トランプ政権は、来年1月15日までにイラクに駐留する米軍の規模を2500人にまで削減する方針だ。これまでイラクには3000人が駐留してきたが、米軍の規模縮小によって現地の治安情勢が悪化する恐れもある。
これまでのイラク情勢を見てくると、米国の影響力が低下すると、その政治的空白をイランが埋めようとすることは想像に難くない。しかし、懸念事項はそれだけではない。
依然としてISのテロ・襲撃が続くイラク
イラク・シリアで最大英国領土に匹敵する広大な領域を支配した、あのイスラム国(IS)の姿はもうない。しかし、ISによるテロや襲撃は依然としてイラク国内で小規模ながらも続いている。
要は、メディアで報じられなくなると、人々はあたかもその脅威や時代は終わったかのような錯覚に陥ってしまうのだ。
たとえば、米国のシンクタンク「the Washington Institute」の専門家がまとめた最新の統計によると、ISがイラクとシリアで犯行声明を出したテロ事件は10月に101件に上った。
事件は、イラクではモスルやキルクークなど北部が多かったが、首都バグダッドの北部や西部でもかなり確認されている。
ちなみに今年に入っての推移は、1月に88件、2月に93件、3月に101件、4月に151件、5月に193件、6月に87件、7月に115件、8月に139件、9月に99件となっている。