相続した実家を放置したらどうなってしまうのか?

では、それでも空き家を放置し続けた場合、どのような流れで6倍の固定資産税が請求されるに至るのでしょうか?

まず、自治体は空き家の調査をして、1年を通じて誰も住んでいない上に、ガスや水道すらも使用されていない物件を特定します。そして、自治体はこうした物件を「特定空き家」として認定します。

その後、自治体は空き家の所有者に対し、「空き家をしっかり管理してください」という指導をします。しかし、所有者がこの指導に従わなかった場合、住宅用地の特例が外されて、固定資産税が6倍になってしまいます。

さらに、自治体からの指導を一切無視して廃墟となった空き家をずっと放置してしまうと、最悪のケースでは行政代執行(注2)がなされ、行政が空き家を解体処分するという状況になってしまうこともあります。

その解体にかかった費用は所有者に対して請求されることになりますので、行政からの指導を無視することだけは絶対に避けるようにしましょう。

(注2)行政代執行とは:所有者に代わり、行政が適正管理に向けた取り組みを行うこと

無管理状態の特定空き家に指定されないためにやるべきこと

では、無管理状態の特定空き家に指定されないためにはどうしたら良いのでしょうか? そのためには、庭に生えてくる植栽を刈り取ったり、ポストに投函されているチラシを掃除したりするなど、物件の管理を定期的に行う必要があります。

もちろん、実家が自宅のそばにあって定期的に管理できれば良いのですが、実家が遠くて管理しきれない場合もあると思います。そのような場合は、空き家の管理サービスを提供している業者もありますので、そうしたサービスを活用してみるのも良いでしょう。

自治体によっては、倒壊の危険性がある古家の解体費用を補助してくれる場合もあります。また、解体後一定期間において固定資産税をそのまま6分の1にしてくれるという自治体もあります。

このように、自治体によって制度は異なってきますので、自分の自治体にはどのような制度があるか一度確認しておくことをお勧めします。

いずれにせよ、引き継いだ実家を空き家のまま放置することだけはやめておいた方が良いということです。

空いた実家を有効活用する5つのアイデア

最後に、空いた実家を相続した場合にどのような活用アイデアがあるのか、その5つのアイデアについて具体的に解説していきたいと思います。

①過度なリフォームはせず、そのまま賃貸に出す

1つ目のアイデアは、過度なリフォームはせず、そのまま空き家を賃貸に出すという方法です。

過度なリフォームをしてしまうと高額な費用がかかってしまう上、リフォームをしたからといって入居者が決まるとも限らないので、もしも私が実家を引き継いだとしてら、リフォームはせずにそのまま賃貸に出すと思います。

とはいえ、都心の戸建てであればリフォーム無しでもそこそこの家賃を取れると思いますが、地方の古家の場合は高い賃料を取れる可能性は低いといえます。

そのため、地方の古家の場合は壁紙の張り替えやクリーニングなどの最低限のリフォームだけを行い、相場よりちょっと低めの家賃で貸し出すのが良いでしょう。また、周りの物件と差別化ができるので、家具や家電に関してはそのまま残した状態で貸し出すのがお勧めです。

しかし、、そうはいっても実家が田舎にあるために借り手が見つからないというケースもあると思います。そのような場合はどうすれば良いのでしょうか?

②空き家をタダで貸し出す

どうしても入居者がつかない場合は、タダでも良いので誰かしらに空き家を貸し出してしまう方が良いでしょう。

なぜタダでも貸し出してしまった方が良いのかというと、空き家の状態を放置しておくと自治体から指導を受ける可能性がありますし、管理を業者に任せるにしてもそれなりの費用が発生してしまうからです。