株式市場では、ハロウィーンに株を買うとリターンを得られるというアノマリー(論理的に説明できない現象)があります。これは米国株式市場だけではなく、日本の株式市場でも有効なアノマリーなのでしょうか。足元の為替レートが円安傾向にある中、今後の日本株式市場をどのように見ているのか、注目ポイントを個人投資家向け投資メディアLongine(ロンジン)の泉田良輔・編集委員長に投信1編集部が伺いました。
――ハロウィーンに株を買えというのは有効な投資戦略なのでしょうか。
泉田良輔Longine編集委員長(以下、泉田):ハロウィーン、つまり10月に株を買うということだけでは、いつ利益を確定すればよいのかわかりにくいですよね。別のアノマリーとして、"Sell in May(5月に株を売れ)"があります。そこで、9月末の株価で購入して翌年の4月末の株価で売却したという前提で、1970年から2015年までの結果を日経平均とS&P500で検証してみました。
――なぜ9月末と4月末なのでしょうか。10月と5月ではないのでしょうか。
泉田:みんなが10月に買って5月に売れと言っているので、そこは少し前もって対応するということで9月末と4月末にしています。
――なるほど。結果はいかがだったのでしょうか。
泉田:ご興味があれば「“ハロウィーンに株を買え!”は本当か。1970年から2015年まで検証してみた」を見ていただければと思いますが、過去においては非常に高い確率で絶対パフォーマンスを得ることができています。
――では、日本株を今月に買って、2017年4月に売却すればよいのでしょうか。
泉田:そこまで素直に聞かれると回答に困るのですが、日本株に対して少しうがったを見方をすると、これまで日本銀行やGPIFが日本株を購入し続けてきたのに、日本株の上昇がそれほど強くないという疑問を持ちませんか。
――確かに。なぜ日本株は上昇しないのでしょうか。
泉田:まあ、コインの表と裏のようなものですが、日経平均をドル建てで見ると現時点の株価水準は2015年初夏のアベノミクス以降の高値に近い水準にあります。日本株はいったん下落して戻っていないという印象とは異なりますよね。つまり、日本株に投資をしている外国人投資家からすれば、今後日本株に長期的に成長ストーリーを描けなければ、いったん旦利益を確定してもよいと考えても不思議ではない水準と言えます。
――日本経済が成長するストーリーにはどのようなものがあるのでしょうか。
泉田:人口減少社会に突入している今、名目GDPをどのように拡大させていけるのかは悩ましいところだと思います。ただ、多くの人がそう思っているので、その先入観をまずは取り払わないと日本株全体を上昇基調にもっていくのは難しいですね。
――では、AIやロボットといった今後日本の経済をけん引できそうな投資テーマが良いのでしょうか。
泉田:投資テーマ自体を調査することは良いのですが、関連する企業が将来にかけて継続的に利益を上げ続けられるようなビジネスモデルを持っているかどうか見分けることが重要です。結局は個別株で判断するしかないですね。加えて指摘しておきたいのは、日本株全体は循環株であり、米国株のように継続的に上昇してきたわけではありません。したがって、ある程度の期間でトレーディングするというのが結果的に有効な投資戦略だったということには注意が必要でしょう。
――最後に、注目しているポイントがあれば教えてください。
泉田:具体的な銘柄については先ほどの記事を見ていただきたいのですが、エネルギーやコモディティ関連銘柄の株価の動きが顕著になってきているので、グローバル経済が今後どのような方向に向かうのかについていろいろと検討しています。もしかしたら日本株も上昇するきっかけをつかみかけているのではという期待もあります。
――本日はありがとうございました。
参考:いよいよハロウィーン―「ハロウィーンに株を買え」は本当か確かめてみた(投信1)
LIMO編集部