老人ホームは、入居時にある程度まとまった費用を払っていたとしても、食事代や管理費などの月額利用料が必要となります。

入居前に資金計画をしっかり立てているご家庭がほとんどですが、それでも万が一支払いができなくなった場合はどうなるのでしょうか。

高齢者施設の勤務経験を持つ筆者は、「ご家族と連絡が取れなくなり、利用料も支払われていない」というケースに遭遇したことがあります。結局、ご家族が体調を崩されていたことが分かり、すぐに支払いも済まされたため、事なきを得たのですが。

このようなケースは、長引くコロナ禍で先の見通しが立ちにくい今、誰にでも起こり得ることです。今回は「老人ホームの費用」について、ちょっとお話していきたいと思います。

老人ホームの費用が払えなくなる理由

老人ホームの月額利用料が払えなくなる原因にはどんなものがあるでしょうか。

最も考えやすいのは、「年金以外で頼るつもりだったお金が減って(なくなって)しまった」というケース。俗っぽくいうと「当てが外れてしまった」ということですね。

具体的には

  • 持ち家を売却して入居費用に充てるつもりだったが、予想以上に安かった。売却が上手く進まない。
  • 子どもにお金の援助をしてもらっていたが、頼れなくなってしまった。

といったことがよく挙げられています。

また、病気が進行し、当初の予想を超えた介護が必要となってしまい、月々の支払いが高額になってしまった、いうケースも。

コロナ禍で医療体制はまさに危機に直面しています。景気の見通しも立ちにくい今、介護業界の動きや公的支援の内容も、今後変化していく可能性は大いにあります。

また、親を支える子どもの側も、雇用や収入面で影響を受けている人が多いでしょう。よって、老人ホームの費用が払えなくなる、ということは、どこの家庭にも起こり得るリスクと考えられます。