沢井製薬、豊富な品揃えと高い安定供給力により11年連続で好感が持てるジェネリックメーカーNo.1

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2020年12月5日にログミーFinance主催で行われた、第17回 個人投資家向けIRセミナー Zoom ウェビナーの第1部・沢井製薬株式会社の講演の内容を書き起こしでお伝えします。

スピーカー:沢井製薬株式会社 広報・IR室長 髙良恭志 氏
元ファンドマネージャー/元ディーラー 坂本慎太郎(Bコミ) 氏
フリーアナウンサー 八木ひとみ 氏

第17回 個人投資家向けIRセミナー

髙良恭志氏(以下、髙良):みなさま、こんにちは。本日は、沢井製薬の説明会にご参加いただきまして、誠にありがとうございます。沢井製薬の髙良です。オンラインで会社説明会を開催するのは、実は今日が初めてで、会社にとっても非常に記念すべき企画となっています。改めて、本日ご参加のみなさまには厚く御礼申し上げます。

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我々は大阪を地元とする会社なのですが、すべての方が当社をご存じというわけではないと思いますので、ぜひ今日は、長期的な視点で沢井製薬という会社をご覧いただくきっかけになれば幸いです。どうぞよろしくお願いします。

本日は、業界を取り巻く環境や、今後の戦略、またジェネリック医薬品がどのようにつくられているのかといった、お薬自体についてもご説明したいと思っています。そのため、細かい数字のお話というより、ジェネリック医薬品の使命や役割のようなところに視点に置いてお話ししたいと思っています。

会社概要

髙良:会社概要です。今年で創業91年、ジェネリックをつくって50年以上になるのですが、もともとは、創業の澤井範平と澤井乃よという夫婦が営んでいた澤井薬局がスタートでした。

ちなみにこの乃よさんは、日本で7番目の女性の薬剤師ということで、当時は、大阪商人の気質なのかわからないのですが、どこよりも早くお店を開けて、どこよりも遅く店を閉めるということで、大変地域の住民の方にとって喜ばれていたと聞いています。

その後、戦後の医薬品不足から、大衆医薬品メーカーに転身しまして、「国民皆保険制度」が導入され、それを受けて1965年に医療用医薬品メーカーになり、2003年に一部上場しているということになります。

このスライドにあるのが、新御堂筋沿いにある大阪の本社のビルなのですが、この壁の看板に小さく写っているのがテレビCMに起用している高橋英樹さんです。今から16年ほど前にジェネリックメーカーとして初めてテレビCMを放映しました。

当時まだ「ジェネリック」という言葉は知られていなかったのですが、そのような時代から啓発活動に取り組んできています。3年前にアメリカの会社を買収し現在に至ります。

売上は5年前に1,000億円を超えたのですが、日本にはジェネリックメーカーが200社くらいありまして、その中でも沢井製薬は売上、利益、シェアがともにNo.1で、営業利益率は14パーセントほどになっています。

企業理念

髙良:こちらは企業理念ということで、沢井製薬のすべての活動の根底にあるのは、この「なによりも患者さんのために」です。「できるだけ多くの患者さんの元に、真心をこめた高品質で高付加価値なジェネリック医薬品を安定供給し続けること」、これが我々の社会的な責任であり、医療の発展につながるものと信じて全社員が活動しています。

ビジネスモデル

髙良:こちらはビジネスモデルです。さまざまな観点から製品開発を行うお薬を決定し、品質や安定性を第一に選んだ原材料を調達して全国に展開する自社工場や協力工場で生産し、卸や販売会社を通じて業界No.1のブランド力を生かした営業力をもって、患者さんの元にお薬を届けるということで、患者さん自身の負担の軽減や、医療費の削減による持続可能な社会づくりに貢献していこうということです。

業績推移

髙良:業績推移のグラフです。ご覧のように、日本の政府によるジェネリック使用促進策の導入にあわせて、いち早く工場や増員に他社よりも早く取り組んだということで、急速に成長をし続けてきました。

一番左側の1963年当時のちょうど1億円だった売上が、50年経って1,000億円となりました。さらに5年をかけて現在は2,000億円の規模を狙う位置にいるという状況です。

それではここで簡単に、私たち沢井製薬がどのように社会と関わり、どんな事業活動を行っているのか、また、お薬が世の中に出るまでと、社会に寄り添う取組みについて、簡単に4分程度の動画でまとめていますので、ぜひそちらをご覧いただきたいと思います。

