令和2年度(2020年)分の確定申告の受付が、もう少しで始まります。
2020年は新型コロナウイルスの感染拡大が始まった年。「予想以上に医療費がかかった」「医療機関の受診を控え、市販の薬で風邪を治した」という人も多かったはずです。
今回は、確定申告しないと受けられない「医療費控除」について、特に「薬にかかったお金」にフォーカスしてお話をしていきます。
確定申告で知っておきたい「医療費控除」のキホン
「病院に10万円も払ってないけど・・・」
「医療費控除」とは、1年間に支払った医療費(10万円以上)に応じて、所得金額からさしひかれる制度です。制度自体は知っているけど、「年間10万円もの病院代なんてかからないよ?」という人も多いはず。
…実は、直接病院に支払った費用以外にも、控除の対象となる費用は結構あるんです。
各種保険料の控除は勤務先の年末調整でも行えますが、医療費控除は自分で確定申告をしないと受けられません。次でもう少し詳しく触れていきますね。
医療費控除のキホン
医療費控除のしくみは、控除された金額がそのまま返ってくるのではありません。課税される所得を減らし、税金が安くなることで、お金が「戻ってくる」というイメージです。
では、国税庁の資料をもとに、どのくらいお得になるかをみていきましょう。
医療費控除額(最高200万円)は、こう計算する
医療費の控除額は、次の計算式に当てはめて算出します。
[1年間の医療費の合計額]-[保険金などで補てんされる金額(※1)]-10万円(※2)
- ※1 (例)生命保険契約などで支給される入院費給付金、健康保険などで支給される高額療養費・家族療養費・出産育児一時金など
- ※2 その年の総所得金額等が200万円未満の人は、総所得金額等の5%の金額
<要件>
- 自分自身と、生計を一にする配偶者やその他の親族のために支払った医療費であること。
- その年の1月1日から12月31日までの間に支払った医療費であること。
実際には、どのくらいお得なのか
では、実際に「どのくらい節税になるのか」は、みなさん気になるところでしょう。
所得税率は年収によって変化しますが、
年収500万円前後・医療費20万円・[保険金などによる補てんなし]の場合を例に挙げてみていくと、
医療費控除額は[20万円-0円-10万円=10万円]となります。
【所得税】
「年収500万前後」の所得税率は20%ですので、10万円課税所得が少なくなると、2万円所得税が安くなります。
※所得税は、給与支払い時に源泉徴収されているため、確定申告後に「還付」という形で2万円が返ってくることになります。
【住民税】
さらに、この医療費控除は住民税にも適用されますので、一般的な自治体の住民税率10%をかけると、同様に1万円住民税が安くなることになります。
よって、この場合は、所得税・住民税で、合わせて3万円分お得になるわけです。
参考:国税庁「No.2260 所得税の税率」