エブレン、2Qは半導体製造装置が好調 営業利益は前年比+33%と通期計画に向けて順調に進捗

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2020年11月21日にログミーFinance主催で行われた、第16回 個人投資家向けIRセミナー Zoom ウェビナーの第1部・エブレン株式会社の講演の内容を書き起こしでお伝えします。

スピーカー:エブレン株式会社 代表取締役社長 上村正人 氏\n元ファンドマネージャー/元ディーラー 坂本慎太郎 氏\nフリーアナウンサー 八木ひとみ 氏

会社概要(2020年3月末現在)

上村正人氏(以下、上村):それでは、エブレン株式会社の説明を始めたいと思います。エブレン株式会社は、1973年に設立された産業用電子機器の製造業です。本社は、東京の八王子市にあり、そちらの事業所のほかに、東京都荒川区、埼玉県入間市、大阪市東淀川区、および中国江蘇省の蘇州市と、合計5拠点で仕事をしています。会社の規模としては、だいたい売上高が30億円台、経常利益が3億円台、純資産が33億円くらいの規模の会社です。

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事業内容:産業用コンピュータの設計・製造

上村:もう少し具体的に仕事の内容をお話ししたいと思うのですが、一言で言うと「産業用コンピュータの設計と製造をやっている会社」です。現在のメインの仕事は、通信や電力、鉄道、医療などの社会インフラ系の設備および半導体製造装置、工場の生産自動化の機械といった産業インフラ系の設備の中にあるコントローラーや制御装置として使われる産業用コンピュータの受託設計と受託生産が中心で、売上の80パーセントを占めています。

鉄道や電力、通信などの公共性の高いインフラ設備のビジネスのポジションは、日本を代表するような大手のメーカーが主契約者となる仕事の下につくというスタイルになります。主契約者のメーカーは、設備やシステムの開発構想に基づき、私どもへ委託する範囲のコンピュータ周りの「要求仕様書」を作って提示していただき、その「要求仕様」に基づいて製品を設計し、試作品を作って、最初にメーカーへ送り、設計検証ということで、詳細に中身をチェックします。

それを経て、量産に入るまでに半年……ものによっては1年以上かかることがあるのですが、その期間を経て量産開始になり、中長期的に安定した製品供給を要求される……ということが、私どものビジネスの特徴です。

坂本慎太郎氏(以下、坂本):エブレンさまは、産業機器のバックプレーンや電子機器および工業用コンピュータの本体周りの設計、生産技術を専門領域とされており、こちらの事業は1970年代に創業されたということなのですが、バックボーンがありましたら教えていただけたらなと思います。もともとこのような仕事をされていたというようなお話があれば、教えていただけたらと思います。

上村:1973年に創業する前は、大手のエレクトロニクスメーカーでコンピュータの開発の仕事を行っていました。そのようなことで、1973年に設立した会社です。

坂本:その知識や知見が生かされて、今のお仕事をされているということですね。逆に始める「きっかけ」がありましたら、教えていただけたらと思います。

上村:1970年代というのは、まだコンピュータのメインフレームからようやくミニコンピュータが開発の段階にあるような時期でして、日本の大手のコンピュータメーカーは、海外のコンピュータメーカーと技術提携を行い、技術導入から始まっているのです。私もまたそのような仕事を担当していた関係で、海外でコンピュータ業界を見る機会があり「将来、日本もこうなるかな?」という夢を抱いて創業したといういきさつがあります。 

坂本:それが積み上げられて今に至る、ということですね。

八木ひとみ氏(以下、八木):では続いて、製品区分を見ていきましょう。

製品区分(1)ボードコンピュータ

上村:コンピュータというと、一般にはキーボードやマウスがあって、ディスプレイを見ながら人間が操作して…というイメージをお持ちだと思うのですが、産業用のコンピュータは様相が違いますので、そのあたりからご紹介したいと思います。

まず、コンピュータに限らず電子機器一般は、基本的にプリント基板の上に必要な電子部品を実装し、それをつなげて回路を作るものになっています。左側が、バックプレーンに何枚かをつなぎ合わせて、比較的大掛かりなコンピュータのシステムを作る時の基板になります。よく見ていただくと、基板の端に接続させるためのコネクターがついていまして、こちらをバックプレーン側のコネクターにつなぎ合わせます。

右側の写真は、1枚のボード上にコンピュータの機能を実装するようにしたワンボードコンピュータです。規模は小さいですが、コンプリートなコンピュータになります。

坂本:このようなものがパソコンの中身なのですね。

上村:実はそうなのです。パソコンもワンボードコンピュータの一種なのです。1枚でいいケースもあります。

坂本:これはいくつかつなぎ合わせていけばいいということでしょうか?

