退職後はのんびりできたらいいのですが、継続して就労を検討している方も多いと思います。公的年金だけでは心許ない、無職のままでいると国民健康保険料が負担になる等の理由もあるかもしれません。貯金も、介護が必要になった時や老人ホーム入所などを想定すると、簡単には手を付けられないのではないでしょうか。高齢者の就労も増えていますので「パート程度で働ければ」と考える方もいるかもしれません。

しかし年収は希望通りに得られるでしょうか。高齢者パートの時給や平均年収など、データをもとに見ていきましょう。

在職老齢年金について

老後も働くときに気になるのが「在職老齢年金制度」(※1)でしょう。在職老齢年金制度は、仕事を続けて厚生年金保険の被保険者となる場合、給料と年金の額によっては、年金の全部あるいは一部が支給停止となる制度ですが、2022年に基準額が引き上げられます。

現在は60歳から64歳までの人が月給(総報酬月額相当額と老齢厚生年金の基本月額の合計)28万円を超えて働くと、年金の全部または一部が支給停止となりますが、2022年4月からはこの基準が47万円に引き上げられ、65歳以上の人と同じ基準額となります。働く人にとって有利となる見込みです。

60代以降のパート就労の時給は?年収は?

60代以降のパート就労のデータを見る際に、まず、「短時間労働者(パートタイム労働者)」の定義を確認しておきましょう(※2)。パートタイム労働者とは、1週間の所定労働時間がフルタイム勤務者よりも短い働き方が該当します。つまり、この基準に該当すれば法令上はアルバイト・パート・契約・準社員・嘱託もすべて「パートタイム労働者」ということになります。

それでは、厚労省の「令和元年賃金構造基本統計調査」(2019年 ※3)から、パートタイム労働者のデータを見ていきましょう。