ここまでが当社の概要になります。

医薬品の分類

髙良:次に、ジェネリック医薬品というものはそもそもどういうお薬なのかについて、改めてご説明したいと思います。

医薬品は、医療用医薬品と一般用医薬品の2つに大きく分けることができます。病気や症状に合わせてお医者さんが処方して、薬剤師の先生が調剤するお薬、これが「医療用医薬品」です。一方で、風邪薬や胃腸薬といった薬局、それからドラッグストアでご自身が選んで購入できるお薬が「一般用医薬品」あるいは「OTC(Over The Counter)医薬品」と呼ばれます。

そして、この医療用医薬品のうち、新しい薬として国の承認を受けて発売され、一定期間特許で守られているものを「新薬」と呼び、その特許が切れたお薬を「長期収載品」もしくは「先発品」と呼びます。

この特許が切れたあとに、我々のような別の製薬企業が同じ有効成分を使って製造販売するお薬を「ジェネリック医薬品」「後発品」「後発医薬品」と呼んでいます。以上が医薬品の大きな分類になります。

ジェネリック医薬品とは

髙良:ジェネリック医薬品は、新薬と同じ有効成分を同じ量を使ってつくられています。例えば口から飲むと、胃や腸で吸収され、血液に乗って、病気の部分に運ばれて効果を発揮します。ジェネリックと新薬で血液中に吸収される速さと量が同じであれば、お薬の効き目や安全性は同じなのです。それを人を使った試験で確認した上で国が承認し、国が定めた品質基準を満たすお薬をお届けするということになります。

また、新薬と比べて、研究開発にかかる費用が少ないということが一番大きな理由なのですが、これでお薬代が安くなるということです。

ちなみに、ジェネリックという呼び方は薬の商品名ではなく一般名(ジェネリックネーム)で処方されるためで、世界共通の言い方になっています。

日本では、現在、ジェネリックで切り替えられるお薬のうち、80パーセント近くが切り替わっており、多くの人に選ばれているという現状があります。

新薬との違いは?

髙良:こちらは図にまとめたもので、簡単に説明しますと、同じ有効成分を使い、品質、効き目、安全性が同等である必要があります。しかしながら、薬の形や色、添加物は変えることができます。

医療費の増加

髙良:ここからは視点を変えて、我々の医薬品業界を取り巻く環境が今どうなっているのかについてご説明したいと思います。

まずは、医療費の増加ということで、こちらは国民医療費のグラフになります。先日も2018年度の概況が国から発表されましたが、医療機関などで保険診療の対象となる治療にかかった費用の総額、こちらは約43兆4,000億円ということで、前年度から3,239億円、0.8パーセント増えています。言うまでもなく、ご覧のように年々増加の一途をたどっているわけなのですが、こちらを年齢構成で見ると、ご存じのとおり、もう日本の総人口は減少に転じていると、少子高齢化と言われて久しいのですが、65歳以上の方が6割を占めている状況です。

65歳以上人口の推移

髙良:それでは、今から20年後、2040年はいったいどうなっているのか、想像していただきたいと思います。日本の総人口は、今よりも約1,400万人減るのですが、逆に65歳以上の人口はプラス6パーセント、約300万人増えると予想されています。これが2040年の日本の姿です。

ジェネリック医薬品の数量推移

髙良:医療費の伸びを抑える策の1つとして、政府は3年前の「骨太方針2017」で、今年の9月までに「ジェネリックの使用割合を80パーセントにする」という目標を掲げました。この目標達成に向けて年々拡大した結果、先日速報値が発表されたのですが、現在、約78.3パーセントまで使用率が達したということです。

今後の課題としては、ジェネリックの使用割合には地域差があるため、そちらを勘案しまして、都道府県ごとの目標設定も視野に入れ、新しく具体的な指標を検討することになりそうだと言われています。

薬価改定について

髙良:「薬価」について簡単にご説明します。薬価とは、医療用医薬品の公定価格のことです。病院や診療所で使われるお薬の価格は、我々のような製薬会社が「希望小売価格」のようなかたちで自由に決めているのではなく、保険適用される医薬品の価格は、すべて厚生労働大臣が決めています。この薬価は定期的に見直され、これを薬価改定と言います。