上村:何枚もつなぎ合わせて規模を大きくできるのです。一般的な産業用で従来型のものについては圧倒的にそういうものが多いのです。規模が大きいですので。最近は、Edgeコンピュータや、IoTの端末側はそのような大掛かりなことをするわけではなく、データーロギングのような処理を中心としていますので、ワンボードコンピュータが適しているという考え方です。

製品区分(2)バックプレーン

上村:つなぎ合わせに使うものに「バックプレーン」があります。分割されて、例えばCPUボードだ、通信ボードだ、画像処理ボードだというようなかたちで用意されたものを全部つなぎ合わせて統合し、1台のコンピュータシステムとしてインテグレートするのが「バックプレーン」なのです。ですので、人間の生体になぞらえると、ちょうど「脊椎」のような部分にあたります。

八木:かなり重要な部分ですね。

上村:そうですね。バックプレーンは「バックボード」ともいうのですが、脊髄を「バックボーン」といいます。ちょうど何枚かをボード単位で「スロット」に差し込んで作るのですが、最終的には右下のように、金属で作られた「筐体(きょうたい)」に入れて使います。当然なのですが、つなぎ合わせるには、一定のルールがないとできません。

コンピューターBUSの標準規格

上村:コンピュータには「コンピュータBUS規格」というものがありまして、これは世界的に通用するコンピュータの規格です。この他にもいろいろなものがありますが、取り決めごとに基づいて設計されたバックプレーン、それに基づいて設計されたボードだと互換性があるということで、組み合わせればそのままコンピュータになるのです。例えば、USBメモリは、メーカーが変わってもどこのコンピュータに入れても使えますが、あれも要するにコンピュータ規格に則って設計されていますので、同じような意味です。

製品区分(3)コンピューターシャーシ

上村:これがバックプレーンを金属筐体に入れた状態のものです。

坂本:何枚も入るのですね?

上村:そうなのです。半導体製造装置などに使われている、極めて一般的なものを載せていますが、もっと大きなものですと、20枚も30枚も収納するものがあったり、更に高さ2メートル、横幅60センチくらいの大きい筐体の中にこれらのラックを並べて使うなど、規模が大きくなると、もっと大きいものもあります。

坂本:産業機械のようなものに大きいものを使うのですか? 

上村:そうですね。処理をする対象の規模がすごく大きいと、そういうことになります。右側の写真のほうが、先ほどIoT、Edgeで使われるものはワンボードのほうが多いという話をしましたが、ちょうど弁当箱くらいの大きさのものというイメージをしていただければと思います。

製品区分(4)制御用コンピュータ

上村:前のほうから必要なCPUボード、メモリボード、画像処理などのボードを挿入……「スロットインする」とバックプレーンに接続されるという格好になります。こちらを右上の、お客さまの製品、例えば半導体製造装置であれば、あのあたりに実装され、半導体製造装置の全体を制御するかたちになりますという絵です。

バックプレーン方式が産業用に多用される理由

上村:バックプレーン方式が産業用のコンピュータに多用される理由を説明します。バックプレーンは今説明したとおり、分割される回路をつなぎ合わせるということと、電源、電気を供給することが基本的な働きなのですが、併せて「保守性」「拡張性」「汎用性」の観点から、バックプレーン方式で産業用コンピュータが作られます。

「保守性」ということですが、「切り離しができる」ということは、万が一、何か支障が出た場合や、故障があった場合、それをワンタッチで引き抜いて、確認をすることができる、場合によっては、代わりのものをとりあえず入れて正常に動かしておき、ゆっくり修理するというようなことができるということです。

それから、機械によっては、24時間動いていて電源を落とせないというようなシステムがあり、そのような場合には電源を落とさないでボードを交換することができるように設計します。それを「ホットスワップ」と言うのですが、このように「熱い状態」でボードを入れ替えするということも可能です。

