2020年10月に実施したビジネスパーソン1万人アンケート(第8回目)では、「投資」という言葉に対するイメージを聞いています。この設問は2010年の第1回から継続して聞いているもので、その変化は投資を「前向き」に評価するように動いていることがよくわかります。

投資を「ポジティブ」に捉える人が3分の1に

設問では、投資のイメージとして「前向き」、「楽しい」、「儲け」、「明るい」、「リスク」、「ギャンブル」、「損失」、「怖い」の8つの選択肢から選んでもらいます。それを、前者4つの選択肢を「ポジティブ」な評価、後者3つを「ネガティブ」な評価として括り、「ポジティブ」、「リスク」、「ネガティブ」の3つでみてみます。

下のグラフをみると、明らかに毎回「ポジティブ」の比率が増えていることがわかります。ちなみに、2010年の「ポジティブ」評価の比率は22.8%で、これが2020年には34.8%へと12ポイントも高まっています。

一方で、「ネガティブ」評価は30%前後で大きく変化しませんでしたが、「リスク」とみる人が50%超から34.6%へと低下しています。結果、この10年で3つの評価が「リスク」5割、「ネガティブ」3割、「ポジティブ」2割から、ちょうど3分の1ずつになったわけです。

投資は「儲け」よりも「前向き」のイメージ

さらに年代別に分析を進めると、最も「ポジティブ」なイメージの比率が高いのが25-29歳の若い世代で、その比率は43.7%に達しています。一番低いのが55-59歳で27.3%ですから、総じて若い人ほど投資に「ポジティブ」であることがわかります。

また、「ポジティブ」イメージ4つのなかで大きな比率を占める「前向き」が、毎年増加傾向にあることも注目できます。これを5歳刻みで分析すると、2010年と比べて、すべての年代で大きく増えていることがわかりました。

さらに、「儲け」のイメージはグラフにある通り、回答者全体では2010年の12.8%から2020年の13.0%へとほとんど変わっていないのですが、これも5歳刻みの年代に分けて分析すると、20代後半を除くすべての年代で2010年よりも低下していることもわかりました。

投資の「ポジティブ」イメージは、「儲け」よりも投資そのものを「前向き」に受け取る人が増えていることは、心強い限りです。

投資という言葉に対するイメージの変化 (単位:%)

出所:フィデリティ退職・投資教育研究所「サラリーマン1万人アンケート」(2010年、2013年、2015年、2016年、2018年、2019年)と「勤労者3万人アンケート」(2014年)、フィデリティ・インスティテュート 退職・投資教育研究所「ビジネスパーソン1万人アンケート」(2020年)

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合同会社フィンウェル研究所代表 野尻 哲史