うんこ漢字ドリルの成功は、「万人受けすれば新たなビジネスチャンスを生みだす金のたまご」として受け止められ、斬新なドリルが次々に出版される流れを作り出しました。多数のドリルを手がけている学研でも、自社のロングセラー商品である「図鑑」を活用したマニアックかつオールカラーの漢字ドリルシリーズを2017年7月から出しています。
このように、ここ数年のドリルは単なる教材という立ち位置を離れ、子どもの嗜好に寄り添いつつ親や子から選ばれることを重要視する傾向が強まってきています。
作り手は大変だが子どもは選択肢が増えた
こうして、教育教材の世界もキャラクター要素が大きな位置を占めるようになりました。当たれば大きいオリジナルキャラクターを作る場合、問題を作るだけではなく、新たなキャラクターやその世界を丁寧に考える必要も出てきて出版社側の負担は増えます。
その一方で、子どもが勉強していて楽しくなるドリルがあれば、親はドリルのシリーズだけでなくキャラクター商品を購入してくれるメリットもあります。
今回の進研ゼミ小学講座と鬼滅の刃のコラボや、すみっコぐらしなどのキャラクター利用は、子どものやる気を引き出せるという意味で親としては魅力的な取り組みです。そして、うんこ漢字ドリルの成功は出版不況で苦しむ業界にとって新しいコンテンツを生む出す指針にもなったといえるでしょう。
【参考資料】
「進研ゼミ小学講座×鬼滅の刃キャンペーン」(株式会社ベネッセコーポレーション)
「すみっコぐらし学習ドリル」(主婦と生活社)
「累計800万部突破 『うんこドリルシリーズ』から小学生向けの英単語帳が新登場!」(文響社)
中山 まち子