2020年11月20日に行われた、森永製菓株式会社2021年3月期第2四半期決算説明会の内容を書き起こしでお伝えします。
スピーカー:森永製菓株式会社 代表取締役社長 太田栄二郎 氏
【事業活動における対応状況】
太田栄二郎氏:太田でございます。本日は弊社の第2四半期の決算説明会ということですが、前回5月と同様に、こういう動画配信というかたちになりました。実際にみなさまの顔を拝見しながらお話をしたかったのですが、ご容赦いただきたいと思います。
まず、新型コロナウイルスの影響についてでございますが、半年前もお話ししましたとおり、弊社は食品製造業としてリスク管理対応を最優先としながら、生産、操業を止めることなく、物流も含めて商品の安定供給の維持に努めてまいりました。
これからも安心安全を第一として、この安定生産、供給をしっかり継続していきたいと思います。
また、「新しい働き方」への対応という点ですが、これも半年前にお話ししましたとおり、弊社はテレワークを3年前から本格導入しております。工場の操業員の方以外は全員が対象で、昨年、コロナの前ですが、対象者の7割以上の方が「この制度を使ったことがある」という実績でした。
今回、制度を見直して日数制限を取り払い、フル活用をOKにしました。また、インフラ環境の整備にも取り組んだこともあって、会社全体としてもスムーズにできたのかなと思っております。
今後は全社一律ではなく「各部門の最適な働き方は?」という問題提起をしております。いずれにしても、さまざまな働き方改革の取り組みをさらに加速させていきたいと思っております。
【国内における主なカテゴリーの影響】①
半年前も、冒頭でホットケーキとビスケットとココアの4月のSRIデータの前同比を出させていただきましたが、その後の推移を、まず前段説明させていただきます。
これは好調と言えるカテゴリー3つでございます。当社の出荷の売上高の前同比を月別にグラフにいたしました。
まず、ケーキミックスでございます。半年前、「ホットケーキの4月のSRIが300パーセントを超える」という異常値のお話をさせていただきましたが、巣ごもり、内職、手作り志向によって、特に第1四半期に大きく需要が膨れております。
この赤色のグラフを見ていただきますと、4月が150パーセント超え、5月から6月と180パーセント超えの出荷でございます。その後、落ち着いてはきておりますが、好調を継続しております。
下のSRIを見ていただきますと、第1四半期と第2四半期、上期の前同比が出ておりますが、第1四半期の異常値から第2四半期は安定して好調が続いていると言ってよいかと思います。
次にビスケットでございます。これは青色のグラフになりますが、4月から5月と巣ごもりで大変好調に推移しました。5月の当社のところが138パーセントということで、大幅増になっております。
ビスケットにつきましては、夏の8月から9月のところを見ていただきますと、積極的な店頭展開で好調を継続しております。下のSRIを見ていただいても、第1四半期、第2四半期と好調が続いていることが見て取れるかと思います。
それからココアでございます。ここも4月から5月と手作り志向、健康ニーズによって伸びておりますが、8月以降、鈍化傾向になっております。下のSRIを見ていただいても、第2四半期は前年割れとなっております。ただ、上期では増収、前年超えという推移でございます。
【国内における主なカテゴリーの影響】②
逆風の、苦戦をした2つのカテゴリーでございます。まずはキャンディで、赤色のグラフですが、「ハイチュウ」を中心にやはり人の動きが減ったということで、大変影響を受けております。
4月、5月、6月とグラフを見ていただきますと前年の80パーセントを超えない出荷ということで、7月の時点で8月の「ハイチュウの日」に向けての仕掛けを行い、9月にはラムネの新製品を発売するということで、この9月のグラフは2桁以上の出荷になりました。仕掛けの成果だと思います。
ただ下のSRIを見ていただきますと、キャンディは第1四半期、第2四半期ともほぼ同じ前同比ということです。仕掛けで出荷が伸びておりますが、まだまだベースのところ、店頭は厳しいことが見て取れると思います。