通常の薬価改定は、2年に1回、4月の診療報酬改定に合わせて行われるのですが、ここで決まった薬価は次の改定があるまでは変わらないのです。実際には、卸や販売会社から医療機関、それから薬局に販売された価格である市場実勢価格に合わせて薬価を引き下げるのが基本となっています。

日本では、ジェネリックの使用が進む一方で、医療費を抑えるという観点から、新薬を含むすべての全品目、約1万6,000品目のお薬を対象に薬価調査を行い、その結果に基づいて薬価を改定を行うことになっています。

直近では2018年の4月に改定があり、2019年10月には消費税率が上がりましたので、それに伴って改定しました。さらに2020年の4月に改定され、3年連続で改定があったのです。

現在は、「価格乖離が大きな品目」について、2021年の4月に改定を行うかどうかという議論が国で行われている状況になっています。

ちなみに、沢井製薬のお薬の薬価はさまざまで一番低い薬価のものは3.3円で、外用剤のクリームのようなものになります。最も高いものは抗がん剤で2万390円となっています。このように、3.3円のものから2万390円のものまでさまざまな薬価があり、平均単価が11円くらいになっています。コンビニやスーパーにあるようなお菓子と同じくらいの平均単価11円が積み上がって、2,000億円を目指していると、そんな状況です。

ということで、日本市場は薬価改定がありますので、販売単価の下落が当然起こりえますし、現在は新型コロナウイルスの影響でこの事業環境は厳しさを増しています。

今後ジェネリック医薬品が発売可能な市場

髙良:しかしながら、決して悲観しているわけではありません。すでに沢井製薬だけが販売しているお薬や、競合が少ない品目といった有望な新製品を多数販売しており、売上を増加させるための駒はまだまだあります。

グラフのとおり、現在、全医薬品市場は薬価換算で10.6兆円あります。そのうちジェネリック医薬品の市場は1.3兆円と言われており、今後5年間では約2.5兆円、10年間では足して4.2兆円の先発品の特許切れが想定されています。そのため、今後も国内のジェネリック医薬品市場はまだ成長が見込まれるという状況です。

厚労省の戦略と沢井製薬のマーケットシェア

髙良:厚生労働省が5年前に出した「医薬品産業強化総合戦略」の一部抜粋です。ここで何が言いたいかというと、ジェネリック市場は今後も拡大していくのですが、80パーセントという使用割合の目標を達成したあとは、やはり拡大余地が小さくなると考えられます。そのため、将来を見据え、200社あるジェネリックメーカーの集約化や大型化の検討が必要だという内容が書いてあります。

下の円グラフに、現在の沢井製薬のシェアが書いてありますが、まだ15パーセント程度で、我々を入れた大手3社を合計しても40パーセント程度ということで、このような薬価改定という制度改定の影響で、業界全体の経営環境も悪化していき、200社あるジェネリックメーカーは、今後さらなる再編や淘汰が進むのではないかと予想されています。

そのため、当社はその波をしっかりと見極め、さらなるシェアアップを狙っていきたいと思っています。

坂本慎太郎氏(以下、坂本):この10年にも御社はかなり売上を伸ばされていますが、その間に集約化は実際にあったのでしょうか?

髙良:実はなかなか進んでいないというのが現状です。ただ、足元では、先発品のジェネリック子会社が買収されるなど、再編や淘汰という状況が実は徐々に出はじめています。「それがさらに進むキーは何か?」とよくご質問を受けるのですが、やはりまずは、薬価改定が今後どのような制度になっていくかということが挙げられます。それによって当然、売上や利益がしんどくなってくるという会社が出てきますので、そうなると安定的に供給できるかどうかや、製品開発ができるかどうかといったものが非常に重要になってきます。

沢井製薬の強み

髙良:では、その波に乗れるポテンシャルが沢井製薬にあるのかということで、強みとなるものをご説明したいと思います。こちらに書いているのは大きく4つの強みです。研究開発や製剤技術力がまず1つ目、2つ目が品揃え、そして3つ目が安定供給力、そしてそれを下支えする強固な財務基盤を強みとしています。これらは、やはり再編と淘汰を乗り越えるために必要な条件だと我々は考えています。

医薬品の製剤開発力

髙良:製剤技術力、製剤開発力というとこなのですが、お薬をつくる技術は日々進化しています。その最新の技術を取り入れて開発できるのが、やはりジェネリックならではの強みになっています。新しい技術を取り入れて、医療従事者の方々が処方や調剤しやすくすることと、患者さん自身が飲みやすいように工夫しています。

