韓国のサムスン電子は、110インチのマイクロLEDテレビを韓国で先行販売すると発表した。サムスン電子は価格を明らかにしていないが、1億7000万ウォン(約1620万円)と報じられている。2021年1~3月期には全世界で販売を開始する予定だ。
寿命は最大10万時間
新製品は、LEDを約800万チップ実装し、解像度4Kを実現。液晶には必要だったバックライトとカラーフィルターを無くし、DCIとAdobeRGBで100%の色域を表現することができる。新開発のMicroAIプロセッサーを搭載して4K HDR(High Dynamic Range)コンテンツを提供し、明るく鮮やかでリアルな画質を実現する。
ベゼル(額縁)がほとんどなく、画面と本体の比率は99.99%で、高い没入感を得ることが可能。耐久性の高い無機材料で構成されているため、最大10万時間または10年以上の寿命がある。スマートテレビ機能としてマルチビュー機能を搭載しており、最大55インチの4分割画面で最大4つのコンテンツソースを同時に快適に視聴できる。
さらに、外部スピーカーなしで5.1チャンネルサウンドを提供するMajestic Sound Systemを組み込んでいるほか、Object Tracking Sound Pro機能では、画面上を移動するオブジェクトを識別し、アクションに追従して音を出せるため、飛行機が頭上を飛ぶ映像の場合はエンジンが頭上で轟音を立てているように感じるという。
今後はサイズラインアップを拡充
今回のテレビにはブランド名などが付いていない。同社は18年にタイリングで大画面を実現するモジュラー方式のマイクロLEDディスプレー「The Wall」を発表し、すでに業務用ディスプレーとして提供しているが、新製品はプレハブ方式であるため、箱から取り出してすぐに使える。今後はさらに小型のモデルを製造できるようにして、サイズラインアップを拡充していく考え。
サムスン電子は、20年1月に開催された家電見本市「CES」で年内に家庭用マイクロLEDテレビを市場投入する考えを表明した。その後は、製造プロセスの歩留まり向上や価格設定に問題があり、主要部品の生産を開始できていないと報じられ、「発売が21年に遅延するのでは」と見る向きが強かったが、韓国限定ではあるが20年内の発売にこぎつけた。サイズラインアップとしては、110インチのほかに、75インチ、88インチ、93インチをラインアップすると語っていた。
電子デバイス産業新聞 編集長 津村 明宏