それから、ゼリー飲料でございます。やはりここはアクティブな場面、学校、オフィスで飲用シーンが非常に減りました。一番影響を受けたのが「inゼリー」でございます。青色のグラフですが、4月が前同の50パーセント、5月が46パーセントです。
取り扱いはほぼ変わらない、カットされた店はほぼないと言ってもよいと思いますが、その状態で売上が半減しました。まさしく緊急事態宣言中の出来事ということが言えると思います。
半年前にこのリカバリーということで、急きょ7月に免疫系の「シールド乳酸菌」の商品を発売。また、その時点では発表できませんでしたが、9月の企画商品、スライドあります嵐とのコラボの商品。
また、ブドウ糖のゼリーの全国展開ということで、結果、青のグラフを見ていただきますと7月が100パーセントを超えました。
9月については120パーセント超えということで、仕掛けが数字になっております。ただSRIを見ていただきますと、第2四半期は回復基調ではありますが、まだまだベースは戻っていないということが見て取れるかと思います。
【コロナ影響】期首想定と上期実績の比較
ここからはコロナの影響です。5月の説明の段階で、各部門のコロナの影響を半年前にご説明いたしました。トータル売上高で80億円、営業利益で25億円の影響見込みということでございました。
その上期の状況を右にコメントで書いております。詳細を見ていただきたいと思いますが、国内の菓子食品については先ほど来の説明にプラス、チョコレートが苦戦しておりまして、売上・利益ともに大きくマイナスになっております。
冷菓については、「どこまでがコロナの影響か」と言うのは難しいところがありますが、巣ごもり需要でマルチパックが好調に推移しております。
健康は先ほどお話ししたとおりでございます。また、国内事業会社、これも半年前にアントステラ、業務用の森永商事、森永市場開発、3社のご説明をさせていただきました。4月から5月のどん底からは回復基調でありますが、上期トータルでマイナスになっております。
海外につきましては計画より減収でしたが、前期比較では大きく増収をしております。また、利益面ではコスト削減もあってプラスになっております。
海外についてはあとで詳しく説明をさせていただきます。その他含めまして、上期の影響金額、「コロナの影響がどこまでか?」というのは厳格には難しいところはありますが、上期売上高で68億円、営業利益21億円で想定しております。
【コロナ影響】下期見込み
下期につきましては、5月の段階で「影響は主に上期、秋冬から収束に向かう」というご説明をさせていただきましたが、上期想定よりはプラスでしたが、下期に向けても影響は残る、続くと見ております。
これも各部門の説明を書いておりますので見ていただきたいのですが、やはり数字達成に向けて、特に真ん中の健康のところが鍵を握っていると思っております。
上期同様、さまざまな仕掛けでリカバリーをやってまいりますが、やはりベースのところ、エネルギーの部分ですが、下期中に完全には元に戻らないと見ております。以上がコロナの影響でございます。
【連結】業績 2021年3月期 第2四半期
第2四半期の実績でございます。売上高で1,010億9,000万円、前期比較で約59億円の減収、5月に発表した予想よりは23億9,000万円のプラスの実績でございました。
営業利益につきましては115億4,100万円、前期比較で約14億円の減益、5月の予想からは11億4,100万円のプラスでございます。この営業利益につきましては大変厳しい中ですが、利益率が11.4パーセントと、2桁、11パーセント台を確保することができました。
厳しい中ですが、ベースの力は着実に付いていると感じております。右側に第1四半期、第2四半期の比較、分解が出ておりますが、これを見ていただいて回復基調ということが言えると思います。
【連結】セグメント情報
次にセグメントです。当社の場合、食料品製造が96.7パーセントということで、やはり今回はコロナの中で菓子食品、健康の苦戦、海外が大変増収しました。また、冷菓の大きな増収と。この辺はあとで説明をさせていただきます。
【連結】食料品製造事業 売上高・営業利益の状況
食品製造事業の中身です。菓子食品、冷菓、健康、これはあとで個々に説明をさせていただきますが、ここでは国内、海外のところを見ていただきたいと思います。海外全体でも上期は108パーセントということで、海外の構成比が0.6ポイントアップという実績でございました。
