中国の大手テレビメーカーである康佳(コンカ)グループは、マイクロLEDディスプレーを搭載したスマートウオッチ「APHAEA」を世界で初めて開発した。発売時期や価格などの詳細はまだ明らかにしていない。
バッテリー寿命は35日間
ディスプレーのサイズは2インチで、マイクロLEDチップを低温ポリシリコン(LTPS)TFTで駆動する。LEDのチップサイズは30μm以下、画素ピッチは0.12μmで、傘下の半導体研究開発会社「重慶コンカオプトエレクトロニクス技術研究所」が開発した独自のHMT技術を用いて実現した。
画面の輝度は最大1500ニットに達し、色域はDCI-P3規格で147%、動作温度範囲は-30℃~+70℃を実現しているという。バッテリー寿命が35日間と、他のスマートウオッチよりも格段に長いことが最大の特徴だ。
マイクロLEDの研究開発に注力
コンカは2018年に光半導体分野に参入することを表明し、19年には重慶市の投資会社「重慶良山工業投資有限公司(Chongqing Liangshan Industrial Investment)」とオプトエレクトロニクスを研究する合弁会社として、重慶コンカオプトエレクトロニクス技術研究所を資本金20億元で設立した。
19年10月にマイクロLEDディスプレー製品のブランド「APHAEA」を立ち上げ、モジュールタイリング方式のマイクロLEDテレビ「Smart Wall」を発売すると発表し、4Kの118インチ、5Kの147インチ、6Kの177インチ、7Kの206インチ、8Kの236インチをラインアップ。20年には北米の家電市場に参入した。
また、マイクロLEDの量産に向けて、独アイクストロンにMOCVD装置「AIX G5 +」「AIX 2800G4-TM」を複数台発注したほか、プラズマ装置メーカーのサムコ㈱(京都市)からもエッチング装置やCVD装置を購入した。
スマートウオッチに続く製品化も視野に
このスマートウオッチの発表と同時に、開発中のマイクロLED製品も披露した。厚さ100μmのフレキシブル基板上に1.2μmピッチでLEDを実装したフレキシブルディスプレーや、0.49μmピッチの中型ディスプレー、放熱性の高いガラス基板を用いてピッチを0.375μmまで狭小化した小型ディスプレーなどを紹介した。
さらに、フリップチップCOB(Chip on Board)をタイリングしてコントラスト比2万対1以上の78~312インチを任意に実現できる大型ディスプレー技術や、ミニLEDと量子ドット材料を組み合わせた次世代LEDテレビなども紹介した。
電子デバイス産業新聞 編集長 津村 明宏