加えて、優れた特許調査や分析能力ですね。先発品の特許を調べること、あとは分析する能力。その当時沢井製薬しか販売できなかった製品の開発にも、数々成功してきています。これが我々の営業利益率の高さにもつながってくるのですが、技術力の高さは非常に重要なポイントだと考えています。

製品ラインナップ

髙良:現在は生活習慣病のお薬や抗がん剤まで、約770品目の品揃えを有しています。中には、沢井製薬1社しか製造販売していないようなインフルエンザのジェネリックもあります。

坂本:770品目の品揃えで、かなりいろいろな多岐にわたった種類をつくられていると思うのですが、いろいろな薬が特許切れになって後発医薬品がつくられることで、売上がよくなるというかたちになると思うのですが、年間を通してたくさんの特許切れが生まれてくる中で、どのような品目のものを開発するか決める意思決定の部分について……売れそうなものやそうでないものとがあると思うのですが、その意思決定のスキームと、開発するまでの期間はものによって違うと思うのですが、そちらも教えていただけたらと思います。

髙良:そうですね。どういう薬がこの年に特許が切れるかということは、我々もきちんとリサーチしています。例えば、「この年は先発市場で4,000億円くらいの市場規模があるな」年によっては「1,000億円の規模があるな」というようなかたちで、年によってばらばらなのですが、まず、どのようなお薬の特許が切れるのかを調べます。その中で、我々はターゲットとして、採算性ももちろんありますが、それがどのような状況なのか、どのようなお薬なのかを、だいたい7年前くらいから研究開発をスタートします。

そして、お伝えしたように、需要や販売予測を元に開発品目を選定しまして、その時点からどのような主成分が入っている原薬を使うかといった調査を世界中で行い、選定後は「どういうつくり方をするべきか」といった製剤化の研究を行います。

そして、つくったあとにも品質をきちんと担保できるように、各種、いろいろな試験を行います。溶け方のほかに、生物学的同等性という血液に入れて先発品と同じピークをたどるかどうかを調べる試験なども行います。ある程度目途が立ったら、厚生労働省に対して、承認の申請を約1年前に行います。年に2回、2月と8月に承認できる時期があります。

八木ひとみ氏(以下、八木):いつでもできるわけではないのですね。

髙良:そうですね。年に2回しかタイミングがありません。そして、そのあとに承認されたら発売するということで、その発売時期も6月と12月以降に決まっています。

当然、これは採算性や需要が厳しい、ほかの薬が入ってきて「売れそうにないな」となったら、開発を見合わせることも当然ありますし、患者さんが増えてきた場合などで「これはもっといけそうだ」となったら、以前開発を中止していても復活させるということも、日々見直ししています。

また、一番重要なのは一番手で発売することです。このタイミングで特許が切れるとわかっていても、そこを目がけて、ジェネリックメーカー200社の中から同じタイミングでジェネリック医薬品が出まして、ものによっては、20社、30社が一気に出ることも当然あるのですが、そうなると、例えば1,000億円の規模でも20社、30社で分け合うということになります。一方で、少ない社数であれば、そのままごっそり占有できるということで、そのようなものを我々は目指しています。そのためには何が必要かと言うと、特許をいかに回避するかでして、そのような特許で守られているつくり方を回避した製品開発に我々は取り組んでいますので、それにより他社よりも早いタイミングで発売できる、といった品目が、実は年に1品目、2品目、沢井製薬にはありますので、これが他社との利益率や売上の違いにつながっているということで、非常に大きな強みとなっています。

坂本:どちらかというと、難しい後発品を開発されるというかたちを目指しており、そうすると、ほかの技術力がない会社はできないということですね。

髙良:おっしゃるとおりです。そして、それができるにはやはり資金力が必要になりますので、なんでもかんでも作れるかと言うと、そのようなわけではありませんので、先ほどお伝えした4つ目の財務力が非常に大きくなってきます。

坂本:あとはやはり、後発品をつくる上でのノウハウもありますよね。先発薬にもいろいろなものがあり、その中から後発薬をつくる技術もやはり楽しみな部分なのですね。

髙良:おっしゃるとおりです。ノウハウが非常に重要で、今の特許の調査の能力もそうですし、技術開発力についても、冒頭で50年以上とお伝えしましたが、長年の蓄積が今になっても生きてきているのだと思います。