【連結】営業利益増減要因
営業利益の増減要因です。赤が減益要素、青が増益要素でございます。トータル14億円の減益の中身ですが、やはり一番大きいのが売上高の減収約59億円です。
その影響で16億9,000万円。原材料につきましては、相場で約5億円弱かかっておりますが、為替、コストダウンで打ち返し、1億1,000万円のアップ。
生産コストの増加のところは、製造高が減ったこと、また償却費、労務費のアップもあって、6億6,000万円のアップです。高崎第3工場新設の影響で、2億7,000万円のアップ。
プロダクトミックスについては、「プリングルズ」がなくなりました。利益率が低いということもあって、「inゼリー」によるマイナスをカバーして、8億9,000万円のプラスです。
販売費につきましては、販促強化というよりはカテゴリーミックス、寄与率の高いビスケットの売上が上がって、寄与率の低いキャンディ、「ハイチュウ」の売上が下がっております。
それからチャネルミックス、コンビニエンスの売上が下がって、スーパーが上がっていると。そういう部分で、このカテゴリーミックス、チャネルミックスで、菓子を中心に5億9,000万円のアップです。
物流費もアップしておりますが、広告費は3月の前倒しも含めてコントロールしまして、プラス7億1,000万円。その他販管費では、通信、旅費交通費のコストを使わなかったということもあって、7億5,000万円のプラス。結果、115億4,000万円という実績でございます。
【連結】2021年3月期 業績予想
業績予想でございます。売上高については先ほど「想定よりはプラス」というご説明をしましたが、下期も一定程度、影響が残ると見ております。1,980億円という期首予想を修正しておりません。
また、営業利益につきましてもコロナの影響で25億円、減価償却費で約20億円という説明を5月の段階でさせていただきました。多少の前後はありますが、ほぼ想定どおりです。
販売費等の悪化もありますが、全社的なコスト削減で対応してまいります。営業利益の180億円、当期純利益の123億円は変更なしということで、業績予想を出させていただきます。
【連結】2021年3月期 通期 営業利益増減要因
年間の営業利益の増減要因でございます。これは上期の傾向とほぼ同じと見ていただいていいかと思います。売上高の減収が約109億円で、これへの影響で29億8,000万円。原材料については、相場で上がる部分をコストダウンで打ち返す計画です。
生産コストも上期同様、製造高減、償却費増が効いて11億2,000万円のアップ。高崎第3工場新設の影響で8億6,000万円のアップ。
プロダクトミックスにつきましては先ほどの上期同様、「プリングルズ」がなくなることによるプラスの影響が「inゼリー」の悪化をカバーして11億1,000万円のプラスです。
販売費につきましては先ほど上期のご説明をさせていただきましたが、下期もこの影響が続くと想定して見込みを出しております。広告費は、年間では9億9,000万円のコントロールでプラス。
その他販管費につきましては上記同様の部分と、前年に森永甲府フーズと森永スナック食品という2工場を閉鎖しました。その閉鎖に伴う管理費がなくなるということもあって、15億1,000万円のプラスです。結果、180億円という今予想になります。
【菓子食品】実績
各事業の状況と取り組みでございます。菓子食品につきましては、大幅な減収減益となりました。売上高につきましては、先ほど来の説明のとおりですが、やはりここでは「ハイチュウ」が前年の80パーセントを切ったということで、利益面でも大変大きな影響を与えております。
海外につきましては、増収と同時に、右にありますコスト削減もあって、利益面ではプラスの効果になっております。ただ営業利益では売上高の減収、先ほどご説明した変動販売費、物流コスト、償却費ということで、大幅な減益になりました。
【菓子食品】下期取組み:季節ニーズへの対応
下期に向けては、まだまだ外出・行楽需要は元には戻ってこないと見ております。家庭内の需要をどう取り込むかということで、特に菓子につきましては催事、イベント、左下に「お菓子の家を作ってみよう!」とありますが、クリスマスに向けての企画でございます。
