および本年1月の借換えが寄与し、平均残存年数の長期化と平均金利の引き下げの両立を行いました。右側は借入先の一覧です。
現在18社さまから総額2,444億円の借入を行っており、盤石なバンクフォーメーションのもと引き続き円滑なコミュニケーションを通じ、安定的な財務運営を継続してまいる所存でございます。
最後にマチュリティラダーです。返済時期によって返済金額に偏りが出ないようにしているのはもちろんのこと、機動的に対応するため主力3行との間に210億円コミットメントラインを設定しております。
ESGの取り組み ~Environment~
22ページから25ページまではESGについてです。まずESGのE、環境関連の取り組みをご紹介いたします。2014年より参加しておりますGRESBについては昨年11月に最新の調査の結果が発表され、総合スコア評価では3年連続で最上位の5つ星、開示評価でも3年連続で最上位のAランクを獲得することができました。
また個別物件においては積極的に環境認証評価取得を試みており、2020年11月期末時点においては前期から2物件増の28件、延床面積ベースでは3分の2において認証を取得しております。また物件運用においては、環境管理システムにおけるPDCAサイクルを実践することでさらなるパフォーマンス改善を目指していきます。
ESGの取り組み ~Social〜
続いて23ページはESGのS、ソーシャルについてです。「1」では地域社会に関連して、資産運用会社において昨年12月初めて実施いたしました、企業版ふるさと納税の活用をご紹介しております。寄付先としてA-FLAG札幌が所在する北海道における医療従事者等応援事業を選択いたしました。地域社会の一員として今後も地域コミュニティとの関係強化を図ってまいります。
「3」では投資家に関連して、2020年11月期中に参加した証券会社主催のパネルディスカッションをご紹介しております。物件運営においても難しい対応に追われる状況でしたが、そのような不透明なマーケット環境だからこそ投資家の懸念や不安を払拭することが使命だと考えてまして、積極的な情報発信・情報開示に努めました。
ESGの取り組み ~Governance~
続いてESGのG、ガバナンスについてです。左側「1」では、昨年8月に実施した運用会社の組織変更をご紹介しております。管理部門の体制強化を図ることを目的として、経営管理本部を新設したことに加え、人事企画部を新設し、人事機能ならびにIT分野の強化を行いました。資産運用の高度化により、今後もガバナンス強化に努めてまいります。
ESGの取り組み ~物件クオリティを支える満足度向上のためのテナント調査(2020年6~7月実施)~
25ページは昨年6月に実施したオフィスのテナント調査についてです。アクティビアではテナント満足度の向上が物件価値向上につながるという考えのもと、2012年の新規上場以降定期的にテナントアンケートを実施しております。
水回りや清掃関連の改善要望が多かったという前回調査を踏まえ、ハード面の改善や清掃員向け勉強会の実施などソフト面でも改善に努めた結果、今回調査では満足度スコアを大きく伸ばすことができました。
また項目別評価ではすべてにおいて数値改善が確認されるなど、満遍なく全体的な底上げが図られていると考えております。ハード面については、環境負荷軽減を伴う工事も組み合わせながら今後も改善を積み重ねテナント満足度、ひいては物件クオリティの向上を目指してまいります。
投資主の状況 ~2020年11月期(第18期)末時点~
最後に26ページは当期末時点の投資主さまの状況です。投資主数は個人・その他が減少した結果、前期から216名減の7,542名さまとなりました。上場から8年半が経過しましたが、多くのみなさまによって支えられ、今回の決算も無事に終了することができました。これもみなさまの変わらぬご支援のおかげと考えております。
新型コロナウイルス感染症の状況についても再度緊急事態宣言が発出され、先行きが不透明な状況が継続しております。アクティビアはアフターコロナを見据え、オフィスの内部成長に積極的に取り組み、早期に成長軌道へ回帰し、持続的な投資主価値の向上に努めてまいります。以上、私からの説明とさせていただきます。最後までご覧いただきまして誠にありがとうございました。