安定供給力

髙良:では続きまして、安定供給力という強みの3つ目ですが、この770品目にも及ぶお薬を品切れさせないように安定的に生産する能力も重要になってきます。なぜならば、品切れで一番困るのは患者さんだからです。

沢井製薬は、年間174億錠の供給能力を持っていまして、販売は124億錠なのですが、これは日本人が1人あたり年間100錠近く沢井製薬のお薬を服用しているという計算になります。174億錠つくれて販売数は124億錠ということで、非常に余力があるのですが、これは急な増産対応にも臨機応変に対応できるように、あえて余力を残しているかたちになっています。

安定供給 全国6工場体制を確立

髙良:こちらは工場の地図です。空気の清浄度や、非常に厳しく決められた基準や工程を基に、ご覧の日本の国内6工場で生産を行っています。

11年連続No.1

髙良:いきなり数字が出てきているのですが、この11年連続No.1というのは、何がNo.1なのかというところなのですが……。

外部からの評価

髙良:これまで説明したように、我々の強みや総合力を外部から高く評価していただいています。薬剤師のみなさまにアンケートをとっているのですが、11年連続で「好感が持てるジェネリックメーカー」No.1の評価をいただいており、非常にありがたく思っています。

八木:強みの中で1つ伺いたいのですが、営業の仕方はどのようなかたちなのでしょうか?

髙良:はい。MRという情報提供をする専門のセールスマンがいるのですが、MRの人間が400人近くいまして、各医療機関や卸に対して、製品が出た時にご紹介などを行っています。

坂本:病院だったら先生にアクセスして……というように、先発薬を使われているところのMRと同じような活動をされているということですね。

髙良:おっしゃるとおりです。弊社が「このようなものが出ました」と営業するようなかたちということです。

UPSHER-SMITH

髙良:今までは国内についてお話ししてきたのですが、次は、少し視点を変えて、成長戦略としてアメリカの事業、それから今後の戦略についてご説明したいと思います。

米国Upsher-Smith Laboratories, LLC社(USL)の概要

髙良:まずはアメリカの事業ということで、こちらは3年前に買収したミネソタ州にあるUpsher-Smithという会社です。3年前に買収したこの会社には、100年の歴史がありまして、当社よりも10年ほど歴史が長い会社です。全米の売上はだいたい30位前後の規模と決して大きくはないのですが、何が特徴かというと、競合が少ないニッチな品目を狙って市場参入するのが非常に得意な会社になります。

八木:先ほどの強みと同じですね。

髙良:そうですね。なかなか他社が入らないようなところを狙うという……マーケティング力が高いといいますか、そのような品目を狙って市場参入するかたちになっています。やはり開発品目の難易度が高いお薬や、製造する上で多くの工程が必要なものや、複雑なお薬は参入障壁が高いということで、こうした品目の開発にも注力しています。

また、ジェネリックだけではなく、先発品でもある「ブランド薬」の製品ラインナップの拡充も進めています。

このUpsher-Smithを買収することにより、日本で展開していた沢井製薬が、世界の全医薬品市場の40パーセントを占めており、世界最大の医薬品市場かつ拡大が続くアメリカ市場に進出する基盤を獲得できたのです。自前で工場を持っておらず、営業拠点や研究開発拠点を持っていない中で、アメリカに展開するというのは、どうしても限界が来るということで、このインフラを持っている会社を買収したことは、我々にとって非常に大きな意味を持っています。

このUpsher-Smithの成長をもちろん支援するとともに、今お伝えしたように、我々の日本の沢井の製品をこの会社を通じて販売するといったことや、そのようなシナジーの実現を図り、日本に次ぐ第二の柱に育てていきたいと思っています。

医薬品のシナジーは、ほかのセクターと違い、なかなかすぐには実現しにくいのです。やはりどうしてもその国に対して申請したり承認してもらったりというプロセスを経ますので、3年から4年はかかってしまうのが現状です。

そのため、早くシナジーを目に見えるかたちで出したいというのが、現在の強い思いになっています。

坂本:研究開発面でのシナジーもありそうですね。特にあまり開発しないような薬を開発されているということですので。

髙良:おっしゃるとおりです。日本で先に特許が切れていたり、アメリカで特許が切れていたりとタイミングも違ったりするのですが、日本ですでに特許が切れているものをアメリカに持っていくなど、我々のノウハウをUpsher-Smithに移植するという取り組みを行っていますので、そろそろそのような成果が出始めるのではないかと期待しています。