この催事、イベントに、当社の菓子のラインナップをどう組み込んでいくかというのも、1つ大きなポイントになります。真ん中はココアの健康訴求で、ココアの展開。そして、受験シーズンのぶどう糖の入った「ラムネ」ですが、今回は河合塾とコラボして展開してまいります。
【菓子食品】部門横断のマーケティング対応
「部門横断のマーケティング対応」とありますが、もともと「シールド乳酸菌」については菓子のみでしたが、今回、冷菓、健康へと横展開をしてまいります。プラス、森永乳業がヨーグルトを中心に商品の展開をされます。森永グループとして一緒に店頭展開をして、盛り上げてまいります。
【冷菓】実績
冷菓でございます。大幅な増収増益ということで、冷菓の上期の市場全体はSRIで見ますと全体の104パーセントという実績でございます。その中で当社は117.8パーセントということで、大変大きくシェアを上げております。
売上高については、既存のジャンボグループ、「アイスボックス」、マルチが大変好調に推移しまして、プラス「板チョコアイス」を今回から通年化しました。これが丸々上乗せになって、117.8パーセントという大幅な増収を実現しております。
また、営業利益につきましてはすべての面で増益方向に動いておりまして、結果、11億8,600万円の増益。利益率も19.2パーセントまで来ました。
【冷菓】下期取組み:ジャンボグループ
冷菓の下期ですが、左側を見ていただくと、昨年の下期が市場平均より非常に大きく伸び、シェアを上げております。
この要因が左下にあります。「バニラモナカジャンボ」の真冬仕立て、冬限定の商品の店頭回転のグラフが出ておりますが、取り扱いも大きく上がって、下期、通期のSRIで売上は前年の173パーセントと、大変大きくシェアを上げて、競合も愕然としております。
今年は2年目ということで、少し厳しく見なきゃいけない部分はありますが、今期につきましては、右にあります「チョコモナカジャンボ」も冬限定、冬仕立てということで、2品で冬シーズンの需要喚起を行い、売上規模の拡大を狙ってまいります。
【冷菓】下期取組み:顕在化ニーズへのアプローチ
冷菓については、生活習慣の変化がプラスに動いてるのではないかと想定しております。「~しながらシーン」というのがありますが、夕食を自宅で取るということで、デザート的にアイスクリームが使われているということもあるかと思います。
当社のラインナップを見ていただきますと、デザート系と言いますか、菓子素材との組み合わせがメインのラインナップになります。もともと冷菓は、秋冬の分母をいかに上げるかというのが課題でした。
実は昨年のSRIで見ますと、4月から9月の上期、10月から3月の下期は当社が61対39です。市場の全体が65対35ということで、市場平均より4ポイント程度、下期のウェイトが上がっております。
冷菓はもともと「6対4を目指す」ということを数年前から言っておりましたが、そこに近い線まで来ているということが言えるかと思います。
【健康】実績
健康です。これは大幅な減収減益と言ってよいかと思います。ただし、冒頭のグラフにもありましたように、4月から5月のどん底から回復基調で、この第1四半期、第2四半期を見ていただきますと、第2四半期の売上は増収に転じております。
利益がまだ若干減益ではございますが、利益率も大幅にアップし、改善してきております。売上高の変動要因は、先ほど来の説明ですが、ここでは通販の部分の「おいしいコラーゲンドリンク」が定期の顧客を着実に増やしていっておりまして、非常に好調に推移いたしました。
利益の要因では、売上高の減収の影響、そしてプロダクトミックスは先ほどもお話ししました、ベースのエネルギー、ビタミン、ここの構成比が下がってきております。この影響も大きくなっておりまして、大幅な減益ということになりました。
【健康】下期取組み:inゼリー
下期の「inゼリー」でございますが、まだまだWithコロナということで、学校、オフィス、スポーツ、いわゆるアクティブな場面は元には戻らないと見ております。ベースのエネルギーの苦戦は続くと思います。
その上で、上期同様にリカバリー対応に注力してまいります。左が嵐とブランドのコラボですが、今第2弾を展開中ですし、真ん中の免疫系の「シールド乳酸菌」、ブドウ糖、プロテインと、この顕在化ニーズへの対応をしっかり店頭展開してまいります。