八木:なるほど。

上村:これはやはりバックプレーン方式ならではの良いところです。それから当然、機械は故障することがあると私どもは考えて設計しなければならないため、保守の体制を考えますと、コンピュータに精通した人を最終ユーザーのところに張り付けるわけにはいかないため、スペアパーツを置いておき、必要があったら交換して、故障したボードをメーカーに送るなど、保守体制が非常に組みやすくなるのです。そのような「保守性」というメリットがあります。

「拡張性」ということでは、とりあえず必要な枚数のボードコンピュータを入れておき、後でお客さまが増えたら、ボードを増設してだんだん拡張していくというようなことが可能です。例えば、通信関係においてはよくあることです。

「汎用性」については、先ほどお伝えしましたが、規格に基づいて設計するのが一般的ですので、そうすると、すべて自分で設計して作らなくても、市場にはたくさんの優秀なコンピュータボードのメーカーもありますので、そこで作られたものを採用することもできるようになってきます。そのような意味で、この「互換性があって汎用性がある」ということは、非常に有効な資産の活用ができるということになります。そのようなことで、ほとんど多くの産業用コンピュータでは、このバックプレーン方式が採用されています。

エブレン製品の用途(応用分野)

上村:具体的にどんな分野に使われているかといった説明ですが、右側が、私どもの売上の比率を分野別に色分けしたものなのですが、一番下の緑の部分が電気計測器というセグメントで、約半分の49.2パーセントを占めています。具体的には半導体製造装置、ファクトリーオートメーション、電力やプラントがこの分野に入ります。

次に、ブルーのところが「交通関連装置」です。これが、17.5パーセントを占めます。一番左に高速鉄道のような図がありますが、新幹線をはじめ、山手線のようなローカル電車も含め、鉄道関係が大きな割合を占めており、鉄道の他は高速道路のETCなどがあります。

次に、「通信」は有線、無線、モバイルといろいろなものがあります。最近では、このセグメントに放送関係が入っており、合せて15.4パーセントを占めています。それから、黄色の電子応用装置ですが、これはMRI、CTスキャナー、超音波診断装置のような生体を映像で検査する医療機械に産業用のボードコンピュータが使われています。

他には左上のHPC(ハイパフォーマンスコンピューティング)はスーパーコンピュータのことで、こちらも電子応用装置というセグメントに入れて集計しています。これが11.2パーセントです。あとはその他になりますが、防衛関係、セキュリティ関係といったようなものがその他へ入ってきており、6.7パーセントということで、2020年3月期で31億8,300万円くらいの数字になっています。

主要納入先(直接納入、間接納入を含む)

上村:それから、当社はインフラ関係の事業者さま、例えば、JRに売り込みに行ったり、NTTにコンタクトしたりということはありません。私どもは、このような各分野を代表する錚々たる企業に採用いただき、その下で事業を行っています。

生産拠点の分散

上村:次が生産拠点の話ですが、やはり今お伝えしたようなインフラ関連の設備などは、簡単に納期が遅れることが許されない部分があり、そのような点では大変責任が重くなっているため、万が一のことを考えて、BCPの観点から生産拠点を分けています。

坂本:どこの拠点においても、すべて一貫して製造、納入はできるのでしょうか?

上村:どの事業所でも「ものづくり」ができます。例えば、何か災害その他の影響があり、ある事業所の生産がストップしたということになった場合、そのために納期が遅れるということは許されませんので、事業所を移して生産することができます。

「プレスフィットマシン」「ボードチェッカー」というものが主要な設備なのですが、これは中国を含めて4拠点に同じものを配備しており、ほとんど日常的に同じようなものを生産しています。したがいまして、万が一のことがあったら、生産拠点を移して生産を続行することができるような体制をとっているという状態です。

八木:すごいですね。続いて、業績を見ていきましょう。

2021年3月期(第48期)第2四半期 概況

上村:2021年3月期の第2四半期上期が終わりました。上期の動きですが、業種により若干の差がありますが、全体では概ね計画どおりに進捗しています。したがって、公表している通期の予想は、年初の計画から変更していません。セグメント別では、半導体製造装置が概ね好調です。一時、中国と米国の通商上の問題から台湾のファウンドリーに一時生産調整が発生しましたが、現在その影響はなく順調に進んでいます。

ここ数年は鉄道関係が好調です。鉄道は、車両に乗せるものだけではなく、信号のような地上装置がありまして、そちらと通信のやりとりをして電車は動くのですが、信号関係のメーカーで特需が発生しています。前倒しでやるという、新型コロナウイルスの影響のようなこととは別次元で進んでいます。それから、新型コロナウイルスの影響で、放送、通信、医療関係が低調です。放送はオリンピック需要が終わった影響が原因の1つです。

坂本:ここは4K、8Kのものの設備投資というところでしょうか?

