私たちは普段の生活の中で、無意識のうちに損をする、もしくは得にならない行動をとっているものです。それには人間の心理が関係していますが、私たちは自分の心理を客観的に見ることができません。
そこで今回は、知らず知らずのうちに損をしているということをなくすため、行動経済学の理論を活かしたヒントを紹介したいと思います。
利益よりも損失回避を重視してしまう「プロスペクト理論」
たとえば、5本の当たりくじと5本のはずれくじが入った10本のくじを1本引きます。当たりが出たら10万円もらえますが、はずれが出たら5万円を渡さなければならず、くじを引かなければ2万円もらえるとしたらどうしますか?
多くの人がくじを引かないという選択をするのではないでしょうか。当たりもはずれも50%の確率で、当たれば、はずれのときに失う金額の2倍の金額をもらえます。しかし、利益を得られるチャンスがあるにもかかわらず、多くの人が損をしたくないという気持ちでくじを引かないのです。
また、買い物をするとき、「xxすると5倍おトク!」と言われるより、「yyしないと2倍損をする!」と言われる方が印象に残るのではないでしょうか。
こうした「損失」を嫌う人間の心理を利用して、企業はさまざまなマーケティング戦略を練るのです。トクするよりも損をしたくないという気持ちが先行してしまう、そんな心理を利用したアピール方法というわけです。
人間は、こんなタイプのアピールに弱いのだということを自覚しておくだけで、少し賢い買い物ができそうに感じませんか?