新規事業

髙良:次に、新規事業というところで、2つ書いているのですが、現在、世界最大のアメリカでの承認を受けて製品を販売することは、我々にとっては非常に大きな成長機会になるわけなのですが、併せてグローバルでのレピュテーションの向上にもやはりつながると思います。

ただ一方で、国内の中長期的な経営環境を考えると、先ほどお伝えしたように、薬価改定や、これから再編が起こると申し上げましたが、ジェネリック医薬品事業だけではやはり厳しい局面も来るかもしれないということを、一方では想定しておく必要があると思っています。

こちらに「オーファンドラッグ」と書いているのですが、患者さんの数が非常に少なく、治療法もあまり確立されていないような難病と言われる疾病に対する医薬品の開発にも着手し始めました。

それから、デジタルヘルスケアです。やはり「DX」という言葉がキーワードになっているのですが、デジタルヘルスケア領域といったジェネリック医薬品以外での成長機会にも積極的に投資を行っていこうと思っています。

またその既存事業、ジェネリックとのシナジーが見込めて、これまで培った我々の強みが生かせるような新規事業にも果敢に挑戦していこうと考えています。

持株会社体制への移行

髙良:このように、日本およびアメリカのジェネリックビジネスや新規事業に取り組む上で、やはり今の体制ではなかなか足取りが重く、足かせになる部分がどうしてもあるかと思いますので、このような変化に柔軟に対応できる組織にするために、所定の手続きを経た上で来年の4月から持株会社の「サワイグループホールディングス」を設立する予定になっています。

来年5月に公表予定

髙良:そして、この先の10年後に我々はどういう姿でありたいか、目指す姿を決めて、そこからバックキャストを行い、3年間の新しい中期経営計画を来年の5月の本決算の発表と同時に公表予定にしています。こちらについてはぜひご期待いただきたいと思っています。

2020年度連結業績予想 【IFRS(国際会計基準)】

髙良:最後に、業績予想および株主還元、サステナビリティビジョンについてご説明したいと思っています。

今期の業績予想について書いていますが、記載のとおり、今年は薬価改定の影響で単価が下落した影響があるのですが、なんとか増収および増益を見込んでいます。

新型コロナウイルスの影響はいろいろなセクターにまたがっているのですが、やはり医療機関に患者さんがなかなか行かない、受診抑制の影響が続いています。9月までの進捗として、売上は計画を下回っているのですが、利益面については順調に推移しています。

株主還元

髙良:株主還元について書いていますが、配当性向は30パーセントを目途に安定的で継続的な配当を基本方針にしています。2020年度については、前期同様に1株あたり年間130円を予定しています。

サステナビリティビジョン

髙良:次に、サステナビリティビジョンです。当社では「4C INITIATIVES」というサステナビリティビジョンを掲げています。Cで始まる4つの考えを軸に、持続可能な社会に向けた企業活動を行っています。詳細はホームページに記載していますので、ぜひご覧いただきたいと思います。

ちなみに、真ん中にシンボルマークは日本と中国で薬の祖と言われる神さまで、右が日本の少彦名(すくなひこな)という神さまで、左が中国の神さま、神農(しんのう)という神さまをイメージしています。中央の葉っぱは、中国から日本に薬として入ってきた緑茶の葉がモチーフになっています。日本を代表するジェネリック医薬品企業と自負しており、自分たちのルーツに立ち返ることで、今まで受け継がれてきた歴史を引き継ぎ、さらに持続可能な未来に行動を起こすという意志をこの絵で表現しています。

SDGsへの取り組み

髙良:SDGs、またESGに社会的な関心が非常に高まっているのですが、沢井製薬は、このSDGsの3番にある「すべての人々の健康な生活を確保する、促進する」ということを重点目標に掲げています。環境や社会、ガバナンスを踏まえた各バリューチェーンの目標達成に取り組んでおり、ESG投資の世界的な指数である2つの構成銘柄にも2年連続で選定されています。加えてGPIFの採用している2つのESGの投資指数にも選定されています。