上村:オリンピックを前にしてかなり大きい投資がありましたが、それがだいたい終了しています。医療関係は、今新型コロナウイルスの影響で大型設備投資が軒並み後ろへずれています。そのような関係で、計画したとおりに医療関係がしっかり出荷できていないという影響がありました。

実績・通期予想

上村:数字で言うと、2020年9月までの累積は売上が16億1,200万円で、前年同期比4.1パーセント増になっています。そして営業利益が1億5,500万円で、33パーセントプラス、経常利益が1億6,000万円で33パーセントプラス、そして、当期純利益は1億800万円で、こちらは36パーセントくらい前年同期比で上がっています。「通期予想は変えていません」と先ほどお伝えしました通り、通期売上は33億円くらいを考えています。経常利益が3億1,400万円という計画ですが、進捗率としては今のところ51パーセントの計画進捗率です。当期純利益は約2億700万円で52パーセントくらい。通期の予想については「まず大丈夫」と考えています。

応用分野別売上

上村:連結の応用分野別売上です。私どもの製品がどのような分野に使われているかを表したものなのですが、やはり一番大きいのがこのグレーの電気計測器です。一番右が第2四半期までの半年間の累計です。一番大きいのは半導体製造装置で、こちらが非常に好調でした。こちらは8億9,000万円と書いてあるのですが、下に書いてある55.2パーセントは、当社の全売上を100とした場合に占める割合です。先ほど「約半分が電気計測器です」とお伝えしましたが、今期は55パーセントほどになっていますので、その分がプラスになっています。

それから「交通関係が今年は好調です」とお話ししましたが、その下の黄色の部分の3億1,700万円が交通関係でして、こちらのシェアが前年の17.5 パーセントから19.7パーセントと増えていることがおわかりいただけるかと思います。あとは、通信関係や電子応用関係は、前年に比べると比率が低くなっているということです。

業績 – 財政状態

上村:そしてこれが、2021年3月期の第2四半期の財政状況ですが、流動資産が32億9,200万円、それから固定資産12億6,500万円、資産の合計が45億5,700万円、流動負債が8億3,500万円、固定負債が3億7,200万円で、負債合計12億800万円、純資産が33億4,900万円と、負債純資産合計が45億5,700万円で、自己資本比率が73.5パーセントになっています。資産合計は前年比8.6パーセント増、負債合計は前年比8.7パーセント増、大事なのが純資産だと思うのですが、前年比8.5パーセント増になっています。

成長戦略

上村:今後の成長戦略です。今後はどのように成長を図っていくかということで、4つに分けてお話ししたいと思います。

(1)コア事業の強化

上村:まず「コア事業の強化」です。お客さまや顧客メーカーの要求仕様に基づく受託設計、受託生産の長期的安定供給のビジネスモデルをしっかりと拡大していきたいと考えています。なんと言っても、私どもの仕事のメインはこちらです。大手システムメーカーの最近の動向を参考までにお話ししますと、過去は、大手のメーカーには力がありますので、「自分でやろうと思えば何でもできる」のですが、最近は「なんでもできるからといって全部社内でやったほうが良いのかどうか」と考えるようになってきています。

つまり、製品開発期間の短縮、要するにスピードアップが要求されており、その必要性が高まっているということと、慢性的な技術的リソースの不足は、どこへ行っても同じであり、私どものお客さまが抱えているテーマは益々多くなっています。私どもと比べると、はるかに広いところをカバーする仕事を行っていますので、当然、慢性的にリソースが不足することが十分わかる状況です。

技術が高度化してくると、やはり時間がかかり、開発費も増大していくということで、手を抜かないで自分で行うことと、他に依頼できる、または自分がやるよりも上手にできるものであれば、専門メーカーや専門の人に依頼するのが良いという考え方が最近多くなってきています。

