上司を慕っているふりをして…
「ハラスメントが多い上司。怒鳴ったり、大きな音を立ててモノを置いたり、下ネタ的なことを女性社員に言ったり、飲み会では飲めない人にアルコールをすすめたり…あらゆるハラスメント基準に触れるんじゃないかという行為ばかりしている上司にシビレを切らして、同期と2人で対策を考えた」と話すのは、建材メーカーに勤める30代のDさんです。
「正面から『それ、ハラスメントですよ』って言って聞くような相手じゃなかったから、2人でめちゃくちゃ上司のことを慕っているふりをした。積極的に飲みに誘って3人で他愛ないことをトコトン話す。そうしているうちに上司もオレたち2人を信用してくれたらしく、態度が軟化してきた」と話します。
「その中で『〇〇さんのああいう行動って完全にハラスメントですよね~』と他部署の部長の例を出してみたり、『同期のある女性社員が最近セクハラめいた言動にドン引きしているらしい』と話題に出してみたりした」のだそう。
「まるで上司が一切ハラスメントをしていない人で、ハラスメント反対派であるかのようにふるまい続けることが大事だと思って『ハラスメントなんて論外ですよね~』『自分の上司がパワハラしまくるXさんじゃなくてよかったです~』と上司の前でひたすら話すうち、上司も洗脳されたかのように態度が変わっていった」と笑顔で教えてくれました。
たしかに自分を慕っている部下2人の前ではハラスメント的な行為をしにくいでしょう。「上司ももしかしたら、味方についてくれる部下がほしかったのかも」とDさん。部署が平和になり、今は安心して仕事ができているのだそうです。
おわりに
仕事をするなら、ハラハラしたりモヤモヤしたりというストレスを感じないでいられる職場であってほしいものです。今回話を聞いたのは結果的に策士ばかりでしたが、職場環境を整えるためにもある程度戦略を練り、仲間を募って行動するのも必要かもしれません。
大塚 ちえ