ジェネリック医薬品の啓発

髙良:それから、ジェネリック医薬品の啓発活動も過去からずっと行っているのですが、全国でジェネリックの啓発活動としてセミナーを開催しています。

また、全国で工場見学も行っているのですが、最近はやはり新型コロナウイルスの影響もあり、なかなか実際の工場見学はできない状況ではあるのですが、バーチャルで見学できるようにVR動画も「YouTube」で公開していますので、お時間がある時にぜひご覧いただきたいと思います。

八木:『ジェネリックエスト』と、ゲームみたいですね。

髙良:そうですね。ちょっともじっているのです(笑)。ゲームのように勇者が出てきますので、面白くご覧いただけるかと思います。

その他の社会貢献活動

髙良:最後の貢献活動のお話なのですが、健康情報サイト「サワイ健康推進課」というものがあり、日々のいろいろな症状「頭痛がする時はどうしたらいいんだ」というように、いろいろな情報を記載しているサイトを運営していたり、お子さまでもジェネリックが理解できるように、学研の「ひみつシリーズ」において、「ジェネリックのひみつ」というものをつくって、全国の小学校や図書館、それから児童館に寄贈しています。ぜひお子さまをお持ちの保護者さまがいらしたら借りてもらうのも1つの手かと思います。けっこう貸出中が続いていると聞いています。

2,967億円

髙良:最後の問題になりますが、この2,967億円という数字はいったい何だと思いますか?

沢井製薬の事業活動そのものが、社会貢献活動

髙良:日本では、「国民皆保険制度」が導入されて以来、誰もが必要な医療の提供が受けられる非常に優れた医療制度があるのですが、お伝えしたように、やはり少子高齢化や医療の高度化に伴う医療費の増大、あとは財政とバランスのとれた医療制度の見直しが急務になっているかと思います。

沢井製薬は、この社会的な大きな課題に対し、高品質で高付加価値かつ先発医薬品に比べて低価格なジェネリック医薬品の製造と販売を通じて医療費の抑制に貢献していると思っています。

この2,967億円は、薬価ベースで2020年の3月期に医療費の節減に寄与した金額を試算したものです。まさに当社の事業活動自体が、社会貢献活動そのものだと思っています。やはり安心できる品質のジェネリック医薬品を安定的に供給し続けることが、社会に対する一番の貢献だと考えています。

ジェネリック医薬品はもはやインフラの1つではないかと考えていまして、やはり安定供給の責任が大きくなっていくことに伴い、そのような社会的な期待、責任を背負う存在になってきたのではないかと自負しています。

そのような事業に関わっていることへの誇りと責任をしっかり自覚して、これからもリーディングカンパニーとしてジェネリック医薬品の普及促進を通じ財政と両立しうる優れた医療制度の維持と発展に貢献していきたいと考えています。

沢井製薬へ引き続きご支援賜りますよう、どうぞよろしくお願いいたします。ご清聴ありがとうございました。私からの説明は終わらせていただきます。

質疑応答:海外への進出について

八木:それでは、ここからは坂本さんの質問、そして視聴者の方からいただいた質問を交えながら進めます。

坂本:いただいた質問もそうなのですが、やはり将来の成長についての質問が多く、先ほど途中までお伺いしたのですが、こちらを深掘りさせていただきたいと思います。

まず、米国のM&Aをされているということなのですが、それ以外の地域ですね。おそらく、欧州が一番大きな市場だと思うのですが、米国を深掘りしていくのか、それとも欧州へも今後進出されるのかについて教えていただきたいと思います。

髙良:海外という意味では、やはりお伝えしたように世界の医薬品市場の4割を占めるのがアメリカですので、そちらでの成長が一番だと考えています。

3年前に買収したUpsher-Smithの存在感をもう少ししっかりと確立させなければならないということで、まずはこの会社の成長が第一だと考えていますので、アメリカでさらに違う会社を買収することにはならないと思います。ただ、アメリカの会社を通じて新しい製品を買う、もしくは提携する可能性はあると思います。

欧州については、ヨーロッパ全体をまとめるとおそらく日本と同じくらいの規模になるのですが、ヨーロッパは、それぞれの国で制度が違うのですね。

坂本:製品統合がまだあまりされていないのですよね?