つまり、「選択と集中」、または「本業主義」とも言いますが、なんでもかんでも全部自前で行うのではなく「むしろ専門メーカーも上手く使ってやれ!」ということで、そちらを上手に使うのが成功への秘訣だということは最近よく強調されます。私どものような「範囲は狭いのですが、このことだったら負けないぞ」というようなメーカーがたくさんありますので、そちらを上手に使う傾向になっています。

右のほうに「専業メーカーとしての優位性を追求」とありますが、当社は限られた事業領域に特化して行っていますので、お客さまがやるよりははるかに早いですし、お客さまが自分で作るよりもコストも低く抑えてできるということで、その辺の優位性をはっきりしていく必要があるため「短納期・低コスト・品質向上」を載せています。「バックプレーン」は中心的な製品なのですが、「コンピュータバス テクノロジー」をさらに深く追求してスキルを高めていきたいと思っています。

それからコンピュータ構造技術、生産技術の深耕ということで、具体的には、コンピュータはどんどん性能が高くなってくるにつれて、発熱が大変シリアスな問題になってきており「いかにして一定の温度に抑えるなり、冷やすなりという構造を作るか」というのが私どもにとっては大変重要なテーマになっています。幸い私どもは、論理回路や信号電送路のような回路設計と同時に、電子機器の構造技術についても力を入れて長い間行ってきていますのでそのあたりのことについて、今後とも更に追求していきたいということです。当然「冷却構造」だけではなく「電磁波の影響を受けないような構造にする」ことも大変重要な課題です。

それから、産業用のコンピュータは、同じものを何千台、何万台と作っているわけではなくて多種少量です。よく見ると違ったところがいっぱいあるのですが共通のところもありますので、システムパーツや標準の部材などを拡充することは、短期間に設計して安定した製品を作るのに大変重要なポイントで、そのようなところを強化していきたいというのが「コア事業の強化」です。

(2)ユニット供給の拡大

2つ目は、お客さまにとって、なるべく手がかからない状態、つまり完成度の高い状態で、コンピュータのユニット部材を入手したいという傾向が最近強くなっています。左側のほうが、バックプレーンそれから筐体(ラック)というかたちでバラバラでご指名があればそのとおり入れていきます。このような状態で納入しているものも10パーセント、20パーセントありますが、一般的には、左から二番目のような筐体の中にバックプレーンを組込み、左から三番目のような電源とか、冷却をするためのファンをつけ、さらに配線してというかたちで、完成度を上げて納入するようにというご希望をいただくことが最近特に多くなってきています。

さらに、一番右のようなコンピュータプラットフォームとしての基本的な機能を達成した状態でお客さまに納入できれば、私どもが行う部分が増えることになりますので付加価値になります。お客さまもそれを望んでいますので「そのようなことのできる体制を作っていきたい」というのが2つ目です。

坂本:御社の強みとして、先ほどもお話をいただいた部分があるのですが、たぶん、コンピュータの枠を作る時に全て同じではないのですが、ある程度流用できることがあると思うのです。そのようなものでできれば利益率はいいでしょうし、それを早く作れるというところも流用を使う良いポイントの1つだと思うのですが、5つの大きな分野で納入したり作ったりしているということで「流用しやすい分野」と「この分野はけっこうカスタマイズが必要。だから大変だよ」という濃淡を教えていただきたいと思います。なぜこれを質問しているかというと「利益率が高いセクターはどこかな?」と、投資家として気になっているためです。

上村:なるほど。一言で言って案件によります。どの分野も重要な仕事なのですが、その時期その時期によって案件ごとの年間の売上の比率がどうであったかということは、実は業績に大きく作用します。

坂本:その部分は、今回であれば5Gの仕事やいろいろな放送の仕事などが多かったとか、鉄道もどちらかというと設備投資などに偏りがちなところもたぶんあるかと思うので、たぶんそこはバランスだと思うのですが……。

上村:私どもは産業用のコンピュータという切り口で、半導体制御装置の世界だけに特化する、通信だけに特化する、防衛関係だけ行うということではなく「広く私どもの製品を使っていただけるように」ということでやっております。「世の中の景気が悪い」と言っても「全部悪い」ということは滅多にないです。「なんか通信が良くないよね」と言っても「医療関係は絶好調よ」というようなことがよくあります。経営戦略としてその辺のところを満遍なく行っていますので、他社が「悪い、悪い」と言っても我々は平均すればそうでもなく、そうかといって特定の分野が抜群に儲かって「ボロ儲け」できるというようなこともないのです。

坂本:今期の業績を見ても新型コロナウイルスはあまり関係なさそうなかたちに収まっていますね。

上村:ほとんど関係ないです。いろいろな分野に分散しているからだと思います。

坂本:そのようなところが強み、ということですね。

八木:成長戦略の続きですが、3番目のデジタルトランスフォーメーション(DX)への対処ということでですね?

