サムスンディスプレー、ノートPC用有機ELを拡充

90Hz品の量産開始へ

サムスンディスプレーは有機ELの大画面化に取り組む

 韓国のサムスンディスプレー(SDC)は2021年、ノートPC用有機ELディスプレーの拡大に力を入れる。サイズラインアップを多様化して10種類以上を商品化する予定で、ノートPC用有機ELの販売量を前年比で5倍以上に拡大する考え。この1つとして、3月から世界で初めてリフレッシュレート90Hzを実現したラップトップ用パネルの量産を開始する。

サイズラインアップを多様化

 SDC(サムスン電子のディスプレイパネル事業)は売上高の8割以上を有機ELが占めているが、現在はそのほとんどがスマートフォン向けの5~7インチパネルだ。

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 SDCは19年にUHD、20年にQHDとFHDのノートPC用をリリースしたのに続き、21年は13.3~16インチまでラインアップを多様化する。20年末に初披露したFHD 13.3インチに続いて、2月からFHD 15.6インチの生産も開始し、巣ごもり需要やハイスペック需要の増加に対応していく。

 有機ELは液晶に比べて薄く軽いため、スリムベゼルや多様なデザインを実現しやすい。DCI-P3規格を100%満たす広い色域、0.0005ニット以下の深い闇を表現できる画質(コントラスト比100万対1以上)、液晶に比べ10倍以上の高速応答を特徴とする。

90Hz駆動に高速化

 その特徴を生かすため、3月からリフレッシュレート90Hzの14インチを大量生産する。従来は60Hzだった。高速で走る自動車の同じ動画を用いて90Hz有機ELと120Hz液晶をSDCがテストした結果によると、ブラー(被写体ぶれ)の長さはそれぞれ0.9mmと1.0mmとなり、90Hz有機ELは120Hz液晶と実質的に同じ速度で動くと説明している。

アップルも22年から採用か

 SDCは米アップルのiPhoneに有機ELを供給していることで知られる。アップルはiPadの21年モデルにミニLEDバックライト搭載液晶を搭載するとみられているが、22~23年にはiPadやMacbookの一部モデルに有機ELを採用する可能性が高まっている。

 SDCは「多数のグローバルIT企業がリフレッシュレート90Hzの超クールな有機ELノートPCを今年発売する予定」と述べており、ノートPC用の拡充は新たなパネルユーザーの開拓につながりそうだ。

 ちなみに、アップルはiPhoneの21年モデルにLTPO(低温多結晶酸化物)ベースの有機ELを採用する見通し。従来はLTPS(低温ポリシリコン)ベースだったが、LTPOの採用で省エネ化をさらに進める。このパネルはSDCとLGディスプレーが製造して供給する見通しだ。

電子デバイス産業新聞 編集長 津村 明宏

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執筆者
津村 明宏
  • 津村 明宏
  • 株式会社産業タイムズ社
  • 電子デバイス産業新聞 編集長

1995年3月に関西大学経済学部卒。1999年3月 ㈱産業タイムズ社に入社。電子デバイス業界の専門紙である電子デバイス産業新聞(旧・半導体産業新聞)の記者として、2007年より副編集長、2009年12月より編集長。