髙良:そうなのです。ですので、アメリカは1つでいいのですが、ヨーロッパになると「この国はこのやり方」「この国はこの承認」というようにルールが国によって違うため、それが果たして効率的かどうかという観点が随所に出てくると思います。そのような意味では、アメリカとヨーロッパを考えると、やはりアメリカになるのかなと思います。

そのほかによく聞かれるのが中国です。人口的にも、市場としてもすでに日本よりも規模が大きくなってきていますので、こちらを避けては通れないと思っています。中国市場に進出することはあると思いますが、こちらについては追々検討が必要だとは考えています。

質疑応答:日本の集約化について

坂本:日本の業界の集約化という話をいただいていたのですが、御社はリーディングカンパニーということで、そちらを主導していくかどうかは別として、先ほどのお話の中では、生産能力に関しては御社にかなり余裕があるということで、それを増やすためのM&Aを行うことはないと思うのですが、小さなジェネリックメーカーが、収支が合っていればたぶんそのようなことにはならないと思うのですが、そちらが苦しくなってきた時にM&Aを行うことによって、先ほどのようにライバルが減るわけですので、そのような考え方の買収なのかどうか、ビジョンがあれば教えてください。

髙良:国内の再編でよく質問されるのが「沢井製薬がほかの国内のジェネリックメーカーを買収すればいいのではないか?」「そのような可能性はないか?」ということです。先ほどお伝えしましたが、当社は770品目というかなり多いラインナップを有しています。500品目以上を展開しているジェネリックメーカーは、200社ある中で何社だと思われますか?

坂本:2社か3社ですか?

髙良:とてもすばらしい解答です。私どもを入れて、おそらく3社くらいになります。つまり、それ以下の会社を買収すると、製品ラインナップがかぶってしまうのです。違う会社の同じ薬を2つ扱うことはできませんので、どちらかの販売を中止しなければならなくなります。

そうなった時に誰が一番困るかと言うと、やはり医療機関や患者さんです。その薬を使っていた、飲んでいた患者さんが突然、我々の買収によってその薬を服用できなくなることになると、医療機関だけではなく、患者さんにも迷惑をかけてしまいますので、そのような買収はあまり「うまみ」がないといえます。

坂本:確かにそう思います。御社ともう一つ競合があって、買収先にも商品があった際に、「切り替えてください」ということで、ほかの会社に切り替えられてしまったら、シナジーが出ないということですね。

髙良:そのようなことです。それで迷惑をかけて販売を中止する、生産を中止をすると、200社ありますので、我々が売っていたお薬をやめたとしても、すぐほかの会社がそこに入ってきてしまい、機会ロスにもなります。そのため、お伝えしたように、我々よりも規模の小さな会社を買収するメリットはあまりないということがまず1つです。

生産能力に関しては、170億錠以上つくれる状況になっていますので、まだ余力があるとお伝えしました。さらにジェネリックが増えていくことで、なにかしら政府の方針でジェネリックの使用促進策が入った場合に、今の時点ではまず余裕があると思いますので、現状で足りるのかどうかをまず確認する必要があると思います。

あとは、我々がつくれないような注射剤や外用剤、デバイスのようなものをつくる工場をもつ会社があれば、その工場を買収することはあり得るかもしれません。

ただ、今のように内服剤をつくる工場という意味では、今すぐ買収するという必要性はないかなと思います。

坂本:品目補充のために工場を買収するということは普通にあり得るかもしれないが、大きい会社を買収するというイメージはあまりないということですね。

髙良:そうですね。そのように、我々が不得意な分野の会社を買収するためのM&Aはあるかもしれません。 

質疑応答:医薬品の優位性について

八木:会場の方からご質問いただいたのですが「同じ効き目のジェネリック医薬品だと、競合他社と卸価格はだいたい同じぐらいになるのでしょうか? ほぼ変わらないのであれば、選ばれる優位性はどのようなところにあると考えていますか?」

髙良:各社それぞれに戦略、方針がありますので、一概にはまったく同じというわけではないと思います。医療機関側の選択基準は何かということですが、こちらも医療機関によっていろいろなポイントがあります。重要なこととして、先ほど「11年連続で選ばれました」とお伝えしたのですが、薬剤師さんが選ぶポイントで一番大きいのは、安定供給できるかどうかということになります。品揃え、それから安定供給ですね。品切れを起こさずに、きちんと提供してくれるかどうかというところが、非常に大きなポイントになります。

あとは、例えば従来では水と一緒に飲むカプセルや錠剤だったものが、水なしで飲めるものになったというような、そのような付加価値も、1つのポイントとしてはあるかと思います。

記事提供:ログミーファイナンス

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