(3)デジタル化(DX)への対応

上村:今、世の中の話題が、ビッグデータ、AIとなっており、これに5Gが加わることによって「世界が変わる」という議論がされています。確かに、このビッグデータ、AIのような機能が超高速・大容量通信ということになると、人間が今まで予測できなかったような予測ができるようになりますし、そのような点では、いわゆる「単なるデジタル化」というよりは「デジタルトランスフォーメーション」につながることが予想されます。

私どもはEdge Computingや、IoTの端末側のような規模の小さいコンピュータについては、今まであまり関心を持っていなかったのですが、これからはそのようなワンボードコンピュータのようなものの需要が今後増えてくるのかなと思っています。このあたりに力を入れて、最適なコンピュータプラットフォームを提供できるような体制を作っていきたいというのが3つ目の戦略です。

(4)中国子会社の活用強化

上村:4つ目は、中国江蘇省蘇州市に中国の子会社がありますが、中国市場を開拓するということも大切なことなのですが、中国の有力なベンダーを開発し、国際調達に寄与させる、つまり売り買いの両方が大事であると考えています。特に当社の場合は、従来から日本でお取引いただいているお客さまが中国へ進出し「向こうで生産して、向こうで供給してくれないかな?」と要求されるお客さまがたくさんいらっしゃいます。そのようなことに応えるということで、そもそも進出しました。

私どもは、2002年にこの現地法人を設立したのですが、これまでの期間、特にこの10年ぐらい、中国企業の技術力および価格競争力およびクオリティのレベルは凄まじく向上しており、力を持ってきています。中国企業の良いところを採用することにより、私ども自身の経営に寄与させるということを戦略的に行っていきたいと思っています。

坂本:中国は、2002年ということで早めの進出ですね?

上村:早めの進出でした。18年経ちました。

質疑応答:6つのデジタル分野について

坂本:資料を使ってのプレゼンはここまでです。会場への質問およびTwitterに事前にいただいた質問がありますので、そちらをお伺いしていきたいと思います。まず、成長分野に対しての質問が視聴者を含めて「Twitter」でもかなり多く「6つのデジタル分野についてなのですが、ビッグデータ、IoT、Edge Computing、AI、自動運転、あと医療分野の中に特に注力している部分はどのようなところなのでしょうか。取り組みも含めて教えてください」というところなのですが、よろしくお願いします。

上村:やはりIoTおよびEdge Computingは具体的に動いています。ですので、これが1番早く業績に寄与するようになってくるかと思います。したがって、これはやはり優先的に取り組んでいきたいと思います。それから、ご存知の通り日本の5Gはちょっと遅れていますが、将来的には大変期待しています。あるエリアに限定して5Gの技術を使うローカル5Gは今後どんどん増えていくのではないかと思います。とりあえずEdge Computing、IoT関係が良いかと考えています。

坂本:「Edge Computingの関連に対して行っている取り組みを教えてください」という質問が多いのですが、もし今何かお話できることがあればお願いします。

上村:一言で言いますと、Edge Computingを実現するための「最適なプラットフォームを提供」するということです。私どもはハードを作る会社ですので、お客さまがそれを手軽に使える、非常に使い勝手が良い「プラットフォームをいかに提供するか」が課題だと思います。

質疑応答:強みについて

坂本:あとは、他社との強みに関してです。「データベースの蓄積を背景とした設計開発力が御社の強みだと存じますが、他の競合企業と比較して、なぜ御社がこの強みを有しているのかを教えていただければと思います。」