右側はまだここでは発表できませんが、伸びているチャネルです。具体的には、ドラッグ向けの商品を今計画しております。
上に「ニューノーマルを見据えた戦略策定」とありますが、飲用シーンをどうやって開拓、提案していくかということが大きなポイントになるかと思います。下期は利益確保に向けて大変重要な部分だと思っております。
【健康】下期取組み:伸長市場に向けて
それからもう1つ、健康では今たんぱく質ニーズが非常に増えておりまして、増えた上で競争環境も大変厳しくなっております。
9月にプロテインの吸収を高める「Eルチン」配合の商品を発売いたしました。エビデンスに基づく機能性の付加ということが言えると思います。その下は、左がキャラメル味、右がラムネ味ですが、「飲みやすさ」「おいしさ」「話題性」という展開。
右側がプロテインのゼリーと「inバー」。「inバー」につきましては、20グラムのプロテインのバーを12月に発売してまいります。利便性プラス高機能の展開を強化してまいります。
また、下の「プロテインサーバー」も展開の加速をさせていきたいと思います。右の通販・ECですが、先ほどコラーゲンドリンクの109パーセントのお話をさせていただきましたが、青汁も今好調に推移しておりまして、着実にお客さまを増やすことができております。テレビ・ラジオ・Web、この広告をさらに強化してまいります。
また、Amazonを中心にECとの親和性の高いプロテイン、あるいは健康・ウェルネスブランドへの展開強化もしっかり取り組んでまいります。
【海外】第2四半期累計実績、通期予想
海外でございます。コロナの中、大変好調に推移しておりまして、アメリカが今年間の業績予想で73億円と、前年の115パーセントです。
海外合計でも2桁増という、今予想でございます。海外の構成比はプラス0.9ポイントの6.2パーセントの見込みでございます。
【海外】米国ハイチュウ:シェア
アメリカの「ハイチュウ」ですが、非常に着実にシェアを上げております。1つは人口増加もありますが、キャンディ市場が3パーセントという成長率で、左に出ておりますが、着実に伸びていると。
競合大手のシェアは横ばい、あるいは微減ですが、その中で「ハイチュウ」のシェアが上がってきております。昨年度で0.8パーセント弱のシェアが、今年度は1パーセントに到達できると思っております。
【海外】米国ハイチュウ:実績
今年度の状況のグラフですが、これは米系チャネルの月別の前同比で、1月から6月の数字です。4月は若干落ちておりますが、市場全体でも102パーセントと堅調に推移しております。
その中で、「ハイチュウ」が140パーセント。下のコメントにありますが、取り扱いが130パーセント程度伸びております。また、SKUを増やすことによって大きく売上を伸ばしております。
店頭回転も、全体では108パーセントという報告を受けております。コロナ禍でも消費者の評価の高さというのを実感した今年の推移であります。
【海外】米国ハイチュウ:継続的な取組み
米国の「ハイチュウ」につきましては、認知度はまだまだ低い状態です。この1年で上がってきておりますが、まだ半分です。競合の大手は90パーセント以上の認知度ということで、まだまだ余地があると思っております。
SKUの数も今年度は27品という報告を受けておりますが、これも大手に比べますと3分の1以下でございます。先ほど取り扱いが130パーセント、店頭回転が108パーセントというお話をさせていただきました。
今期73億円という見込みでございますが、まだ認知度が半分、SKUの数も大手の3分の1以下と、取り扱いの拡大の余地も大きいと思っております。前にもお話ししましたが、当面の目標の100億円は通過点と見ております。
【サステナブル対応】取組体制の強化
サステナブル対応推進でございます。今年の7月にサステナブルの経営推進チームを発足いたしました。ESGマネジメント、情報開示の推進、SDGs達成に向けた貢献をしっかりやっていきたいと思っております。
10月末にリリースしましたが、今回下にあります、カカオ豆、パーム油、紙について中期の目標を策定しております。
【サステナブル対応】継続的な活動・新たな試み
