終業式や仕事納めを終え、そろそろ家族そろった年末年始が始まるという方も多いのではないでしょうか。今年は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響もあり、「今年は例年とは全く違うお正月を迎える」といった声も各所で耳にします。

しかし、その一方で「例年通り家族そろって団らんしたい」という遠方の家族からの帰省を催促の声もゼロではありません。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が流行している都市部に住む家族はそんな声に辟易しているといいます。

意識の低い義実家

都内に住むKさん。ご主人の実家は、東京から車で数時間の田舎町でお店を営んでいるそうです。都市部に比べ感染者数が少ない地区といわれていますが、最近では市内でも複数の感染者が発表されるなど、決して他人事というわけではない状況になってきている様子。

「コロナが始まった頃から義実家の様子は気にかけていたのですが、義母は『こっちは全然大丈夫だから』と毎回答えるのみ。とはいえ、お店にはいろんなお客さんが来るのでマスクは足りているかなどを確認すると『お義父さんはほとんどしないので減らない』という驚きの返事が。私からいっても全く聞き入れてもらえないので、夫から何度かマスクの着用や消毒などを促してもらったのですが、ピンとこないらしく…。」

緊急事態宣言の時から低い意識が感じ取れた義実家。今回の年末年始に関しても「何日にくる?」と例年通りの連絡が入りました。

「12月に入り、感染者数も増加してきているので今回はお互いのためにもやめたほうがいいと改めて義母に伝えました。しかし、その返事は『車でささっとくれば別に大丈夫でしょう』というなんともあっけらかんとしたもの。私としては、県外ナンバーの車が家の前に何日も止まっていることだけでも気が引けるというのに…。また、こちらからうつしてしまう心配もありますが、相変わらず友人と飲み歩いているという義父と数日過ごすというのにも抵抗がありました。とにかく、今回は嫌な顔をされようとキッパリ断らせてもらいました」

電話の向こうで明らかに不満そうな声を出していたという義両親。「お前の嫁さんは大げさな人だな」というようなことをご主人にもらしていたようですが、いくら嫌味をいわれても今回ばかりは譲れないとKさんは考えているそうです。

エッセンシャルワーカーの親族

また、人の数だけ違った職種、さまざまな持病や事情もあります。地方都市で看護師として働くSさんは、職場から「家族以外での4人以上の会食NG」を申し付けられているそう。にもかかわらず、都市部で働く弟夫婦は今回実家に帰省予定とのこと。「お義姉さんたちも会いましょうよ」なんて電話がかかってきたそうですが、もし気軽に交流してしまって自分が職場へ持ち込むことになったらと思うと、いくら「家族」といっても会う気にならないそうです。

「感染予防対策は全員がおこなうべきだとは思いますが、リスクの高い方とかかわる人が身内にいるのであれば、通常以上に気を使うべきでは。」Sさんはそんな風に思いながらも、楽観視する義兄弟にその思いを伝えられていないと語ってくれました。

「年末年始にやってほしいことがある」

また、感染してしまうことはもちろん怖いと思いつつも「それでも帰ってきてほしい理由がある」というシニア世代の本音も。

「息子が東京にいってしまい、普段は70歳を過ぎた夫婦で暮らしています。通常の生活は何とかなっていますが、実はいろんなところで問題が増えてきていて。銀行関係や各所の手続きなど、夫婦ではもう理解できず息子に頼りたいことが増えているんですよね。とはいえ、今年はコロナ一色で息子も帰省に難色を示しています。

今はやりの『テレビ電話』で教えるといわれましたが、直接横に来て書類を選んでほしいし、手続きにも付き添ってほしい。やっぱり直接会うのと会わないのでは、安心感が違うということを若い人はわからないんだなと思いました」

高齢の両親を思いやり帰省をしないという息子夫婦の気持ちは理解できるものの、日常に支障が出てきているご夫婦にとって、年末年始の長期休みはそれらを解決するチャンスです。

その機会を失うということは、万が一の感染よりも日々の暮らしの質を落とすことになってしまうのでは…と考えると、一概に「帰ってきてほしいというのは無神経だ」とも言い切れないのかもしれません。

気づけば丸1年。そろそろ会いたいという本音も

昨年の春から続くコロナ禍。2020年の帰省を最後に実家に帰れていないという方のお話もよく耳にします。この一年で出産した方などは「じいじばあばに会わせてあげられないまま1歳になってしまう」なんて切ない思いをしているかもしれません。

ただ、今年に関してはお互いを思いやり、医療現場のことを考え会わないという選択をする方も多数。「どうせ義実家に行きたくないから大げさにいってるんでしょ」なんて受け止められてしまっては悲しいものです。

世代や地域によっての感覚の違いはいつの時代もなかなかうまらないもの。とはいえ、今回のように家族だけでなく関わる人すべてを巻き込んでしまう場合は、その判断も慎重におこなうべきではないでしょうか。

長く続く新型コロナウイルス感染症(COVID-19)。来年のお正月は「義実家しんどかった」などと例年通り明るく愚痴を言い合える世の中になってほしいと、一日も早い収束を願ってやみません。

佐渡 六花