上村:まず一言で言うなら、コンピュータの世界は非常に裾野が広いですので、コンピュータ関係に従事している人間は相当な規模になると思うのです。ですから、なんでもかんでも全部できるわけではなく、私どもはかなり戦略的にドメインを絞って、それに特化した事業を長く行っているのです。これが最大の強みだと思います。「このような仕事はエブレンにやらすのが一番いいのではないか?」「こんな仕事はエブレンだよね?」「彼らに任せればだいたいちゃんとやってくれる」とお客さまに思ってもらえるようなことを長くやってきているのが強みだと思います。

坂本:そちらをベースとして、利益率がかなり高いと思っているのですが、そこを含めてのベースに、次の分野もちゃんとキャッチアップしていくというのが戦略というかたちなのですね。

質疑応答:DX関連について

八木:「DX関連」に関して興味を持っている方が多いようですが、もう少し詳細に教えていただければと思います。実際、そのような案件の受注は増えてきているのでしょうか?

上村:DXというのは、デジタル化によってもたらされる、かなり規模が大きく従来のやり方がまったく変わってしまうような、かなりスケールの大きいことですので、具体的に「DX関係だな」と思うようなものについては、まだそのような案件で相談を受けることがたまにある程度で「お客さまがそのような構想を持っている」というお話を聞いたりすることはありますが、具体的に仕事としてすでに業績に寄与しているような段階ではありません。

坂本:これから、このような裾野が広がってくると思うのですが、DXについては、この資料の23ページにもあるのですが、クラウド/ビッグデータから5G、Edge Computing、AI、スパコン、IoTがあるのですが、これは裾野の広がりによってお仕事が増えてくるのではないかと思っています。ここは考えられることとしては、たぶんその5Gも「日本は特にゆっくりだ」というところで、これから加速してくると思うのですが、いろいろな分野があって、その中で今「5Gはすごいいいよ」というところで、それが立ってくるというところなのかなとは思っています。

上村:そうですね。5Gは高速で大容量の通信の規格ですが、私どもがスマホを使う範囲においては、そんなにドラスティックに変わらないと思うのですが、工業用に使うとすごいことになるのです。自動運転などは絶対5Gがないとダメだと思います。ですから、そのような裾野は相当良いところまでいくと思います。

坂本:御社は、その部分のどちらかというとハードの部分を担うというイメージですよね? 確かにそのような需要がありそうだと思います。

質疑応答:米中貿易摩擦について

坂本:もう少し時間が余っているのですが、米中貿易摩擦について、御社の事業領域で、先ほど台湾の受注がイマイチだった時もあったということですが、それ以外で、何か気になる点を含めて教えていただけたらなと思います。

上村:新型コロナウイルスの影響については、コンピュータの中に使っている電源やファンなどには、中にコイルの部品が入っているのですが、そのような部品は日本では全く作っていないのです。最近は、ほとんどが中国か東南アジアで作られていますが、インドネシアや、シンガポール、フィリピンのようなところで作っているものがメーカーになかなか入らないということで、むしろ調達側での支障を受けたことがありましたが、それでもなんとか一定量の買い付けを行い在庫を確保できたことで、大きな問題にならなかったということです。

坂本:この業界においては在庫への新型コロナウイルスの影響がけっこうあったという話で、積み増し需要というのがあったのではないかという話を伺ったのですが、御社も借りてたというのもありますが「億」減ったという感じはありましたか?

上村:そのとおりですね。ヒヤッとした部分はありましたが、なんとかお客さまにはご迷惑をかけないですみました。2つ目は、私どものお客さまの話なのですが、装置を作り、それを海外のお客さまに入れて、現地調整するメーカーもあるのですが、現地調整に行けないということで影響を受けたようです。

八木:直接というよりも、その取引先の影響ということでしょうか?

上村:そうなのです。私どもが入れた先のメーカーが当然、現地調整に行くわけですが、「来てくれるな」ということになって、滞ったということがあります。

坂本:技術的なところをリモートで行うのは、なかなか難しいのではないですか?

上村:技術的なことをリモートで行うのは難しいです。

坂本:ハードコンピュータの部分は「まぁ、こんなもんだろうな」というイメージがあるのですが、その中で「どう使われているのか」が非常によくわかりました。

八木:そろそろお時間となりますが、会場の方からも「よく理解できました」というお声をいただいています。改めまして、ご説明いただきましたのはエブレン株式会社代表取締役社長 上村正人さまでした。上村さま、どうもありがとうございました。

記事提供:ログミーファイナンス

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