サステナブル対応という意味では、継続的な活動で、「1チョコ for 1スマイル」のキャンペーンがあります。
2008年から、カカオの生産国の子どもたちへの支援活動を継続しておりまして、もともと菓子のみでしたが、今回冷菓の「板チョコアイス」、そして食品のココアに拡大しております。
櫻井翔さんがメッセンジャーとなって訴求しております。1個1円ですが、累計で2億円以上の支援を実施しております。
それから下に、新たな試みとしまして日本初IoT活用のスマートゴミ箱の運用が開始しております。10月に表参道34ヶ所に、キョロちゃんをあしらったゴミ箱が設置されております。
IoTで、満杯状態になると自動で圧縮をしたり、あるいは収集活動の作業の効率化もしっかりやり、また環境美化も推進するということで大変話題になって、マスコミにも数多く取り上げられました。
【成長し続ける永続企業に向けて】
最後に、「成長し続ける永続企業」ということでございますが、スライドに「経営トップの想い」とあります。
昨年6月、私が社長に就任したファーストメッセージで社内に向けて話したことで、左に絵があります。昨年3月、社長内定のあとに、「企業にとって、森永製菓にとって大事なことは、大切にしなければならないことはなんだろう」と、いろいろと考えてみました。
もちろん、すべてのステークホルダーのみなさまに価値を提供し続けて、満足いただくこと。それには、利益を出し続けていくこと。また、社会貢献をしていくこと。
いろいろあるかと思いますが、当社は昨年120周年を迎え、これまでの長い歴史の中でたくさんの危機がありました。それを乗り越えてきた、この「永続性」ではないかと考えました。
120年続いてきて今後の保証はないわけで、そこに「Going Concern」という言葉を使いましたが、多少の浮き沈みがあっても永続的に発展していく。一つひとつ、積み重ねていく経営を目指したいと考えます。
もちろん、成長し続けないと永続もないわけです。そして永続に必須なのが、その下の「創業の精神」、なによりも「顧客視点」「ダイバーシティ」、そして根底にあるのが「全員経営」です。社員とともに成長し続ける企業を目指していきたいと思います。
昨年、このメッセージを発信して、従業員のみなさまに将来の森永製菓の存在意義、ありたい姿、大切にしたい創業の精神の意見募集をしました。約1,000近い意見をいただきました。私の想いと、従業員のみなさまの想い、これを掛け合わせて新企業理念を策定しようとしております。
それは、1つにはパーパス、存在意義であり、使命と言ってよいかと思います。それから、ここにあります「目指す未来」としてのビジョン、「大切にする想い」のバリューです。その上で、2030年のビジョン、ありたい姿、いわゆる長期計画を策定してまいります。
これも昨年お話ししましたが、今まで、少なくとも2000年からこの20年、中計の3年のみで、その先は語ってこなかったわけです。厳しい時代が続いて、目先の改善、改革に邁進しておりました。
年間20億円から30億円の利益が、今200億円と、ステージが上がった今こそ、中長期のビジョンを作っていきたいというお話をしました。また、先ほどサステナブルの話をしましたが、2030年に向けてサステナブル経営も本格化していきます。いわゆるESGを企業戦略として取り組んでまいります。
2030ビジョンの達成に向けた1stステージとしての、2021中計の3年があるわけです。この企業理念から、2030年のありたい姿、そして2021中計について、来年5月に発表をさせていただきます。
以上、今期コロナ禍の中、上期は最悪想定よりはプラスでしたが、5月の段階で秋以降収束に向かうとお話しした部分がまだまだ影響が残る状況で、今期業績予想を5月発表の数字にいたしました。
今後、まだまだ読めないところはありますが、今お話ししたようなさまざまな取り組み、仕掛けで変化するニーズをしっかりとらえて、この営業利益180億円を最低確保してまいります。
また、同時に将来を見据えてのこと、今お話ししたプランをしっかり策定して、それを実行に移していきたいと思います。
いずれにしても成長し続ける企業を目指して、「全員経営」でやってまいります。みなさまには引き続きご支援のほど、よろしくお願いをいたします。以上でございます。本日は、ありがとうございました。