一方、定年間近の60代の負債の状況はどうなっているのでしょうか。
各世代の負債の状況を見ていきましょう。
- 全年齢階級の平均負債額・・・590万円
〈内訳〉
- ~29歳・・・710万円
- 30~39歳・・・1304万円
- 40~49歳・・・1275万円
- 50~59歳・・・770万円
- 60~69歳・・・208万円
- 70歳~・・・102万円
前述の貯蓄平均額と比較すると、49歳までの世代は負債が貯蓄を上回り、50代以降で、ようやく貯蓄が上回る結果となっています。
これは、若いうちに住宅を購入し、50代でローンを払い終える、あるいは退職金等で一括返済する世帯が多いことを示しています。
実際、59歳までの場合、負債の約9割以上が「住宅・土地のための負債」となっています。住宅ローンを残しておくと老後の負担になるので、定年までに返済したいという気持ちの現れかもしれません。
一方、60代は負債も少なく、平均貯蓄額と負債を相殺しても、資産として約2000万円が残る計算になります。老後に2000万円は、なんとか確保できそうです。
老後の貯金、本当はいくら必要か
では、老後の貯金は2000万円で本当に大丈夫なのでしょうか。
冒頭でも挙げた「老後2000万円問題」ですが、この問題の中身は、「老後は年金収入の他に生活費として2000万円不足する」というものです。
金融審議会の市場ワーキング・グループ報告書「高齢社会における資産形成・管理」に、この2000万円の根拠となるモデルケースが載っていますので、実際にどのように計算されたのか見ていきましょう。
モデルケースは夫65歳以上、妻60歳以上の夫婦のみの世帯です。この世帯の毎月の収支は、以下の通りです。
- 収入(おもに年金):約20万9198円
- 支出(おもに食費):約26万3718円
計算すると、毎月約5.5万円が赤字となります。
この赤字分を年間で計算し、老後が30年続いたと仮定して出た金額が下記です。
- 5.5万円×12ヶ月×30年=1980万円
この計算が、2000万円問題の根拠となっています。
この計算方法、実は、全ての人に当てはまるかと言えば、そうとも言い切れないのです。